叡知の夢

松本羊平

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意の章

筆跡と運命 後編

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麻綾(智恵は、未申町に侵入した妖魔群(龍蛇族、怪鳥族、幻妖族、金剛族、怪魚族)の襲撃の撃破する。)

智恵(ふぅ・・・かなりの数ぢゃが、中亭の妖魔を相手にする鋭気達(達哉と亜樹)や彩夏達(利沙と司龍)の事を思えば楽なものよ。)

智恵(間も無く丑三つ時(2:00~2:30)を過ぎる・・・さすれば、4月23日(木)の牡牛座の新月が近づくに連れて奴等の勢いも落ちると言うもの・・・。)

智恵(あれから叡知は、亜矢からの課題の般若心経の写経以外に、易占いを始め、ありとあらゆる占星術の一説の写本を試みておるしのぅ・・・。)

智恵(もう一踏ん張りぢゃな・・・妖魔群(龍蛇族、怪鳥族、幻妖族、金剛族、怪魚族)は、星空学園には一匹たりとも近寄らせんぞ!)

麻綾(智恵の奮戦で、妖魔群(龍蛇族、怪鳥族、幻妖族、金剛族、怪魚族)は、星空学園には一匹たりとも近寄る事は無かった。一方、叡知と亜矢は、星空学園の寮の一室で、占星術の写本を試みていた。)

叡知「凌犯期間(6月2日(火)から6月28日(日))の1・2ヶ月前の満月の日の丑三つ時(2:00~2:30)とは思えん静けさやな。」

亜矢「うん。文字を見ればお前の精神が安定しているのが分かる。此処に来た時には、彗への復讐心が先行して焦りが見えていたが、今は一点を見据えながらも周りが見えている。」

叡知「不思議やな。亜里沙みたいに心理状態を見透かされてるのに不快感が全く無い。亜矢の教え子・・・特に、桃矢達(一樹、康史、美里、吉平)が大成してるのは、文字から心理状態を把握して的確に導いて来たって事が分かった。」

亜矢「私は勉強が出来る=頭が良いとは思わない。亜里沙や鈴夜のように幾ら成績が良くても人間性に問題がある奴は優秀とは言えない。当時、座学や実技こそ皆無だったが、相手を思いやれるお前ような奴があんな風になる事はあってはならない事だ。」

叡知「お前が担任やったら、あんな事は無かったかもしれんけど、今更どうしようも無い。それに、俺には彗を始め、達哉や智恵、彩夏や利沙、鋭気や司龍、亜樹や麻綾がおったから此処まで来れたんや。」

亜矢「そうだな。叡知、座学は此処までだ。今から性教育の実技を行う。お前のさっきの話にも興味があるしな。」

麻綾(叡知と亜矢はお互いの霊糸を絡めた上で、魔羅を陰部に挿入する。そして、叡知は亜矢の精神世界に赴く。そこは、叡知が去った後の星空学園・・・保守派と革新派が対立する一触即発の雰囲気だった。)

叡知「鋭気から聞いてたけど酷いもんやな。しかも、事の発端が、俺が自分を抑えられなかったがキッカケなんてな・・・。」

亜矢「気にするな。教官至上主義の支配的な体制への不満が限界まで来ていたから遅かれ早かれこうなっていたさ。」

叡知「教官達保守派は、中央との繋がりがある亜里沙を迎え入れ、生徒達革新派は、生徒主導を主張する鈴夜を筆頭に蜂起・・・現在に至る。」

亜矢「私は保守派についた。亜里沙は気に入らなかったが、鈴夜は口ではごもっともな事を言っているが、自分が良い格好をしたいだけのように思えたからな。当初は、上智主義(グノーシス)の後盾に革新派が優勢だったが・・・。」

叡知「俺が上智主義(グノーシス)の幹部(五行星)を倒した・・・とは言え、俺が彗のもとで参戦した時には、宿曜師達にも手に終えない深刻な状況やった。だから俺は、騰蛇の誘いに乗って羅刹の剣を使ったんや。」

亜矢「そうか・・・革新派が失速したのはそのためか・・・あれから年月が経過し、鈴夜に面白半分で加担していた真悟。落ちこぼれと馬鹿にされた怒りで参加していた理英先輩が、星空学園を去り、18歳の頃には成績優秀ながらも孤立無援になっていたよ。」

叡知「利沙を始め、真悟、理英、梅花心易堂で再会したで。星空学園の高等部は、成績優秀じゃないといけんへんし、その独特の空気もあって、彩夏、鋭気、彰も梅花心易堂に移って来たな。こうして見ると、革新派と中立派の面々が勢揃いやな。」

亜矢「梅花心易堂は元春が、星空学園について行けなかった月神(シャトラ)の眷属のための私塾だが、大和の民の一般人はもとより、別世界の異邦人も積極的に迎え入れていると理英先輩から聞いたな。」

叡知「彼処は、怪鳥族の巣窟の鳳閣楼やスラム街と隣接しているからお世辞にも良い環境とは言い難いけどな。真悟と理英は気づいたらおらんようになってたし、彰に関しては戌亥町の片田舎に籠ってまうしな。」

亜矢「その辺も中立派と革新派の行動が顕著に現れているな。星空学園に嫌気が刺して梅花心易堂に来たものの、余りのギャップに馬鹿馬鹿しくなったって所だろうな。しかも実力次第で成り上がれるスラム街が隣にあればな。」

叡知「香天(辰巳・午町)は、大和で唯一月神(シャトラ)の眷属の秩序が通用しない所やから、今日まで生き延びた真悟と理英は大したもんやな。まあ、裏を返せば、そこに行って生き延びた奴は殆どおらんけど・・・。」

亜矢「確かに、真悟が経営するSYBILLA CLUB(シビラクラブ)周辺と朱雀港以外は行った事は無いな。まあ、龍蛇族や金剛族の巣窟があるから、余程の用事が無い限り行こうとは思わないがな。」

叡知「一応、龍蛇族の巣窟の九頭龍川は紫陽花が綺麗やし、金剛族の巣窟の金剛山脈の秘湯と良い所はあるんやで。まあ、危険の方が大きいから、大人しく梅花心易堂で勉強してたけどな。」

亜矢「そう言えば、仁とお前は伝書鳩で文通していたな。上智主義(グノーシス)事件から1年間風魔の里で過ごした後、梅花心易堂に入門してから一般人や異邦人に色々教えていたそうじゃないか。」

叡知「あの戦いは、敵味方関係無く多くの人が死んだ。月神(シャトラ)の眷属だろうが、そうで無かろうが関係無く・・・。」

叡知「亜里沙も大和の秩序のために、雪と氷の魔女になって、まだ幼い勇樹の心臓を貫き封印を施した。以来、その事がトラウマになって潔癖症になった見たいや。」

亜矢「そうか・・・お前も亜里沙も辛い思いをしたんだな・・・それだけに、鈴夜の行動が益々自己中極まり無いが・・・。」

叡知「生き延びてるから良えやん。あの戦いだけでも月神(シャトラ)の眷属の月兎のDNAを過信して命を落とした奴を嫌と言う程見てきたし、何より恐怖の余りに自分が抑えられ無くなるのが嫌やったから、基本からやり直す事にしたんや。」

亜矢「保守派、革新派、中立派、どのルートでも、拳法家、盗賊、守護士は必須条件だもんな。その上で、極める職業次第で戦士系か魔道士系になる訳だが、私は気づいたら保守派ルートの魔道士系だったな。」

叡知「俺の場あっ・・・。」

麻綾(叡知はそう言い切る前に射精!そのまま元の場所に戻って来る。)

亜矢「30分・・・早すぎず長過ぎない。感情の起伏が最も激しくなり易い満月の日丑三つ時(2:00~2:30)に置いて、模範解答だぞ。」

叡知「・・・一緒にはイケんかったけどな・・・。」

亜矢「ははは。私と一緒にイキたかったのか。可愛い奴。まあ、それは栄・親と業・胎の相性でも難しいと思うが、お互いが気持ち良いのが性交渉だもんな。さあ、性教育の授業は此処までだ。無理しないで、ゆっくり休むんだ。」

叡知「・・・ありがとうな亜矢。」

麻綾(全てを出し尽くした叡知は深い眠りにつく。そして、昂宿曜星(すばるぼし)。の紋章が六壬神課式盤に刻まれる。)
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