叡知の夢

松本羊平

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同の章

新・旧暦の属性の波動術 後編

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麻綾(梅花心易堂。未申町郊外にあるこの施設は、波動(マナ)を駆使する波動術の研究所でにして訓練所であり、主に一般人の子供や老人が通っていた。)

麻綾(その背景に、大和は人間の生活圏と妖魔の生活圏と隣合わせと言う事情があり、子供達は過酷な環境を生き抜くため、老人達は子を成す若者達を守るために波動術の訓練を受けるのである。)

麻綾(また、元春の波動術は、新暦の誕生日の星座の属性と、旧暦の誕生日の星座の属性に、タロットの一種のコートカードの人物像から見出した新・旧暦の属性の波動術は、月神(シャトラ)の眷属は勿論、末端の民にまで浸透していた。)

麻綾(叡知と彩夏の来訪を待つ元春。騰蛇戦の際、元春は彩夏や亜里沙と共に、中宮府に押し寄せる龍蛇族の群れと戦闘に繰り広げ、これを退けるも、自身と亜里沙は、その疲労感から、その場を後にして今日に至っていた。)

元春(九星八門砲を打った疲れがなかなか取れない。これでは、叡知と彩夏が訪ねてきて、果たして役に立てるのか分からんな。)

元春(叡知はプリンセスのカップ(山水蒙、地水師、水地比、地沢臨、沢山咸、水山蹇、山沢損、沢地萃)で、彩夏はクィーンのペンタクル(山水蒙、地水師、水地比、地沢臨、沢山咸、水山蹇、山沢損、沢地萃)だったな。)

元春(玄人の冒険者ほど、波動術の詠唱を非効率と考え、自分専用の武器を見出して装備した通常攻撃のゴリ押しで戦うが、血液型を奪われた叡知にはそれは叶わん。まあ、叡知のことだからそれなりの対処はするだろうが、戦闘面では絶望的。)

元春(となると、彩夏の通常攻撃(地沢臨と沢地萃)の範囲内の相手を攻撃。)

元春(5本能(木=運、火=力、土=耐久、金:速度、水=知恵)を上昇させる地沢臨と、囮の沢地萃が合わさることで、方陣(スプレッド)内に誘い込んでからの強烈な一撃は、一度に数体の相手を葬り去る。)

元春(叡知が彩夏に身を委ねていれば、或いは・・・。)

麻綾(元春は叡知と彩夏が来るまでの間、少しでも休養に専念する。その数時間後、叡知と彩夏がやって来ると・・・。)

彩夏「叡知を連れてきたよ。波動(マナ)は回復したの?」

元春「九星砲を打てる分にはな。叡知も久し振りだな。実力の源を奪われたと聞いたが、思った以上に元気そう何よりだ。」

叡知「せやな。早速やけど・・・。」

???「久しぶりね叡知。」

叡知「誰や!・・・って、なんや亜樹やんか。良かった無事やったんやな。」

亜樹&朱雀「どうもありがとう・・・突然だけど、貴方の全てを奪わせてもらうわよ!」

叡知「えっ!?ちょ・・・。」

麻綾(突如現れた朱雀に憑依された亜樹は自らの身体能力を血の触媒で強化し、尚且つ相手の生命力を奪う真紅の剣で斬撃を叡知に浴びせようとするも、咄嗟に引き抜いた叡知の剣で応戦すると、両者の腕に激しい痺れが走ると・・・。)

亜樹&朱雀「やるじゃない。私の剣を防いだだけでなく、腕に痺れを与えるなんて・・・でも、これはどうかしら?」

亜樹&朱雀「紅魔孤月閃!」

麻綾(と唱えると同時に、再度斬撃を浴びせると、叡知の叡知の剣が折れてしまい。)

叡知「嘘・・・やろ・・・。」

亜樹&朱雀「あははは。さすがに紅魔孤月閃の一撃には耐えられなかったみたいね。」

叡知「ちっ・・・。」

亜樹&朱雀「あら良いもの持ってるじゃない。白銀の短剣・・・確かに、下手なナマクラよりはキレ味と耐久性は良いわね。ただし、相手が私がじゃなければの話だけど・・・。」

麻綾(尚も執拗に襲い掛かる朱雀に憑依された亜樹に対し、叡知は紙一重で避けながら、一発逆転の好機を伺う。そんな2人に彩夏は・・・。)

彩夏「このままじゃあ叡知が・・・。」

元春「待て彩夏。君の通常攻撃では、叡知まで巻き込んでしまう。」

彩夏「でも、亜樹の通常攻撃(水天需と天水訟)は、相手の生命(ライフ)と波動(マナ)の搾取。更にそこから2・3倍の威力のダメージに引き上げて来るんだよ。今の叡知じゃあ・・・。」

元春「本来は、そんな真似をすれば、身体の方が持たないが、亜樹は例外。だが、威力を2・3倍にすることによって大振りになって攻撃が当たり難くなる所はどうしようも無いようだ。」

麻綾(元春の言う通り、亜樹が叡知を一方的に圧しているように見えて、叡知は亜樹の攻撃を見切ってかわしていた。)

叡知(今の僕ではどう足掻いても勝ち目は無いけど、元春の通常攻撃(雷火豊と火雷噬盍)の痺れるような渾身の一撃なら・・・。)

麻綾(叡知は、元春の通常攻撃に望みを賭けて、水地比の波動(マナ)の系譜を読み上げながら応戦する。)

亜樹&朱雀「何をブツブツ言ってるの!?」

麻綾(と言って、斬撃を浴びせようとすると、叡知は盾に仕込んだ投擲用の短剣を投げつけると。)

亜樹&朱雀「きゃあ!」

麻綾(と怯むと同時に、叡知は瞬間移動で詰め寄って攻撃!亜樹は咄嗟に防御に切り替えて防ぐと。)

叡知「やっと出来たで、これで半径10メートル圏内は、僕の間合いにして射程距離!ここから反撃や!」

亜樹&朱雀「それはどうしから・・・紅魔紅月印!」

麻綾(朱雀に憑依された亜樹は運命赤い糸と称した霊糸で叡知の身動きを封じると。)

叡知「しまっ・・・た・・・。」

亜樹&朱雀「運命の赤い糸・・・これに絡め捕られた者は私の意のまま!本来は、生命(ライフ)や波動(マナ)の9割強を搾取しつつ、私の陰の波動(マナ)を注入して、憑依状態にする。お臍と生殖器の間の淫紋が浮かべば完了だけど・・・。」

麻綾(叡知は弱体化していたこともあって、臍と生殖器の間に淫紋が浮かび上がってる。だが、そのような状態でも、叡知は自我を保っていた。)

亜樹&朱雀「ふふふ。確かに私が貴方を意のままに出来無い相手なのは十分承知している。でも、今の貴方ならこうして束縛にすることぐらいは造作も無い。後は分かるわね?」

麻綾(そう言って、真紅の剣を構えると。)

叡知(ヤバい・・・殺される・・・。)

亜樹&朱雀「貴方はここまで良くやったわ誉めて上げる。そして、サ・ヨ・ウ・ナ・・・。」

元春「そうだな。ここはお引き取り願うか・・・。」

亜樹&朱雀「紅魔孤月・・・。」

元春「喰らえ!九星砲!」

麻綾(と朱雀に憑依された亜樹が突きの構えで紅魔孤月閃を繰り出すと、同時に元春は九星砲を照射すると。)

亜樹&朱雀「えっ!?ちょ・・・。きゃあぁぁぁ!!!」

麻綾(と叫び声を上げながら、吹き飛んで行くと。)

彩夏「瞬間移動術の最高到達点の100メートルから九星砲・・・亜樹は死んで無い・・・よね?」

元春「真紅の剣は生命(ライフ)と波動(マナ)を吸収し、再生力へと変換する性質がある。これくらいでは死なんさ。それよりも、叡知だ。」

彩夏「そうだった!叡知、大丈夫かい?」

叡知「うーん・・・無償に亜樹に身を捧げたい衝動に駆られるけど、今の所自我は保ってるし大丈夫やと思うけど・・・って、なんやこれ!」

彩夏「あーあ。なんとも霰も無い姿だね。まあ、少なくとも亜樹は死んで無いみたいだし、あんたが平気なら良しとするか。」

元春「大した奴だよお前は。とにかく、六壬神課式盤に虚宿曜星(とみてぼし)の紋章と共に、対極図を刻んでやろう。これにより、盾に仕込んでいる投擲用の短剣にお前の波動(マナ)が付与されるぞ。」

叡知「ありがとうな元春。」

麻綾(こうして、叡知は六壬神課式盤に虚宿曜星(とみてぼし)の紋章と共に対極図を刻む。)
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