叡知の夢

松本羊平

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克の章

十二星座超波動石 (パワーストーン)前編

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麻綾(水星の逆行期間(2019年11月1日(金)から2019年11月20日(水))が発生。)

麻綾(その数日後、11月12日(火)の牡牛座の満月の日の陽の刻。妖魔との戦闘が特に苛烈さを増す満月の日に置いても、亜里沙の的確な配置転換が功を制し、一歩も譲らない。その状況を勇樹は、羅刹の剣の陰の波動(マナ)で回復を計りながら様子を見ていた。)

勇樹(亜里沙め。妖魔が弱体化する新月の日の僅かな瞬間を見逃さずに、的確な配置転換を行うとは・・・。)

騰蛇(これでは、寅町に潜伏させた香里や達哉が降伏のは時間の問題。叡知はこの混乱に乗じて、子町を通過して、金剛廟を目指すだろう。気の毒だが、理英と勾陳には可能な限り時間を稼いでもらうとして、12月12日(木)の双子座の満月には間に合わせるか?)

勇樹(勿論だが、何をするつもりだ?)

騰蛇(北斗七星山に登って、金神の化身を宣言し、中亭に昇格した妖魔から選りすぐりの八体を上亭に昇格させて八将軍の地位を与え、その上で玄武に憑依された智恵ら怪魚族と共に攻め上がるのだ。)

麻綾(勇樹はその時まで中宮府で静観しつつ回復を計る。一方、理英と勾陳に憑依された吉平は、性交渉をしながら、叡知は勿論、亜樹と鋭気がどのように攻め上がって来るかを話し合う。)

理英「叡知が陰陽館に戻っていない。亜里沙の配置転換で、香里と達哉の妨害工作は失敗したも同然。となると叡知は、山海ルートから金剛廟にやって来るはずよ。」

吉平&勾陳「だが、それにそのルートだと、亀の爺さんの勢力圏内を突破しないと行けねえし、来た道を引き返して亜樹と鋭気との合流を計るんじゃねえか?」

理英「その考えこそ、叡知の思う壺よ。貴方は亜樹と鋭気を妨害するために、金剛族を香天ルートに集中させれば、ガラ空きになった山海ルートから叡知は金剛山脈に誘き寄せる事が出来るわ。」

吉平&勾陳「まあ、確かに今の叡知を相手は理英が打ってつけだな。彼奴が、この短期間でどれだけ調子を取り戻せているかは知らねえが、第七チャクラ(サハスラーラ)を発動させる上で、重要な生まれた曜日がこの手にある以上、叡知に勝ち目はねえ。」

麻綾(勾陳に憑依された吉平は、逆にこの状況を逆手に取るべく、理英の提案に乗る。この時、理英が叡知の生まれた曜日を奪った事を知る由も無く・・・。一方、玄武に憑依された智恵は、亜里沙の配置転換に脱帽する。)

智恵(亜里沙奴、やるのぅ。これでは、叡知を妨害しようにも、亜里沙と美緒がその隙を衝いて、あわよくばお主から儂を解放しようとするぢゃろうな。彩夏と元春も、利沙と仁と合流すれば、香里と達哉は幸福して、叡知の道筋も明るいものぢゃろうて。)

玄武(叡知の事ぢゃから、来た道を引き返して、亜樹と鋭気と合流した上で、香天ルートで金剛廟を目指すぢゃろう。万一、山海のルートを選択して、此処を突破しても、その先には香里と達哉、さらにその先には理英が控えてともなれば、尚更ぢゃ。)

智恵(あんまり奴を侮るものでは無いぞ。幾ら、理英が控えているとは言え、叡知を勾陳の懐に入り込ませれば、勾陳は撃破され、理英と吉平も向こう側につき、香里と達哉の宿曜星の紋章を刻んで、雪崩れ込んで来る事になるのぢゃぞ?)

玄武(その時は、復活した勇樹ら妖魔群(龍蛇族、怪鳥族、幻妖族)と共に返り討ちにするまでじゃ。お主も知っていよう。妖魔の憑依は時間経過と共に同化に移行する事を。)

麻綾(智恵は玄武を煽る事で、叡知から注意を逸らす事に成功する。一方、亜里沙は叡知の道筋と、対玄武戦に向けて新たに配置転換を行う。そこに美緒が合流する。)

亜里沙「良く来てくれましたね美緒。今宵は満月。叡知の道筋を明るくするために、玄武に憑依された智恵ら怪魚族の注意を惹きます。激戦になりますが、貴女の通常攻撃(瀕死状態からのダメージ1.5倍)をあてにしていますよ。」

美緒「ねえ亜里沙。もし、叡知が香天ルートを選択したら?天空を撃破したと言っても、最後の悪足掻きで状態異常に陥って以来、叡知は酷く弱気になっていたし、リスクのある山海ルートを選択するかしら?」

亜里沙「そこは、叡知が私達を信頼してくれているかに賭けるしかありませんが、どちらにしても、叡知は理英に会わないと行けません。また、何より勾陳が危惧しているのは、叡知が亜樹と鋭気と合流する事です。となれば、全力で妨害してくるでしょう。」

美緒「成る程ね。貴女の見解では、叡知は山海ルートを選択する。また、金剛族の妨害も予測して、亜樹と鋭気の手引きに、彩夏と元春を向かわせれば、亜樹が叡知のもとに辿りついて、理英との戦いに加勢するって所かしらね。貴女の水晶の導き・・・あてにするわ。」

麻綾(亜里沙は叡知を信頼しているのに対し、美緒は先の戦いからのショックから立ち直れているかが不安のようだが、覚悟を決める。一方、仁と利沙と合流した彩夏と元春は、今夜の激戦に備えて、四葉庵に集まる。)

彩夏「理英と言えば、卯町にあるCRISTAL MARKET(クリスタルマーケット)で、超波動石(パワーストーン)やそれらを加工したアクセサリーを販売してるよね。特に、新暦、旧暦月星座に対応した超波動石(パワーストーン)のブレスレットが良いよね。」

元春「それらは、金剛山脈の白銀鉱山から採掘されたもの。理英としても、そこを勾陳に憑依された吉平ら金剛族に抑えられては商売が出来ない。叡知が、白銀鉱山の奪回してくれると期待を持たせれば、理英も此方側に戻ってくる筈だ。」

仁「ただ、同世代の身から言わせてもらうと、確かに叡知も努力はしているけど、理英は僕達の誰よりも早い段階で実践している以上、叡知が万全でも厳しい相手。そこで、君達が香里と達哉を降したら、すぐさま亜樹と鋭気を手引きして欲しいんだ。」

利沙「あたしらは、叡知の剣の修復を行う。勾陳に憑依された吉平との決戦の11月27日(水)の射手座の新月の日には合流するように間に合わされるから、それまで宜しく頼むぜ。」

麻綾(彩夏と元春は亜樹と鋭気を手引きするため、利沙と仁は叡知の剣の修復のため、眼前の香里と達哉に圧力を掛けて降した上で、行動を開始する。一方、叡知はOGHAM(オガム)香草園にいながら、遠方の状況を静観していた。)

叡知(亜里沙と美緒が仕掛けたようやな。今なら、北斗七星山経由なら、山海に行けそうやけど・・・恐らく理英は俺の行動を読んで、待ち構えてるやろな。正直、万全の状態でも勝てる気がせんのに、今の状態じゃあ・・・。)

美樹「どうしたの叡知?行かないの?亜里沙と美緒が玄武に憑依された智恵を惹きつけている今しか、山海ルートを経由する千載一遇のチャンス何だよ?」

叡知「いや・・・俺1人だけ金剛山脈に辿りついて何が出来るんかなっと思うとな・・・此処は、来た道を引き返して、亜樹と鋭気と合流した上で、香天ルートからの方が・・・。」

康史(木の葉。状況が好転する兆し。)

康史「これは俺の推測だけど、理英が既に君の実力の根源を奪い返してると思う。それに彩夏を始め、みんなは君を信頼して亜里沙の提案に乗って行動している。少々酷かもしれないけど、君はみんなの信頼に応えないと行けないじゃないかな?」

叡知「せやな。ありがとう康史。」

麻綾(康史の後押しで、叡知もようやく決意を固めて、山海ルートから金剛山脈を目指す。)
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