泥酔魔王の過失転生~酔った勢いで転生魔法を使ったなんて絶対にバレたくない!~

近度 有無

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第42話 ドッペルゲンガー⁉

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 装備の採寸を終えてから1週間が過ぎた。
 まだ装備は届いていない様だ。

「おはよー」

 オズは、寝ぼけた顔で教室に入る。
 もう既に、アリア以外のクラス全員が揃っていた。

「オズ君、おはよう!(キラーン)」
「朝から元気だな」
「今日も、太陽が僕を照らしているよ!(ギラギラ)」
(やっぱり、朝からダリアと絡むのはきついな)

 朝から、太陽よりも眩しいダリアと話して、目が覚めたので自分の席に座る。
 オズは、何か違和感を感じている。
 いつも身近にいる人がいないような。
 そんなことを考えていると、サーシャが話しかけてきた。

「オズ君、遅刻ギリギリですよ! アリアが迎えに行かなくても、1人で起きて下さいよ」
(そっか。アリアが居なかったのか)
「悪い。気を付けるよ」

 オズが違和感を感じていたのは、アリアが居なかったからだ。
 いつも一緒にいるので、逆に気付かなかったのである。

「あいつが居ないだけで、こんなにも静かなんだな」
「オズ、アリアが居なくてさみしぃのぉ?」
「いや、べ、別にそんな事はないし!」
「オズ、俺は悲しすぎるぞぉぉぉ!!!」
「おいおい、どうした?」
「アリアちゃぁぁん!!! 早く帰ってきてくれよぉぉ!!!」
「ジャック、1時間くらいずっとこんな感じだよぉ」
「そ、そうなんだな」

 アリアは、今日から聖騎士たちと一緒に遠征に行っている。
 レイと戦っている時に、聖騎士の目に留まったらしく、推薦枠で選出された。
 1年生で聖騎士と共に行動できたのは、アリアの転生前の勇者以来だそう。
 この遠征のことを知っていたのは、ジャック以外のこの場にいる全員だ。
 ジャックに言うと、うるさいので今日まで黙っていた。
 遠征を知ったジャックは、それからずっと泣いているそうだ。
 一方のオズは、強がりを見せて悲しくないふりをしている。

「1週間もいないんだよな」
「オズ、顔に出過ぎだよぉ」

 それからのオズは、明らかに悲しい表情を見せながら、1日を過ごした。
 ジャックは、1回も泣き止むことなく1日を終えた。
 先生たちも、ジャックにどう接すればいいのかが分からずに戸惑っていた。

「今日はもう寝ようかな」

 早い夕食とお風呂を終えたオズは、足早に自分の部屋に向かう。
 オズは、まだ日が落ちていないのにベットに潜り眠りについた。


 ◆

 ドガァァン!!!

「キャー!」
「早く避難を!!!」

 ドガァァン

「なんだ、朝でもないのに外が騒がしいな。まあいいや、寝よう」

 大きな物音と、人々の叫び声で目を覚ましたオズは、呑気に二度寝をしようとしていた。

 ドガァァン!!!

「もう! うるさくて寝れねぇじゃないか!」

 大きな物音と共に地面が揺れ、眠ることができない。
 大きな物音に怒ったオズは、外に出る。

「おい、あれって……」

 オズが外に出ると、大きなモンスターが街を襲っていた。

「おい、お前か!」

 街の人は、オズを見つけると怒鳴り声を上げて向かってくる。

「いや、知らないです」
「嘘言うんじゃねぇ! どう見ても、お前のテイム・モンスターだろ!」
「なんでだ?」
「すっとぼけやがって」

 ドゴン!

 なんと、街を襲っていたのは、バハムートであったのだ。
 しかし、バハムートはこの世に1体しか存在しない為、必然的にハムということになる。
 オズは、必死に知らないことを説明したが、その人は聞く耳を持たず、オズのことを殴ると素早く避難していった。

「出てこい、ハム」

 オズは、不安になりながらもハムを召喚してみた。
 これで召喚できなければ、街を襲っているのがハムということになる。

「こんな時間に何かあったのですか?」
「召喚できる。ってことは、あいつは何者なんだ?」
「ドッペルゲンガーだ!!! すいません、私は失礼さ―」
「お前も、何も知らないのか?」

 ハムは、自分と全く同じ姿をしたバハムートと目を合わせないように、この場から消え去ろうとしたが、オズに引き留められた。

「私は何も分かりません。しかし、あいつの見た目は私ですが、どこかに違和感があります」
「それはなんだ?」
「感覚的なものなのですが、感じるオーラが違うような気がするのです」
「何かあるのかもしれないな。ひとまず、倒すしか方法は無さそうだな」

 少しづつ状況を理解してきたオズは、バハムートと戦うことにした。

「いくぞ、ハム!」
「り、了解です!」
(目だけは合わせないようにしなければ……)

 そうしてオズとハムは、バハムートのいる方へと走り出した。
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