叡知の夢

松本羊平

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同の章

黄金の杖 前編

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麻綾(叡知が真悟の元を訪れてから、8日が経過。叡知は、香天と言う危険な場所に身を置くことで、第三の目(第6チャクラ(アージュニヤー))が研ぎ澄まされ、水地比と対になる波動術である地水師を主軸に、8日間を過ごした。)

麻綾(その間、亜矢達(桃矢と一樹)が御霊神宮の周辺の魔獣族を駆逐し、御霊の結界を復旧させた上で立て篭もる。酉町にいる私と連携して、白虎に憑依された美里ら魔獣族の牽制作戦がようやく実行される。)

麻綾(これにより、叡知は背後を脅かされることなく、朱雀に憑依された亜樹を始め、鈴夜や恕との交渉に専念出来る。このことを黒死蝶(パピヨン)を通して、察知した天空に憑依された美緒は、朱雀に憑依された亜樹に、叡知の撃破を優先するように促そうとする。)

麻綾(しかし、伝令に向かった女郎蜂(キラービー)は、利沙達(鋭気と仁)によって撃破される。敗北を悟った天空に憑依された美緒は、虫系の幻妖族に戦闘を継続させて、植物系の幻妖族と共に夢想園に撤退・・・。)

麻綾(また、玄武に憑依された智恵も、大和の海域を包囲していたが、朱雀に憑依された亜樹の敗北を悟ると包囲を解いて、怪魚族の戦力を白虎港と玄武港付近に集中させる構えを取り、朱雀港や青龍港には申し訳程度の戦力を残す。)

麻綾(その事実を知らない朱雀に憑依された亜樹は、大和図書館に怪鳥族、SAIVIAN(サビアン)天文科学館に恕とアンデット・ゴーレムの混成部隊を差し向ける。激戦の末、彩夏と元春は、逸れてしまう。)

麻綾(そして、7月25日(木)、陽の刻、下弦の月。今日もSAIVIAN(サビアン)天文科学館を襲撃してきた恕と彩夏の激戦が繰り広げられる。)

恕「あれだけいた骸骨兵(スケルトン)や鎧騎士(アームドナイト)を撃退してしまうなんてね・・・。」

彩夏「アヒャヒャ・・・何処からでもヒック・・・掛かってヒック・・・来な!」

恕(何言ってるか分かんねえ・・・。)

彩夏「こにゃいなら、こっちからヒック・・・。」

麻綾(恕の九頭龍偃月刀と彩夏の龍蛇矛が激しく衝突!一方、彩夏と逸れた元春は、彩夏を探しつつ、怪鳥族を撃破しながら、彩夏を探す。)

元春(私としたことが、彩夏と逸れてしまったか・・・今日は半月の日。月の恩恵が半減するが、亜里沙の言う通りにことが運んでいるなら、今の叡知にとっては好都合だが、逆に彩夏がそろそろ限界を向かえるだろう。)

???「誰かと思えば、元春じゃない。」

元春「誰だ!」

亜樹&朱雀「ふふふ。今貴方1人なの?それは、ちょうど良かった。あの時のお礼をしたくてしかったなかったのよ。」

元春(亜樹・・・いや、朱雀!こんな時に厄介な奴に遭ってしまった。)

亜樹&朱雀「この娘にとって貴方が、壊の中距離と言っても、あくまで叡知と彩夏がいればこそ。1対1では、あたしとの実力差は天と地も等しい貴方に勝機は・・・。」

???「残念でしたね。今回も3対1です。」

亜樹&朱雀「誰!」

亜里沙「前田亜里沙。あまり気が進みませんが、鈴夜には図書館の外に出てもらわなければなりません。」

元春「亜里沙、済まない。彩夏と逸れてしまった。」

亜里沙「それには及びません。想定の範囲内です。さあ美樹、元春の回復を急いで下さい。それまでは私が時間を稼ぐます。」

美樹「はーい♪」

亜樹&朱雀「それはつまり、あたしを相手にするって聞こえるけど、そんな華奢な身体で、剣が奮えるのかしら。」

亜里沙「私の水晶の剣は、相手の身も心も凍てつかせる魔性の剣。ついで言うと、大和図書館を取り囲んでいた怪鳥族はすでに片付けさせてもらいましたよ?」

亜樹&朱雀「上等じゃない!その澄ました顔を引き攣った顔に変えて上げるわ!」

麻綾(朱雀に憑依された亜樹の真紅の剣と、亜里沙の水晶の剣が激しく衝突!程なく、美樹が元春を回復させるのを確認すると、亜里沙は距離をとって、水晶の剣を突き立てて、こう唱える。)

亜里沙「氷魔霧幻陣!貴女にはこの霧の迷宮を彷徨って貰います。」

亜樹&朱雀「ちょっと!卑怯よ!正々堂々と勝負なさい!」

麻綾(興奮する朱雀に憑依された亜樹をよそに、亜里沙は元春と美樹を伴い、大和図書館付近まで撤退する。)

元春「ここまで霧幻陣が及んでいるとは、流石は亜里沙。だが、これでは叡知がここを訪れた時に不便では無いか?」

亜里沙「それには及びません。叡知が香天と言う危険な場所に8日も身を置いて、第三の目(第6チャクラ(アージュニヤー))を取り戻しつつあるのなら、辿りつくこと自体は問題はありません。」

美樹「そうそう♪時期に、鈴夜と交渉に来るだろうし、それまでは、美樹達で時間稼ぎだよ♪元春も連戦で疲れてるだろうけど、もうちょっと頑張って♪」

麻綾(程なく、朱雀に憑依された亜樹が散り散りになっていた怪鳥族とアンデット・ゴーレムの混成部隊をまとめて、亜里沙達(元春と美樹)と激戦を繰り広げる。一方、真悟の元にいる叡知は、大和図書館に向かう旨を告げ、真悟に同行を願い出る。)

真悟「叡知、協力してやりたいのは山々だが、香天は俺様がいねえと無法地帯に逆戻りになるから、下手に動けねえ。それに俺様にとって壊の近距離の亜樹が大和図書館付近にいる以上はかえって足手纏いになり兼ねねえしな。」

叡知「そうか・・・それは残念やな・・・。」

真悟「その代わりと言っちゃあ何だが、俺様達が20年前黄金の夜明け団として活動していた時に利用していた秘密基地が、そのまま大和図書館の裏口に通じている。これがその見取り図だ。」

叡知「へぇ・・・そうなんや。」

真悟「問題は、大和図書館に侵入してからだな。あそこの地下室には、魔導書(グリモワール)があって、その中には悪霊悪魔が憑依したものまである上に、方向感覚を狂わす仕掛けが多数ある。鈴夜は十中八九そこにいる。」

叡知「それだけなら大したこと無いけど、鈴夜が魔導書(グリモワール)の悪霊悪魔に憑依されてる可能性が高いってことやな。しかも、鈴夜は鋭気と同様に、火地晋と地火明夷の通常攻撃(1回の行動で、2・3回の連撃)やしな。」

叡知「本来、そんなことしたら、何ターンかは休みになるが、鈴夜にしても、鋭気にしても、何かしらの方法で克服してる。まして、ルーン製の武器を所持してるやろうから、鋼鉄の剣は勿論、白銀の短剣でも太刀打ちは出来ひんやろうな。」

真悟「まあ、真っ向勝負に関してはそうだろうよ。だが、幸いなことに交渉の場は、大和図書館の地下室。必ずお前に合った魔導書(グリモワール)がある。尤も、地下室の魔導書(グリモワール)の量は数え切れない量だろうがな。」

叡知「そこに関しては、盗賊の技術と第三の目(第6チャクラ(アージュニヤー))がものを言うやろうな。まだ、本調子とは言い難いけど、僕にとって鈴夜との相性は、安の中距離。要はやり方次第やな。」

真悟「そこまで分かってるなら、今日中にでも、尾宿曜星(あしたれぼし)の紋章を刻んで、彩夏と合流して、恕との交渉に持ち込んで、心宿曜星(なかこぼし)の紋章を刻めそうだな。」

真悟「それなら、鈴夜と恕には俺様の家に来るように言っておいてくれないか?俺様1人では、香天の抑えでやっとだが、彼奴らが一緒なら、不穏分子を一掃した後で、身動きが取れるようになるしな。」

叡知「分かった。ありがとうな真悟。」

麻綾(かくして叡知は、真悟とアドバイスに従い、大和図書館を目指す。)
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