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【ハニ×カミ のハ 春のような笑顔】
ーP2ー
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しかし、神様の心配ばかりしている場合ではない。文化祭までの1か月で、演奏できるようになりたい。
不安をかき消すように大きく息を吸い、リコーダーを吹く。
おぼつかない指使いだけど、つっかえずに中盤まで吹けた。それが嬉しくて、思わず息が強くなる。
すると、割れた甲高い音で緑地の静寂を切り裂いてしまった。
次の瞬間、悲鳴のような声が上がる。
視線を上げると、御神木の足元に座っている長い髪の人。
人がいることに気づかなかった。慌てて長い髪の人へ駆け寄り、謝る。
しかし、長い髪の人はおもむろに後ろを振り返る。そして、呆気に取られた表情で向き直って言う。
「ボク?」
気の無い返答。謝られた理由を分かっていないのだろうか。ひどい音で驚かせてしまったことを付け加えて、再び謝る。
長い髪の人は、表情を変えずにうなずくが、何も言わない。あたしは、何か言い訳を続けなくてはいけない気がして、ここでリコーダーの練習をすることになった理由を話す。
それでも長い髪の人は、何も言わずただ真っ直ぐあたしを見ている。今度は早くこの場を離れたくなり、もう一度お詫びを言ってそのまま逃げてしまおうと決める。
「本当にごめんなさい、もうここでは練習しないので。」
頭を下げながら早口で言うと、すぐに言葉が返ってきた。
「いいよ。」
突然の返答に驚いたが、何が『いいよ』なのか分からない。驚かせたことを許すという意味なのか、もう行っていいよという意味なのか。
今までずっと無表情だった長い髪の人は、ゆっくりと笑顔になる。
「ボク、その歌が好きなんだ。それに、キミの演奏は力がこもってて凄く好き。だから、ここで練習していいよ」
その笑顔はまるで、青々と茂った新緑のように、枝葉の隙間から落ちる春の木漏れ日のように、暖かくて優しいものに見えた。
不安をかき消すように大きく息を吸い、リコーダーを吹く。
おぼつかない指使いだけど、つっかえずに中盤まで吹けた。それが嬉しくて、思わず息が強くなる。
すると、割れた甲高い音で緑地の静寂を切り裂いてしまった。
次の瞬間、悲鳴のような声が上がる。
視線を上げると、御神木の足元に座っている長い髪の人。
人がいることに気づかなかった。慌てて長い髪の人へ駆け寄り、謝る。
しかし、長い髪の人はおもむろに後ろを振り返る。そして、呆気に取られた表情で向き直って言う。
「ボク?」
気の無い返答。謝られた理由を分かっていないのだろうか。ひどい音で驚かせてしまったことを付け加えて、再び謝る。
長い髪の人は、表情を変えずにうなずくが、何も言わない。あたしは、何か言い訳を続けなくてはいけない気がして、ここでリコーダーの練習をすることになった理由を話す。
それでも長い髪の人は、何も言わずただ真っ直ぐあたしを見ている。今度は早くこの場を離れたくなり、もう一度お詫びを言ってそのまま逃げてしまおうと決める。
「本当にごめんなさい、もうここでは練習しないので。」
頭を下げながら早口で言うと、すぐに言葉が返ってきた。
「いいよ。」
突然の返答に驚いたが、何が『いいよ』なのか分からない。驚かせたことを許すという意味なのか、もう行っていいよという意味なのか。
今までずっと無表情だった長い髪の人は、ゆっくりと笑顔になる。
「ボク、その歌が好きなんだ。それに、キミの演奏は力がこもってて凄く好き。だから、ここで練習していいよ」
その笑顔はまるで、青々と茂った新緑のように、枝葉の隙間から落ちる春の木漏れ日のように、暖かくて優しいものに見えた。
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