叡知の夢

松本羊平

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克の章

七曜の薬草大全 後編

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麻綾(仁達(彩夏、利沙、美緒)は、状態異常で苦しむ叡知を担いで、鈴夜達(真悟と恕)も利用した純高地のルート経由で、OGHAM(オガム)香草園へと向かう。一方、当の叡知の意識は暗闇が支配する空間を漂っていた。)

叡知(俺は・・・こんな所で死ぬんか・・・まあ、それならそれで・・・。)

???(何を言ってるんだ叡知。彗の仇を討って、天帝になるんだろ。僕が導くから、何とかこっちまで来るんだ。)

麻綾(と言う声が聞こえると一条の光が差し込み叡知は、その光を目指す。すると光は次第に大きくなり、叡知を包み込むと、そこは神秘の教会であり、そこには彰がいた。)

叡知「此処は?」

彰「神秘の教会だよ。と言っても、僕の精神世界だけどね。因みに、君の身体は、仁達(彩夏、利沙、美緒)がOGHAM(オガム)香草園に運んでいる所だよ。」

叡知「そうなんや。此処からOGHAM(オガム)香草園は近いな。と言う事は、精神だけが先行して来てるって事やな。」

彰「君の身体がOGHAM(オガム)香草園に来るまでの間、少し散歩をしようか。こんな時でも無いと、ゆっくりできないしね。」

麻綾(叡知は彰に促され、精神世界を散歩する。そして、叡知を担いだ仁達(彩夏、利沙、美緒) OGHAM(オガム)香草園に到着。すぐさま集中治療が施され、一命を取り留めると彩夏と利沙は、叡知の側で意識の回復を待つ。)

彩夏「ラベンダーとベルガモットの芳香で落ち着いたみたいだね。」

利沙「後は、此奴の心が折れていない事を祈るしか無いな。それよりも、仁。叡知の剣を修復するタイミングだが、勾陳戦に間に合わせるとなると・・・。」

仁「11月12日(火)の牡牛座の満月だね。それも、満月の波動(マナ)のピークの丑三つ時(2:00~2:30)までに八咫烏火山に到着して置く必要があるけど、亜里沙に相談して見るよ。」

利沙「分かった。此奴はあたしらで見てるから行ってきな。」

麻綾(叡知の事を彩夏と利沙に任せて、仁は亜里沙のもとに向かう。また、亜里沙も仁、美緒、康史、美樹に今後の方針を伝える。)

仁「成る程。10月28日(月)の蠍座の新月の日に、元春達(彩夏と亜里沙)は丑町の五帝龍王廟。僕達(利沙と美緒)は寅町の山海国際会館。美言達(司龍と一樹)は純高地の大雪寺に配置するんだね。」

美緒「確かに、これなら玄武戦や勇樹の備えになるし、しかもSLF(セルフ)銀行は、青龍港の目と鼻の先。そうなると、勾陳や玄武の側についている達哉や香里が妨害してくるわよ。幾ら、利沙と仁にとって安の中距離の相性と言えど侮れないわ。」

康史「頃合いを見計って彩夏と元春が加勢に向かえば、安の遠距離の相性が加わるから、難なく突破出来るんじゃない。そうすれば、叡知もこのルートから金剛廟に行けるし。で?俺と美樹は如何すれば良いの?」

亜里沙「貴方と美樹は、来るべき時まで、OGHAM(オガム)香草園に留まっていてもらいます。また、11月12日(火)の牡牛座の満月まで、叡知の快調を間に合わされる必要があります。美樹、叡知の体力気力が回復したら、特訓に付き合ってあげて下さい。」

美樹「うん。分かった。」

麻綾(亜里沙は今後の方針を定め、仁は彩夏と利沙に亜里沙の提案を告げ、2人は承諾する。)

麻綾(そして、10月28日(月)の蠍座の新月の日。妖魔の弱体化を確認した元春と一樹は亜里沙達(仁、美緒、康史、美樹)と合流すると、兼ねての手筈通り行動を開始する。元春達(彩夏と亜里沙)は無事に五帝龍王廟に到着する。)

彩夏「上手くいったね。叡知もすっかり回復して、美樹との特訓も順調だったし。正直、あのまま叡知が目覚めないんじゃ無いかって不安だったんだ。」

元春「叡知は彗を失った事と、自らの先走りで招いた事態に人一倍責任を感じている。しかも、康史は成の遠距離。その後に控えている理英は危の遠距離。理英に関しては、それ+満月の日に相手ともなれば、尚更気が重いだろう。」

亜里沙「少々酷かもしれませんが、此度の方針が成功するか否かの明暗は、叡知が理英相手に何処まで食い下がれるかに掛かっていますが、先ずは玄武に憑依された智恵ら怪魚族の猛攻を凌ぎ切る事を考えましょう。」

元春「そうだな。美樹との特訓を見る限りだと、亜樹と鋭気の加勢まで十分耐え凌げるだろう。叡知が理英との一対一に専念出来るようにするためにも、私達(彩夏と亜里沙)は此処を耐え凌がないと行けないしな。」

麻綾(元春達(彩夏と亜里沙)は玄武に憑依された智恵ら怪魚族の猛攻を凌ぎ切る決意を新たにする。一方、仁達(利沙と美緒)も山海国際会館に到着する。)

利沙「着いたな。取り敢えず、あたしは香里。お前は達哉に、睨みを利かせておけば良いってことだよなぁ。」

仁「そうだね。現状この状態を保つ事になるけど、満月の波動(マナ)は、僕達月神(シャトラ)の眷属の月兎のDNAが衝動的になる訳だけど、その満月の波動(マナ)による衝動さえも亜里沙は計算しての配置だよ。」

美緒「となると、11月12日(火)の牡牛座の満月の日。貴方達は、八咫烏火山を目指すから、彩夏と元春の加勢が来たら、私は亜里沙のいる五帝龍王廟に行けば良いのかしら?叡知の剣を修復を終えても、以降は亜里沙と私、元春と仁の2組で対処しない行けないわね。」

仁「11月27日(水)の射手座の新月の日に、叡知が勾陳を撃破すれば、彩夏と利沙が戻って来るだろうから、その時に態勢を立て直せば、例え、勇樹が妖魔群(龍蛇族、怪鳥族、幻妖族)と共に攻めて来ても長期間戦い抜けるから、今は香里と達哉を釘付けにしよう。」

麻綾(仁達(利沙と美緒)は、寅町にいる香里と達哉に、睨みを利かせる。一方、美言達(司龍と一樹)も水晶堂に到着する。)

司龍「こんな所に、敵が来るとは思えない。なあ確か、新月の日は妖魔は弱体化するんだろ?一樹もいる事だし、今の内に、玄武に憑依された智恵を解放と同時に、玄武を撃破して置いた方が良いじゃないか?」

美言「天帝陵の機能が停止している以上、此処が陥落したら、亥町は妖魔群(龍蛇族、怪鳥族、幻妖族)に蹂躙されりばかりか酉町へのルートも道筋を失うのよ。もう少し考えて発言しなさい。」

一樹「怒られたちゃったな司龍。亜里沙の事だ。時期に此処が激戦区になると踏んで、俺達なら、此処を凌ぎ切れると踏んでの事だと思うぜ。気持ちは分かるが、玄武に憑依された智恵の事は、叡知に任せて、俺達は亜里沙の指示に従おうぜ。」

美言「流石は一樹ね。亜里沙からの話では、恕は真悟と鈴夜と合流。亜樹と鋭気は陰陽館に到着したみたいね。私達(司龍と一樹)もみんなに遅れを取らないように頑張ろう。」

麻綾(功を焦る司龍を制した美言と一樹は大雪寺の堅守に全力を注ぐ。一方、OGHAM(オガム)香草園に残った叡知は、美樹と康史と共に鍛錬に励んでいた。)

叡知「よっしゃあ!大分良くなって来たで。」

美樹「これならいつでも戦えるね♪」

叡知「嗚呼。美樹の特訓と康史の治癒料理。特に、ハーブティーが最高やけど、すっかりみんなに出遅れたな・・・。」

康史「樹木。健康。病気からの快復。今の叡知は病み上がりで、フワフワした状態何だから、地に足をつけた状態に戻す事に専念しなよ。」

麻綾(康史は叡知の焦りを取り除く。その直後に、六壬神課式盤に翼宿曜星(たすきぼし)の紋章が刻まれていた。)
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