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意の章
運命数と密教九字 後編
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麻綾(美言の占歌によって、無意識化の太陽を叡知の剣に宿した叡知。一方、一樹も鳳凰の剣を両手で持つと同時に闘士の炎を宿す。そして両者は対峙する。)
叡知(あえて九星陣を展開して南西(裏鬼門)に誘うか?それとも鋒に太陽の波動(マナ)を集約して、一気に決着をつけるか?)
一樹(叡知!俺はこの日のために、鳳凰の剣の威力を極限にまで高めるべく、盾を捨てて両手持ちにしたんだ!何処からでもこい!)
叡知(構えに隙が無い・・・それに凄い気迫や・・・刀身の鮮やかな青から察するに、凝縮された炎そのもの・・・良し!先手必勝の九星斬や!)
一樹(来たか!鳳凰の剣の威力を味わえ!)
麻綾(先に仕掛けたのは叡知。一樹はそれを迎え撃つ。美言達(司龍、智恵、彩夏)は、その様子を見守る。)
美言「流石は叡知。先手を取るのが上手いわね。斬撃の方向も皆(離)や闘(震)に有効な臨(坎)と裂(兌)の方向から打ち込めているわね。」
司龍「凄え!あの一樹を圧倒している!案外、このまま行けるんじゃねえか!?」
智恵「どうかのぅ?有効な斬撃の方向はお互い様・・・単純な威力は片手の叡知と両手の一樹では一樹の方が遥かに上ぢゃ。それに、叡知は美言の占歌を借りて太陽の波動(マナ)を発揮しているのに対し、一樹は全て自力・・・先に仕掛けたのは悪手かもしれんぞ。」
彩夏(叡知・・・。)
麻綾(智恵の危惧した通り、当初こそ圧倒した叡知だが、少しずつ一樹に圧され始めてきていた。)
叡知(一撃一撃が一撃必殺の威力の連続攻撃・・・しかも両手持ちやから威力が桁違いや・・・。)
一樹「おいおい叡知。これじゃあ、彼岸花の社での特訓中の頃の方が遥かにマシじゃないか。」
叡知「なっ・・・。」
一樹「美言の占歌で無意識化の太陽を呼び覚ましてもらって良い気になってるようなら、あの時の必死さを思い出させててやるぜ!」
麻綾(叡知は一樹の猛攻に、八門脚を展開して対応する。美言達(司龍、智恵、彩夏)は、その様子を見守る。)
美言「対妖魔戦ではともかく、現時点で格上の一樹相手に、先に仕掛けたのは不味かったかもしれないわね。同じ一撃必殺に等しい威力の連続攻撃なら、両手持ちの一樹の方が威力が高まるもの。」
司龍「でも、一樹は鳳凰の剣の威力を高める事に拘り過ぎたせいで、皆(離)や闘(震)の斬撃の方向でしか攻撃出来てねえぞ?あれなら、どの方向から来るのが読み易いから、八門脚で十分防げているじゃないか!?」
智恵「ぢゃが、守勢のままでは、理英との戦いの二の舞ぢゃ。あの時は、偶然に偶然が重なって引き分けた訳ぢゃが、今回はそうはいかん。何とかせんと、体力気力共にゴリゴリ削られて行く一方ぢゃ。」
彩夏「そんな・・・。」
麻綾(叡知は、八門脚で防いでいるものの、一樹の猛攻は、激しさが増す一方だった。)
叡知(あかん・・・これじゃあ、理英の時の二の舞・・・うん?理英の時・・・そうか!この手があった!)
一樹「どうした叡知!?守るだけで精一杯か!?」
叡知「あんまり調子に乗るなや一樹!受けに回るのも飽きたから攻めに転じようと考えてた所や。」
一樹「なっ!?盾を捨てるとは血迷ったか叡知!?」
叡知「そう言えば一樹は知らんかったな。今以上に非力で鋼鉄の剣の重さに振り回されてる時は両手持ちやったし、そこそこ力がついた時は攻撃回数に拘って二刀流やったこともあるやで。」
一樹「気に入らないな。今の言い方だと、今まで本気でやっていなかったように聞こえるぜ?」
叡知「一樹もまだまだやな。俺が盾を持つようになった意図が分からんようやと、言時点で格下の俺に負ける事になるやんで。」
麻綾(盾を捨てた叡知は一樹と激しい唾ぜり合いに持ち込む。美言達(司龍、智恵、彩夏)は、その様子を見守る。)
司龍「叡知が二刀流?あんまりイメージ湧かないな・・・。」
智恵「二刀流の戦法は儂が教えたのぢゃ。元々、彼奴は左右の脳のバランスが良く、左手も利き手に遜色無く扱えていたからのぅ。」
彩夏「叡知が盾を持つようになったのは、亜樹や麻綾と言った年下の娘達を護りたい一心から何だよ。当然、二刀流の時よりも攻撃回数が減るから、属性付与で一撃必殺の威力を引き出す事に繋がったって訳さ。」
美言「亜樹のルーン製の武器は相手の体力気力を奪い取る真紅の剣。叡知が唾ぜり合いに持ち込んだと言う事は、体力、若しくは気力の回復を図るつもりね。一樹がその事に気づかないと・・・」
麻綾(美言の予想通り、叡知は鳳凰の剣から生じる爆発力を吸収して、波動(マナ)の回復を図っていた。)
一樹(・・・ちょっと疲れて来た・・・。)
叡知(良し!気づいてないな。波動(マナ)の回復はこんなもんやな。生命(ライフ)も、此奴が異変に気づくまで吸収するで!)
麻綾(叡知は一樹が異変に気づくギリギリまで、体力気力の回復を図る。美言達(司龍、智恵、彩夏)は、その様子を見守る。)
彩夏「叡知は無意識化の太陽の効力が失ったけど、動きに精彩が戻って来たのに対して、一樹に疲れの色が見えて来ているね。鳳凰の剣を持ってしても、4倍の負荷と消耗は如何しようも無いって所かね。」
智恵「それだけじゃ無いぞ。恐らく叡知は亜樹の真似事をして、一樹の波動(マナ)を吸収していたのぢゃ。尤も、亜樹のように生命(ライフ)と波動(マナ)を同時にと言う訳にはいかんぢゃろうが・・・。」
司龍「だからこそ、一樹もちょっと疲れたぐらいにしか思っていないのかもな。案外、俺達が見落としているだけで、亜樹以外の真似事も試しているかもしれないぜ。」
美言「この場で出来る真似事は、叡知にとって栄・親と業・胎の相性の宿曜師・・・つまり、彩夏、亜樹、鋭気、利沙、達哉、智恵、司龍、そして麻綾ね。それを密かに九星斬に織り交ぜているって感じね。」
麻綾(司龍や美言の言う通り、叡知は彩夏、亜樹、鋭気、利沙、達哉、智恵、司龍、麻綾の真似事を織り交ぜて戦う事で形勢逆転!少しずつ一樹を追い詰めて行く。)
一樹(そうか・・・さっきから唾ぜり合いに持ち込んで来ていたのは、俺の生命(ライフ)と波動(マナ)を吸収して回復を図っていたのか・・・。)
叡知(気付かれたみたいやな。これは勝負に出て来るな・・・色々試して見て、司龍と利沙の真似事が一番しっくり来たな・・・。)
一樹(こうなったら・・・10倍にまで高めた最大出力の火力で勝負に出るしか・・・。)
美言「そこまでよ!」
一樹「美言!?今一番良い所なのに・・・。」
美言「これ以上は、どちらかが死ぬ事になり兼ねない。貴方達は持てる全ての力を出し尽くした。それだけで十分よ。」
麻綾(美言の制止で一対一は終了する。2人はお互いの健闘を称え合う。)
一樹「結局は勝てなかったか・・・やっぱり、斬撃の方向も皆(離)や闘(震)しか無いのが不味かったのかな・・・。」
叡知「まあ、対妖魔は生きるも死ぬも一瞬の勝負やから、今回のような状態になる事は殆ど無いからな。無意識化の太陽は、今の俺には早いみたいやけど、色々発見も多かったから有意義やったで。」
一樹「・・・如何やら俺の完敗だな。今のあんたは、密教九字で言う陣で、進むより守りを固める時期。今回の異変を乗り越えても後には裂と在の受難の年が待ってるが、その気持ちがあれば乗り越えて行けるぜ。」
麻綾(一樹は叡知の向上心に感服する。そして、(畢宿曜星(あめふりぼし)の紋章が六壬神課式盤に刻まれる。)
叡知(あえて九星陣を展開して南西(裏鬼門)に誘うか?それとも鋒に太陽の波動(マナ)を集約して、一気に決着をつけるか?)
一樹(叡知!俺はこの日のために、鳳凰の剣の威力を極限にまで高めるべく、盾を捨てて両手持ちにしたんだ!何処からでもこい!)
叡知(構えに隙が無い・・・それに凄い気迫や・・・刀身の鮮やかな青から察するに、凝縮された炎そのもの・・・良し!先手必勝の九星斬や!)
一樹(来たか!鳳凰の剣の威力を味わえ!)
麻綾(先に仕掛けたのは叡知。一樹はそれを迎え撃つ。美言達(司龍、智恵、彩夏)は、その様子を見守る。)
美言「流石は叡知。先手を取るのが上手いわね。斬撃の方向も皆(離)や闘(震)に有効な臨(坎)と裂(兌)の方向から打ち込めているわね。」
司龍「凄え!あの一樹を圧倒している!案外、このまま行けるんじゃねえか!?」
智恵「どうかのぅ?有効な斬撃の方向はお互い様・・・単純な威力は片手の叡知と両手の一樹では一樹の方が遥かに上ぢゃ。それに、叡知は美言の占歌を借りて太陽の波動(マナ)を発揮しているのに対し、一樹は全て自力・・・先に仕掛けたのは悪手かもしれんぞ。」
彩夏(叡知・・・。)
麻綾(智恵の危惧した通り、当初こそ圧倒した叡知だが、少しずつ一樹に圧され始めてきていた。)
叡知(一撃一撃が一撃必殺の威力の連続攻撃・・・しかも両手持ちやから威力が桁違いや・・・。)
一樹「おいおい叡知。これじゃあ、彼岸花の社での特訓中の頃の方が遥かにマシじゃないか。」
叡知「なっ・・・。」
一樹「美言の占歌で無意識化の太陽を呼び覚ましてもらって良い気になってるようなら、あの時の必死さを思い出させててやるぜ!」
麻綾(叡知は一樹の猛攻に、八門脚を展開して対応する。美言達(司龍、智恵、彩夏)は、その様子を見守る。)
美言「対妖魔戦ではともかく、現時点で格上の一樹相手に、先に仕掛けたのは不味かったかもしれないわね。同じ一撃必殺に等しい威力の連続攻撃なら、両手持ちの一樹の方が威力が高まるもの。」
司龍「でも、一樹は鳳凰の剣の威力を高める事に拘り過ぎたせいで、皆(離)や闘(震)の斬撃の方向でしか攻撃出来てねえぞ?あれなら、どの方向から来るのが読み易いから、八門脚で十分防げているじゃないか!?」
智恵「ぢゃが、守勢のままでは、理英との戦いの二の舞ぢゃ。あの時は、偶然に偶然が重なって引き分けた訳ぢゃが、今回はそうはいかん。何とかせんと、体力気力共にゴリゴリ削られて行く一方ぢゃ。」
彩夏「そんな・・・。」
麻綾(叡知は、八門脚で防いでいるものの、一樹の猛攻は、激しさが増す一方だった。)
叡知(あかん・・・これじゃあ、理英の時の二の舞・・・うん?理英の時・・・そうか!この手があった!)
一樹「どうした叡知!?守るだけで精一杯か!?」
叡知「あんまり調子に乗るなや一樹!受けに回るのも飽きたから攻めに転じようと考えてた所や。」
一樹「なっ!?盾を捨てるとは血迷ったか叡知!?」
叡知「そう言えば一樹は知らんかったな。今以上に非力で鋼鉄の剣の重さに振り回されてる時は両手持ちやったし、そこそこ力がついた時は攻撃回数に拘って二刀流やったこともあるやで。」
一樹「気に入らないな。今の言い方だと、今まで本気でやっていなかったように聞こえるぜ?」
叡知「一樹もまだまだやな。俺が盾を持つようになった意図が分からんようやと、言時点で格下の俺に負ける事になるやんで。」
麻綾(盾を捨てた叡知は一樹と激しい唾ぜり合いに持ち込む。美言達(司龍、智恵、彩夏)は、その様子を見守る。)
司龍「叡知が二刀流?あんまりイメージ湧かないな・・・。」
智恵「二刀流の戦法は儂が教えたのぢゃ。元々、彼奴は左右の脳のバランスが良く、左手も利き手に遜色無く扱えていたからのぅ。」
彩夏「叡知が盾を持つようになったのは、亜樹や麻綾と言った年下の娘達を護りたい一心から何だよ。当然、二刀流の時よりも攻撃回数が減るから、属性付与で一撃必殺の威力を引き出す事に繋がったって訳さ。」
美言「亜樹のルーン製の武器は相手の体力気力を奪い取る真紅の剣。叡知が唾ぜり合いに持ち込んだと言う事は、体力、若しくは気力の回復を図るつもりね。一樹がその事に気づかないと・・・」
麻綾(美言の予想通り、叡知は鳳凰の剣から生じる爆発力を吸収して、波動(マナ)の回復を図っていた。)
一樹(・・・ちょっと疲れて来た・・・。)
叡知(良し!気づいてないな。波動(マナ)の回復はこんなもんやな。生命(ライフ)も、此奴が異変に気づくまで吸収するで!)
麻綾(叡知は一樹が異変に気づくギリギリまで、体力気力の回復を図る。美言達(司龍、智恵、彩夏)は、その様子を見守る。)
彩夏「叡知は無意識化の太陽の効力が失ったけど、動きに精彩が戻って来たのに対して、一樹に疲れの色が見えて来ているね。鳳凰の剣を持ってしても、4倍の負荷と消耗は如何しようも無いって所かね。」
智恵「それだけじゃ無いぞ。恐らく叡知は亜樹の真似事をして、一樹の波動(マナ)を吸収していたのぢゃ。尤も、亜樹のように生命(ライフ)と波動(マナ)を同時にと言う訳にはいかんぢゃろうが・・・。」
司龍「だからこそ、一樹もちょっと疲れたぐらいにしか思っていないのかもな。案外、俺達が見落としているだけで、亜樹以外の真似事も試しているかもしれないぜ。」
美言「この場で出来る真似事は、叡知にとって栄・親と業・胎の相性の宿曜師・・・つまり、彩夏、亜樹、鋭気、利沙、達哉、智恵、司龍、そして麻綾ね。それを密かに九星斬に織り交ぜているって感じね。」
麻綾(司龍や美言の言う通り、叡知は彩夏、亜樹、鋭気、利沙、達哉、智恵、司龍、麻綾の真似事を織り交ぜて戦う事で形勢逆転!少しずつ一樹を追い詰めて行く。)
一樹(そうか・・・さっきから唾ぜり合いに持ち込んで来ていたのは、俺の生命(ライフ)と波動(マナ)を吸収して回復を図っていたのか・・・。)
叡知(気付かれたみたいやな。これは勝負に出て来るな・・・色々試して見て、司龍と利沙の真似事が一番しっくり来たな・・・。)
一樹(こうなったら・・・10倍にまで高めた最大出力の火力で勝負に出るしか・・・。)
美言「そこまでよ!」
一樹「美言!?今一番良い所なのに・・・。」
美言「これ以上は、どちらかが死ぬ事になり兼ねない。貴方達は持てる全ての力を出し尽くした。それだけで十分よ。」
麻綾(美言の制止で一対一は終了する。2人はお互いの健闘を称え合う。)
一樹「結局は勝てなかったか・・・やっぱり、斬撃の方向も皆(離)や闘(震)しか無いのが不味かったのかな・・・。」
叡知「まあ、対妖魔は生きるも死ぬも一瞬の勝負やから、今回のような状態になる事は殆ど無いからな。無意識化の太陽は、今の俺には早いみたいやけど、色々発見も多かったから有意義やったで。」
一樹「・・・如何やら俺の完敗だな。今のあんたは、密教九字で言う陣で、進むより守りを固める時期。今回の異変を乗り越えても後には裂と在の受難の年が待ってるが、その気持ちがあれば乗り越えて行けるぜ。」
麻綾(一樹は叡知の向上心に感服する。そして、(畢宿曜星(あめふりぼし)の紋章が六壬神課式盤に刻まれる。)
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