叡知の夢

松本羊平

文字の大きさ
上 下
58 / 69
意の章

指紋三十二相の波動術 中編

しおりを挟む
麻綾(五帝龍王廟、五輪塔(タットワタワー)、十六夜平原と激戦!彰は夢の世界にて、それらを静観していた。)

彰(桃矢と叡知は上手く白虎を誘き寄せたみたいだね。案の定、麻綾は狂戦士状態になったものの、流石は現宿曜師最強の智恵。元春達(美言と仁)が加勢に来るまで見事に凌ぎ切って、速やかに退散したみたいだね。)

彰(後は鋭気達(達哉と亜樹)や彩夏達(司龍と利沙)が合流すれば、白虎は撃破したも同然だけど、麻綾を抑えている元春達(美言と仁)や五帝龍王廟と五輪塔(タットワタワー)の戦況を鑑みると、美里を救出したら即座に撤退しなければ行けない。)

彰(全ての鍵は香里のルノルマン号を月神(シャトラ)湾に接舷して、理英と吉平が周辺の魔獣族を一掃して退路を確保出来るかに掛かっているね。僕も、みんなの検討を祈りつつ、麻綾に気取られないように風魔の里の結界を緩めておこう。)

麻綾(彰は美里の救出後、桃矢を始め、叡知達(彩夏、亜樹、鋭気、利沙、達哉、智恵、司龍)を風魔の里に迎え入れる準備を始める。一方、吉平達(理英と香里)は、ルノルマン号で砲撃を行いつつ、月神(シャトラ)湾に接舷する。)

香里「何とか近づけたわね。後は付近の魔獣族を一掃するだけよ。白兵戦は任せたわよ理英、吉平。」

吉平「分かった!桃矢と叡知達(彩夏、亜樹、鋭気、利沙、達哉、智恵、司龍)を回収したら、白虎港に向かって元春達(美言と仁)と合流。桃矢と叡知達(彩夏、亜樹、鋭気、利沙、達哉、智恵、司龍)を玄武港に降ろしてから、青龍港に向かえば良いんだな?」

理英「そうよ。そのためにも、付近の魔獣族を一掃して退路を確保しないとね。さあ、行くわよ吉平。援護は任せたわよ香里。」

麻綾(理英と吉平は上陸して付近の魔獣族の掃討を開始し、香里は2人の援護を行う。一方、桃矢と叡知は白虎と同化した美里と激戦を繰り広げる。)

麻綾(2人は、白虎の意宿の特性(害)による白虎真空斬を避けつつ、美里の精神に訴え掛けるように、桃矢は三尸を駆除する呪文を唱え、叡知は凶夢を吉夢に変える呪文を唱える。)

桃矢「彭侯子、彭常子、命児子、悉入窈冥之中、去離我身!」

白虎「無駄だ。この女は今日まで我を始め、無数の魔獣族に犯され、貴様ら言う穢れを溜め込んでいる。」

叡知「赫赫陽陽、日出東方、断絶悪夢、辟除不祥、急急如律令!」

白虎「分からんか?この女はそれによって精神は崩壊した。助けに来るのが遅過ぎたのだ。最早訴え掛けた所で、何の返答も無い。我が貴様らを殺すか、我事この女を楽にする以外他に無い。」

麻綾(白虎の煽りに惑わされ無いように、桃矢と叡知は美里の精神に訴え掛ける。一方、智恵は元春達(美言と仁)の加勢に救われ、竹取砦を脱出!そのまま桃矢と叡知のもとに戻る。)

智恵(儂とした事がかなり手こずってしもうたのぅ・・・。)

???「智恵?こんな所で何をしている?」

智恵「おお、達哉、亜樹、鋭気。嫉妬で我を忘れた兎に手間取ってのぅ・・・。」

亜樹「私の生命(ライフ)と波動(マナ)を少し分け与えるわ。貴女なら、それで十分でしょ。」

智恵「すまんのぅ・・・この様子では、後から来る彩夏達(司龍と利沙)も加勢に来るが疲労困憊のはずぢゃ。儂も出来る限りの事はするが、現時点で余力を残しておるのは達哉と鋭気の御主ぢゃ。」

達哉(智恵が此処まで追い詰められるとはな・・・。)

鋭気「元春達(美言と仁)が抑えているが、今の麻綾は上亭の妖魔に等しい。早い所、白虎から美里を解放して撃破しないとな。」

麻綾(智恵は鋭気達(達哉と亜樹)と合流すると、桃矢と叡知のもとに向かう。一方、彩夏達(司龍と利沙)は彼岸花の社を襲撃して来た妖魔群(龍蛇族、怪鳥族、幻妖族、金剛族、怪魚族)を退ける。)

利沙「ちょっと手こずっちまったな。日も暮れて来たし、桃矢と叡知は大丈夫だろうか?元春達(美言と仁)が麻綾を抑えているから、智恵は自慢の逃げ足で逃げてると思うが・・・。」

司龍「だったら、鋭気達(達哉と亜樹)と一緒に合流してるだろうから一応は大丈夫だろ。とは言え、長引けば叡知もそうだけど、五帝龍王廟と五輪塔(タットワタワー)の方面も危うくなるな。」

彩夏「あたいらも加勢に行くよ。白虎との戦闘は、丑三つ時(2:00~2:30)に突入する前に決着をつけるよ。」

麻綾(彩夏達(司龍と利沙)は彼岸花の社を放棄して、桃矢と叡知のいる十六夜平原に向かう。一方、私と元春達(美言と仁)は、竹取砦にて衝突する。)

元春(可哀想にな。叡知に会えなかった寂しさと、白虎ら魔獣族との度重なる接触による陰の波動(マナ)を蓄積させ、満月の波動(マナ)の刺激によって爆発したと言う所か・・・。)

麻綾「・・・エ・・・イ・・・。」

仁(この胸を締め付けれられ、首を締め上げられる感覚は上亭の妖魔・・・いや、六凶星(騰蛇、朱雀、天空、勾陳、玄武、白虎)そのものじゃないか・・・。)

麻綾「コ・・・ロ・・・シ・・・テ・・・ヤ・・・。」

美言「貴女の苦しみは分かったわ・・・でもね。それはみんな一緒なの。悪いけど大人しくしててもらうわ。」

麻綾(そう言うと美言は占歌を歌う。美しく透き通る歌声に私は心を奪われ、身動きが取れなくなる。そして、5月7日(木)の蠍座の満月の陰の刻。)

麻綾(尚も、2人は美里の精神に訴え掛けるように、桃矢は三尸を駆除する呪文を唱え、叡知は凶夢を吉夢に変える呪文を唱え続ける。)

美里(・・・桃矢?・・・桃矢なのか!?)

白虎(意識が回復したか・・・このままでは同化が維持出来ない・・・気取られる前に、白虎旋風陣で・・・。)

???「気取られる前になんぢゃ?言うてみい!」

白虎「誰だ!?」

智恵「儂ぢゃよ。遅くなったのぅ叡知。」

叡知「智恵!それに鋭気達(達哉と亜樹)も!」

桃矢「ちっ俺の手で美里を助けてやりたかったのによ・・・。」

鋭気「同化状態を崩しただけでも十分だぜ。それでも納得がいないなら、もっと実戦経験を積まないとな。」

亜樹「後は私達に任せて、貴方は先に吉平達(理英と香里)と合流してなさい。」

達哉「三尸を駆除する呪文・・・これを唱えつつ一撃必殺に等しい連続攻撃を浴びせ続ければ良いのか?」

叡知「そうや。俺は引き続き凶夢を吉夢に変える呪文を唱えつつ、美里の精神に訴え掛けるから頼んだで。」

麻綾(美里の精神に訴え掛けるように、叡知は凶夢を吉夢に変える呪文を唱え、他のみんなは三尸を駆除する呪文を唱え続ける。次第に、さっきまで小声だった美里の心の声が、よりはっきり聞こえるようになって来た。)

美里(叡知!今からお前の指紋を返すぞ!)

叡知(分かった!行くで!)

白虎(させるか!)

???「叡知の邪魔はさせないよ!」

白虎「彩夏・・・利沙・・・司龍・・・貴様ら妖魔群(龍蛇族、怪鳥族、幻妖族、金剛族、怪魚族)の相手をしていたのでは!?」

利沙「そんなもん返り討ちにしてやったぜ。」

司龍「今度はお前だぜ白虎!」

麻綾(白虎は一瞬、彩夏達(司龍と利沙)に気を取られた瞬間。美里の意志によって雷獣の剣が叡知の剣と交差!婁宿曜星(たたらぼし)が六壬神課式盤に刻まれる同時に、叡知の指紋が返還される。)

叡知「行くで白虎!九星八門斬!」

白虎(そんな・・・馬鹿な・・・。)

麻綾(叡知は間髪入れずに、九星斬に最後の一押しを加えた九星八門斬を繰り出して白虎を一閃!白虎を撃破し、美里の救出に成功する。)
しおりを挟む

処理中です...