精霊師

雪飴

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第一章 リザレス王国

Chapter1-2

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 「ティアは、また勉強から逃げ出してきたのかい?」
「だって、座ってお話し聞くのってつまらないわ」
 
 抱き上げた腕の中にいる妹の顔を見て問い掛ければ、顔をふいっと背けられる。
 
「仕方ないな、テイラから僕とリリアと一緒に怒られてあげよう」
「あら、私も巻き添えかしら?」
「リリアも最初から、そのつもりの癖に。だから僕のところにきたんだろう?」

 可愛い妹に強く怒れない二人の兄姉は、いつもこうして甘やかしてしまう。
 
「ふふっ。兄様も姉様も大好き!!」
そんな二人を見ながら、今日もレティシアは笑顔を咲かせるのだった。

            *

  リザレス王国には、国王と妃。そして一人の王子と二人の姫がいる。
 
 周りが山や森で囲まれた国は、豊かな自然と大地によって作物が豊富な事で有名で、人口が約1万人のとても小さな小国である。
 国に住まう者の特徴を答えるならば、争いごとを嫌う心根の優しい人が多く、何よりも他の国と違うのが精霊と共存し、精霊を使役できるという精霊師の国だった。

 末の姫のレティシアという少女は、良くいえば天真爛漫、悪くいえばお転婆で6つ上の双子の兄レオネルトと姉のリリアンは、落ち着きがあるので性格は正反対である。
 顔立ちは3人とも似ていて、美少年美少女と言われる精巧な顔のつくりをしている為、3人集まるともう誰もが"ほうっ"と溜め息を吐くほどだ。城の者達は3人で仲良く話している光景を見掛けるが、その綺麗な光景を見れた日には、1日良いことがあるというジンクスが本人達の知らない間に広まっている。

 そんなお転婆なレティシアは今、座って勉強をしていた。机の上に本とノートを広げ、白髪のお年を召したおじいちゃん先生こと、モーン・セグラム先生と1対1の授業を受けている。前回勉強を逃げ出してしまった事が母に知られてしまった為に、今日は大人しく授業を受ける約束をしたのだ。
 
「いいですかな姫様。この世界には5つの精霊が存在しています。」
「はい! みずかぜの精霊です。」
「宜しいですぞ、精霊を使役できるのは精霊師だけしかおりません」
「魔術師は、精霊を使役できないんですよね?」
「魔術師は精霊を使役できませんが、魔術を使う事はできますな」
「どんな違いがあるんですか?」
「精霊師は精霊の力を借りれば、精霊の力が尽きるまで無限に魔法を使えますが。魔術師は自分の魔力を使うので限度があります。それと魔術師は力は精霊士より弱いですが全ての属性の魔術を使う事が出来、逆に精霊師は魔術師より力は強いですが一つの属性しか使えませんのぅ」
「うぅーーん、ちょっと難しいです。モーン先生」

 難しいと言う生徒に教師のホーンは朗らかに笑うと、黒板に人の枠を2つ描く。1つの人の枠の横に円を描きそこに10という数字を書いた。そしてもう1つの人の枠の中に10という数字を書く。
 
「ホッホッ。例にするとですな……もし、姫様が火の精霊と契約したとしましょう。この精霊が10の力を持っていた場合。姫様は10の力を借りて火の魔法を扱う事が出来ます。そして、魔術師が10の魔力を持っていた場合。この10の魔力で多数の属性魔法が使えますのじゃ」
「それじゃあ、魔術師の方が色んな魔法が使えて精霊士より強くないですか?」
「そうでもないですぞ、取り敢えず分かりやすく10の数字で具体例を出してみましたが、魔術師が多くの力を出す事はありますまい。何故ならば、魔力量が多くても身体が耐えられませんのじゃ。なので多くの者は下級か中級の魔術、極稀に上級の魔術使いがいる位ですかな」
「それじゃあ、精霊師は10の魔法が使えるんですか?」
「うむ、契約する精霊によって違ってきますな。5の力しか出せん精霊だったら5の魔法しか使えませんし、逆に20の力を出せる精霊と契約すれば20の力を使えますじゃ」
「じゃあ、強い精霊と契約すればいいんですね!」
「うーーむ。強い精霊と契約出来れば良いですが、それには精霊に信頼され、かつ絆がないと力を使う事は難しいでしょうな」

 授業を受ける中で何度か質問をする生徒に、教師として全て分かりやすく答えるようモーンは伝えていく。
 
「んーーー。難しいね。私は契約するんだったら強い精霊がいいなぁー」
「姫様にも、いつか自分と信頼できる精霊と会えますじゃ、これで今日の授業は終わりにしましょう。余り詰め込み過ぎるとよくないですからな。次の授業も待ってますからな?」
「はーいちゃんと来ます! 有難うございました!!」
 
 モーンは授業に出ればきちんと話を聞き、疑問に思った事をしっかりと聞いてくるレティシアに少なからず好印象を抱いている。ただ時々お転婆過ぎて授業が無くなる事もあるが、それも子どもならではの元気な証拠と微笑ましい。そんなお転婆な生徒に教師はウインクをして次回の授業の約束をし、生徒は元気よく返事を返すのだった。
 

 
 
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