想い想われ恋い焦がれ

周乃 太葉

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13.カリムとジュリ

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2日後

イーサンとジュリは朝イチでニコラの病棟に精密検査を受けにきていた。

今回もニコラに閉め出されたジュリは、カリムの病室にお見舞いに行くことにした。

コンコンコン

「こんにちは」

カリムは読んでいた本をサイドテーブルに置き、挨拶を返した。

「やあ、ジュリさん、いらっしゃい」

「ご加減いかがです?」

「いやぁ、退屈だね」

「もう少しでリハビリですよね。頑張ってください」

「むむぅ~。リハビリきついって脅されてるんだよね」

「そんなことないですよ。サボらなければいいんですよ」

「ふふふっ。リヴリー先生、っと、お姉さんのオルガ先生と同じこと言ってる」

「医者ならみんなも言いますよ」

ジュリはサイドテーブルの本の山を見て、

「この本、イーサンが持ってきたんですよね?」

「あぁ、あの子は本をたくさん読んでるからね。私好みの本を持ってきてくれたよ。それにあの子の…あっ…これは言っちゃいけないんだった…」

後半カリムがブツブツ何を言っていたけど、聞き取れなかったジュリは

「私は本は勉強以外ではあまり…。特に小説は手が遠くて…。専門書なら読めるんですけどね」

「ふふふっ。ジュリさん、小さい頃から変わらないね」

とカリムが思い出し笑いをした。

「昔…?」

「おや、覚えていないか。まぁ、小さかったから覚えてなくても仕方ないか」

「そこまで言われると気になります」

カリムはしまったなぁと顔をして顎を撫でた。

「ん、ん~…昔からリヴリー家と我が家は交流があってね。ほら、それに小さい頃イーサンが入院してたのは知ってるよね?リヴリー先生に診てもらっていたことも重なってね」

「そうなんですね」

「その時、君とイーサン会ったことがあるんだよ」

「…そうなんですか?」

「おじいちゃん先生に連れられた君とリヴリー先生の病棟でね」

「…」

「そう。その時の。君のおかげでイーサンは希望を持てたんだよ。私達は君には感謝してもしきれない」

「…そんな」

ピンポンパンポン

「おや、そろそろ回診の時間だね。ジュリさん、また来てね」

放送が入り、カリムは話を終わらせた。

ジュリは腑に落ちない顔をしながらも、また来ますと言って病室を後にした。
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