夢から覚める時間です

くろいぴあすのひと。

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記憶編

カウンセリング

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「山本さーん、起きてますかー?」

・・・看護士の声で起こされてしまった。

「・・・今起きました・・・」

そうだった。今日からカウンセリングがあるんだった。

「・・・カウンセリングですか・・・?」

「起きたばっかりなら顔を洗ってから来た方がいいですよー」

起きて数分の眠気眼のまま顔を洗うのだった。



「・・・おはようございます・・・」

顔を洗ったりの支度をしてからナースセンターに向かった。

「おはようございます山本さん!

 向こうにお医者さんがいらっしゃってますよ!」

「・・・お医者さんがいらっしゃる?」

「ここの病院では本当はカウンセリングはしてないんですよ。

 でも今日来ていただいたお医者さんは、自分がする、と名乗り上げてくれたのですよ!」

「・・・なんで、私なんかのを?」

嫌な予感がする。

「さあ・・・私もそれはわからないですね・・・」

着きましたよ、と言いながら目の前の扉を開ける。

そこにいたのは・・・

奇麗な長い黒髪に濃い隈をした女性だった。

整った容姿をしているのだが、

その隈とやる気のなさそうな表情から、

不健康そう・・・という印象が目立つ。

「では後はごゆっくりとどうぞ」

といいながら愛想のよい看護士が去っていった。

「・・・よろしくおねがいします・・・」

今にも消えそうな声でその人が言う。

「や・・・山本李奈です・・・あなたは?」

「・・・黒川、零です。」

ゆっくりと、彼女・・・黒川零はそう言った。

「・・・あなたは・・・どうして夢から覚めないの・・・?」

夢から覚めない?

どういうことだろうか?

もう眼は冴えている。

「・・・夢から覚めているはずですよ?」

「・・・そう思ってるだけなら、あなたは夢から逃げられない・・・

 理想の世界に、閉じこもっているだけ・・・」

どういうことだ?

理想の世界、なんて

自分の理想はこの世界なわけもないのに。

「あなたは何を知っているんですか・・・?」

「・・・あなたの、考えていることを

 ・・・知っている。」

そうじゃない・・・

この世界は・・・?

私の見ている、夢って一体なんだ・・・?

「・・・明晰夢って、見たことある?」

「ないです・・・」

「・・・明晰夢は、夢を自由に作り変えられる・・・

 でも、あなたの見てる夢は明晰夢じゃない・・・」

「・・・何が言いたいんですか?」

「・・・それは、いつかあなたがわかるはずよ・・・」

今日は終わり。といいながら、黒川零は部屋から出て行ったのだった。

・・・一体、夢ってなんだ・・・?

それに気付くのはもっと後。
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