叡知の夢

松本羊平

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意の章

筆跡と運命 中編

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麻綾(智恵と叡知は、星空学園に辿り着くと、亜矢と合流する。13歳の時に、自分に手を上げた教官の腕を切断し脱走・・・以降は智恵の手引きで、前室宿曜星(はついぼし)の宿曜師の彗のもとでの戦いの日々を送り今に至る。叡知にとっては、11年振りの来訪となる。)

智恵「亜矢も人が悪いのぅ。御主にとっては、忌むべき場所だろうに・・・。」

叡知「智恵がおるから平気やで。それに、亜矢とは今の星空学園を見て欲しいって約束したからな。」

亜矢「良く来てくれたな智恵、叡知。言うまでも無く、凌犯期間(6月2日(火)から6月28日(日)の1・2ヶ月前に突入したら、妖魔の活動が活発になる。特に、4月8日(水)の天秤座の満月の日は要注意だ。」

亜矢「御霊神宮には鋭気達(亜樹と達哉)。陰陽館には彩夏達(利沙と司龍)。大和牧場には理英、桃矢。それぞれに討伐隊がついている。私達は警備隊と共に、侵入を赦した妖魔の排除。太常の陽の波動(マナ)が働いているからと言って油断は出来ない。」

智恵「中亭の妖魔は、鋭気達(亜樹と達哉)と彩夏達(利沙と司龍)が、防いでくれるとして、儂等が相手にする下亭の妖魔。ぢゃが、其奴らも、かなりの人を喰らって力をつけていると見て良いぢゃろ。」

叡知「中亭の妖魔を相手にする鋭気達(亜樹と達哉)と彩夏達(利沙と司龍)の事を思えば、楽な戦闘やな亜矢。」

亜矢「まあな。今から入念な準備をすれば、難なく切り抜けられる。そこで、下亭の妖魔は智恵と警備隊に任せて、お前と私は個別の授業を4月8日(水)の天秤座の満月の日まで、般若心経の写経をやってもらう。」

麻綾(叡知は般若心経の写経を試みる。摩訶般若波羅蜜多心経。)

麻綾(観自在菩薩、行深般若波羅蜜多時、照見五蘊皆空、度一切苦厄、舎利子、色不異空、空不意識、色即是空、空即是色、受想行識亦復如是、舎利子。)

麻綾(是諸法空相、不生不滅、不垢不浄、不増不減、是故空中無色、無受想行識、無限耳鼻舌身意、無色声香味触法。)

麻綾(無眼界、乃至無意識界、無無明亦、無無明尽、乃至無老死、亦無老死尽、無苦集滅道、無智亦無得。)

麻綾(以無所得故、菩提薩埵、依般若波羅蜜多故、心無罣礙、無罣礙故、無有恐怖、遠離一切顛倒夢想。)

麻綾(究竟涅槃、三世諸仏、依般若波羅蜜多故、得阿耨多羅三藐三菩提、故知般若波羅蜜多。)

麻綾(是大神呪、是大明呪、是無上呪、是無等等呪、能除一切苦、真実不虚、故説般若波羅蜜多呪。)

麻綾(即説呪日、羯諦、羯諦、波羅羯諦、波羅僧羯諦、菩提薩婆訶、般若心経。)

麻綾(右為:開花彗。写経願主:松本叡知。2020年3月24日(火)。)

麻綾(あれから8日が経過し、束の間の休息期間(3月9日(火)から4月1日(水))が終了し、凌犯期間(6月2日(火)から6月28日(日))の1・2ヶ月前に突入した4月2日(木)。鳴りを潜めていた妖魔の活動が活発化し始める。)

麻綾(白虎と同化した美里が、中亭に昇格した魔獣族を鋭気達(亜樹と達哉)に嗾けて自身は私に備える中、騰蛇から接続が入る。)

騰蛇(白虎よ。御霊神宮が奪還されたそうだが大丈夫か?)

白虎(美里が我手にある内は奴等も下手に手出しは出来ない。叡知が桃矢から魔切り法を伝授されると厄介。応援に来てくれると有難い。)

騰蛇(ならば、妖魔群(龍蛇族、怪鳥族、幻妖族、金剛族、怪魚族)を預けよう。俺は勇樹と同化を果たし、後は身体の回復を待つのみ、八将神や暗黒生命体は俺が率いて、五帝龍王廟や五輪塔(タットワタワー)の連中を引き受けよう。)

白虎(助かる。)

麻綾(騰蛇もまた勇樹と同化していた。そして、6日後の4月8日(水)の天秤座の満月の日。白虎と同化した美里ら魔獣族のもとに、妖魔群(龍蛇族、怪鳥族、幻妖族、金剛族、怪魚族)が集結すると、彼岸花の社を拠点に、未申町に侵攻を開始する。)

麻綾(彼岸花の社から侵攻して来た妖魔群(龍蛇族、怪鳥族、幻妖族、金剛族、怪魚族)は、彩夏達(利沙と司龍)が陰陽館にて迎え撃つ中、桃矢と理英は大和牧場にて下亭の魔獣族を迎え撃つ。)

桃矢「鋭気達(亜樹と達哉)と彩夏達(利沙と司龍)は凄えな。凌犯期間(6月2日(火)から6月28日(日))の1・2ヶ月前の満月の日に中亭の妖魔の侵入を許さねえなんてよ。」

???「感心している場合か!下亭の妖魔が数多く侵入しているのは事実に変わりは無い。」

理英「吉平!香里!朱雀港の方は大丈夫なの!?そもそも、未申町に妖魔が徘徊しているのに、良く此処まで来られたわね。」

吉平「其方は鳳閣楼の結界が働いていたのか大した事は無かったんだ。未申町に侵入して来た下亭の妖魔は、智恵が駆除に当たっていたから此処まで来られた。」

香里「はいはい話は此処まで!魔獣族の魔手から大和牧場を護るわよ!」

麻綾(吉平と香里の加勢を得た桃矢と理英は、迫り来る魔獣族を撃破して行く。一方、彰は騰蛇と同化した勇樹や白虎と同化した美里の動きを見ていた。)

彰(五帝龍王廟や五輪塔(タットワタワー)は、勇樹が暗黒生命体を嗾けているものの、小競り合い程度で済んでいる。美言や一樹が戦線復帰した事もあって、今の所は問題は無いみたいだね。)

彰(一方、御霊神宮と陰陽館の方は、魔獣族に加えて妖魔群(龍蛇族、怪鳥族、幻妖族、金剛族、怪魚族)の相手はきついだろうね。おまけに、白虎のこれまでの傾向から、星空学園の叡知と亜矢を直接狙う可能性も高い。)

麻綾(彰は白虎に同化された美里が、直接星空学園を襲撃する可能性を危惧する。彰の危惧通り、虎狼宮にてその瞬間を待っていた。)

白虎(この時を待っていた。叡知と亜矢だけなら・・・。)

???「何処に行こうとしているのかしら?」

白虎「麻綾か!?」

麻綾「私今、凄くむしゃくしゃしてるの・・・ちょっと付き合ってくれないかしら!」

麻綾(私は白虎に同化された美里に襲い掛かり、そのまま戦闘に突入する。一方、鋭気達(達哉と亜樹)は、御霊神宮にて中亭の魔獣族を喰い止めていた。)

達哉「中亭ともなれば流石に手強いが、白虎自ら来なかったのは不幸中の幸い。かなりの下亭の妖魔を素通りさせたが、近くに智恵がいるなら問題無い。」

亜樹「虎狼宮で強大な波動(マナ)の衝突を感じる。まさか麻綾が・・・。」

鋭気「叡知に対する想いが憎しみに変わっている。白虎を撃破しても、逆上した麻綾に叡知がやられてしまえば元も子も無い。万一の時は、亜樹、俺、利沙で食い止めている内に、叡知を逃がさないとな。」

麻綾(ある意味、白虎と同化した美里以上の脅威である。一方、彩夏達(利沙と司龍)は、陰陽館にて中亭の妖魔群(龍蛇族、怪鳥族、幻妖族、金剛族、怪魚族)を食い止めていた。)

利沙「正気刑の状態では、抵抗力の無いものはその陰の波動(マナ)に当てられただけで死に至る。妖魔群(龍蛇族、怪鳥族、幻妖族、金剛族、怪魚族)の残党を白虎の所に集結させた方が合理的って訳か・・・。」

彩夏「間も無く墓気刑の状態に移行する・・・そうなると、勇樹は騰蛇と同化し、八将神と共に、龍神の結界を破ろうとするだろうね。」

司龍「でも、其方は亜里沙達(元春と美樹)、美緒達(仁、美言、一樹、康史)、鈴夜達(真悟と恕)がいる。みんなを信じて、此処を耐え凌ごうぜ。」

麻綾(司龍の一言で、利沙と彩夏は奮い立つ。また、未申町に侵入した下亭の妖魔は、智恵の奮戦によって撃破される、)
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