さよならの続編

軌跡

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第二章 ”動”

第六話「明けない夜はないということ」

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 静は甘いものが好きだった。幼い頃、外に遊びに行く時なんかも、五~六個の飴がいつもポケットに入っていたような気がする。私と祭は、そんな彼からよく飴やチョコレートなんかをもらっていた。
 お菓子が出てくるあのポケットは、きっと魔法のポケットなんだと、その頃は結構本気で思っていたっけ。
 静はガムが嫌いだった。ずっと噛んでいなくてはならないこと、味がなくなっていくこと、それから飲み込めないところが嫌いなんだと言っていた。それは高校生になっても変わらなかったようで、静のポケットにガムが入っていることはなかったような気がする。
 祭は辛いものが好きで、私は酸っぱいものが好きだった。私達はそれぞれ異なる味を好んでいた。だからカレーなんかは、甘口がいいと言う静と、辛口がいいと言う祭の意見がよく衝突していたっけか。
 そういうことがあったから、カレーを食べる機会というのはほとんどなかった。だから、カレーに雰囲気が似ているシチューを、よく作ってもらっていたような気がする。その内三人で一緒にシチューを作ったりもしたんだ。
 カレーに雰囲気が似ているから、という理由だけではなかったはずだが、どうにもその辺りの記憶が曖昧だった。ただ、確かなことが一つ。
 シチューが、私達三人に共通する一番好きな食べ物だったということ。それだけは、はっきりと覚えている。

『祭には内緒だよ』

 ふと、そんな言葉が脳裏を掠めた。いつだったか―今のは静が、昔私に向けた言葉だった。記憶違いでなければ確か―そう、三人でシチューを作っている最中のことだったように思う。
 なんだっけ、と追憶する。祭には内緒。一体何を?
(…あ)
 そうだ、そうだった。あの手にあった、静が持っていたあれは―チョコレートだった。ミルクではなく、ホワイトの方。
 そう、甘いものが好きだった彼は、カレーにチョコレートを入れるのと同じ要領で、シチューにもチョコレートを放り込んだのである。隠し味のつもりだったのだろう。
 祭には内緒。だからそれを知っているのは私と静だけ。
(…やっぱり、三人じゃなきゃ無理よ。静はきっと、チョコレートのことを、祭には教えないでいってしまったに違いない)
 それにたとえここにチョコレートがあったとしても、あの頃シチューにチョコレートを入れていたのは静だ。シチューに対してどれだけのチョコレートを入れればいいのか、それは彼にしかわからないことである。分量はそもそも存在しないだろうが、そこを適当にしてしまえばあの頃の味は再現できない。やはり静がいない時点で、完成はありえなかった。
 青子は隣りの幼なじみをちらりと窺った。まさかこの歳で再び、エプロンを着けた緑間と台所に立つ日が来るなんて、と青子は苦笑いをする。なんだか気恥ずかしい気持ちになった。
 中学の頃はさして変わりなかったが、幼い頃は三人の中で緑間の背が一番低かった。順番的には、赤崎、青子、緑間である。
 それが高校に上がってまっ逆さまに逆転した。一番背の低かった彼はすぐに青子を追い越し、最終的には赤崎よりも背が高くなったのである。
 青子の身長は春の身体測定で163.2cmと出ている。赤崎は175.3cmで、緑間はそれよりほんの少し高い177.1cmだった。
 この身長差はいただけない。見上げるという行為は、青子をドギマギとさせていた。誰彼構わず、というわけではなく、やきもきするのは緑間を見上げた時だけだ。
 昔は私より小さかったくせに、と内心で毒づく。昔は何も、大した差などなかったのに。今では男女の差が、はっきりと表立ってわかるようになってしまった。
 全体的に華奢な青子とは対照的な、とても広い背中、逞しい腕、声変わりの象徴である喉仏、大きな手。改めてそれを意識すると、幼い頃にはなかった目に見えない隔たりを感じて、何故だかとても胸が痛む。
「どした?ぼうっとして」
 調理に使ったまな板と包丁を洗っていた青子の手が、いつの間にか止まっていたようで、それを見兼ねてか緑間が彼女の顔を覗き込んだ。―覗き込むだけの余裕があるこの身長差が、本当にいただけない。
「…別に、なんでも」
 蛇口をひねり、泡だったまな板と包丁を水洗いする。水温で頭が冷えた。何馬鹿なことを考えているんだ、と自分に叱咤する。不謹慎にもほどがあった。
「洗い終わったら皿、用意してくれ。できるだけ底が浅くて大きめのやつな。あと、自分で食える分だけ飯もついどけ…ああ、一応バターロールも買ってきてあるから、好きな方選んでいいぞ」
 そろそろ仕上げの段階に入っているシチューを、ゆっくりと混ぜながら緑間が青子に言った。彼女はハンドタオルで手を拭きながら、小さく返事をしてエプロンを外す。
 そして炊飯器と、レジ袋の中から見えるバターロールに目を留めた。どちらを食べるかなど、考えるまでもない。青子は初めから、どちらも食べるつもりなどないからだ。
 食器棚は台所のすぐ後ろにあるので、青子は自然と緑間に背を向ける態勢となった。だからもちろん、今緑間がいつもと違うことをしていたところで、背をを向けている青子にはそれがわからない。―そう、わからないのだ。
 ぐつぐつと煮込む音がする。いい匂いもした。
(それでもやっぱり、三人で作った味じゃない)
 後ろからパキっと、そんな音が聞こえた。もちろん緑間に背中を向けている彼女には、今の音の正体などわかるはずがなかった。



「よっし、おまちどうさん。つっても、俺だけが作ったわけじゃねえけど」
 シチューを盛った皿を緑間がテーブルに置く。食欲をそそる匂いが鼻をくすぐった。けれど、シチューを盛った皿は二枚だけだ。三人目の皿は、用意されていない。青子はぎゅっと手を握り締める。
「あれ、お前ご飯は?バターロールにすんの?」
 緑間はガサガサと、レジ袋から六個入りのバターロールを取り出し、ほれ、と青子に差し出す。
 青子はバターロールが好きだ。パンの中ならダントツで一位を誇る。それくらい青子はバターロールが好きだったし、そもそもご飯よりもパンの方が好きだった。
 だから緑間が好きな方を選んでいいと言ったあの時、本当はわかっていたのだ。優しい幼なじみが、自分の為にバターロールを買ってきてくれたことを。
 緑間が好き好んでバターロールなど買うはずがない。何故なら彼は、基本的に味の薄いものを好まないからだ。バターロールの味の主体は、その名の通りバターである。青子は、それが緑間にとって味の薄いものに分類されることがわかっていた。だからこれが、彼自身の為でなく青子の為に買われてきたものだということも、わかってはいるのだ。
 それでも。
 わかってはいても、そのバターロールに手を伸ばすことはできなかった。
「…要らないわ。食欲、あまりないし」
「ふーん、そっか。まあいいけどな」
 にやりと緑間が笑う。言い方がとても嫌みったらしくて、青子は思わず「何よ」と聞き返しそうになった。普通なら、今の状況でその顔はしないだろう。にやにやというのがぴったりな、意地の悪い笑みだった。
 もうすぐ十八時になる。ここ数日は別として、普段はもう少し遅い―大体十九時くらいに夕飯を食べるのだが、まあいいかと青子は妥協した。待ったところで、どうせ待ち人の分の皿が用意されることはないのだから。
(やっぱり、)
 幼なじみとの久しぶりの再会によって、徐々に自分の中で赤崎が過去にすり替えられているように青子は感じた。本当は、過去になんてしたくないのに。
 理不尽なこの世界は、どうやら誰かを思う好意でさえ過去にしてしまうようだ。
「そんじゃ、いっただっきまーす」
「…いただきます」

 どうしてそんな、平気な顔で笑えるの、と青子は向かいに座る幼なじみに問いかける。声には出さず、心の中で。

(あれからたったの数日で…どうしてあなたは、そんな風に笑えるの?)

 祭りは私よりも、ずっと静のことが好きだったはずだ。
 好意に優劣をつけるような不躾なことはしたくないけれど、本当に祭は、誰よりも静のことを大切に思っていたはずだった。その好意は、もちろん異性に向けるそれとは大分かけ離れてはいたものの、あれも一種の愛の形だった。それくらい、祭は静のことが好きだったはずだった。
 静がいないと地に足をつけて立つこともままならない、祭にとって静は、自分の世界そのものだったはずだ。自分でそう、言っていたじゃないか。
 まして静は、祭を庇って死んだのだと聞いている。それは祭にとって、たった数日で過去だと割り切れるものではないはずだ。それを許容できるほど、彼はまだ大人ではない。大人では、ないはずだ。
 だからこの一週間、どうしても私は祭と連絡が取れなかった。自分のことで精一杯だったというのも事実だが、本当は、かける言葉が見つからなかったから。どんな言葉も、どんな慰めも、祭が必要としていないのだとわかっていたから。

(ねえ、祭)

 なんで笑えるの。本当に、静のことは過去に置いてきたの。新しい世界を手に入れたの。
 祭にとって、静ってその程度の存在だったの?

(もし、本当にそうだとしたら)

 そうだったとしたら、私は―。

「おーい。手、止まってんぞー」
 はっと青子は我に返った。向かいに座る緑間が、怪訝そうな顔で頬杖をついている。青子の方はといえば、スプーンでシチューをすくったところで、本当に手が止まってしまっていた。
「ちゃっちゃと食えよ、冷めるだろ。話も進まねえし、お前に食わせる為にシチュー作ったんだからな」
 ああ、そういえば。話があるって言ってたっけ。青子は、部屋で緑間が言った言葉をぼんやりと思い出す。その為に来たんだとも言っていた。話とは一体なんだろう。学校に来いとか、そういう類のことだろうか。
 緑間は制服で家に来た。ということは、彼は今日学校へ登校したと考えて間違いないだろう。
 学校に行かないのに制服を着る必要は、どこにもない。だから彼が制服を着ているということは、つまり制服を着る必要があったというわけで、つまるところ制服を着る必要があるのは、学校へ行く時くらいのものだ。
 あれから、たったの一週間で。
 この幼なじみは、そこまで立ち直ることができたらしい。
(もしも祭が、学校に来いよ、なんて言ってきたら)
 私はちゃんと、自分の感情をコントロールできるだろうか。
「青子?」
「…なんでもないわ」
 青子は止まっていた手を動かし、僅かに湯気の立っているシチューを一口食べる。
 一口食べて、涙腺がいきなり緩み始めた。
「え…」
 ぽろっと涙がこぼれる。この幼なじみの前では泣いてばかりだと、そんなことを青子は思った。不意打ちのように流れた涙は、彼女の意思に反して止まろうとはしない。明らかに無意識の涙だった。
「嘘。なんで、これ」
 青子がさした“これ”とは、涙のことではなくシチューのことだ。先ほど、青子と緑間の二人で作ったはずのシチュー。もっとも、青子は野菜を切るくらいのことしかしてはいないが。
 もう一度、おそるおそるといった風に、シチューをスプーンですくって青子は食べる。やはり、涙は止まらなかった。
(この味は、)

『祭には内緒だよ』

 あの頃三人で作ったシチューの味と同じだった。寸分違わず、全く同じ味をしていた。また一口、もう一口と急かされるようにシチューをすくったが、心に沁みるこの味は、確かに。
 ぐう、とお腹が鳴った。ここ数日ろくに食べ物は口にしていなかったが、ここまで盛大に腹の虫が意思表示をしたのは、今日が初めてかもしれない。
「ま、どんだけ悲しくても、腹の虫は正直っつうことだな」
 目前の幼なじみが、先ほどと全く同じ意地の悪い笑みを浮かべた。素直にムカつくと青子はそう思った。
 おそらくこの幼なじみはわかっていたのだろう、青子がこうなることを。だから保険としてバターロールを買ってきたのだ。さっきの嫌味な笑みの正体は、青子がこうなることをわかっていたからこそ、浮かべられたものだったに違いない。
 そう思うと、幼なじみの思惑通りにことが進んでいくことがひどく癪で、彼女は緑間から再び差し出されたバターロールに、意地を張って手を伸ばすことができずにいた。
 ぐう、とまたお腹が鳴る。緑間は苦笑いをして、青子が受け取れないでいるバターロールを、テーブルにを置いた。そして、どこか懐かしむような表情を浮かべて、緑間は再び頬杖をつく。
「まさか静のアホが、俺にだけ内緒で勝手にチョコレートを入れてたとはな。あいつにはマジで恐れ入るぜ」
「なんでそれを…だってそれは、私と静の」
 二人だけの内緒のはずだった。祭は絶対に反対するだろうから、と。
 赤崎本人は、もうそんなことがあったことすら忘れているかもしれないが、青子は記憶の奥底に埋もれていただけで、忘れていたわけではない。それこそシチューを見る度に、あんなこともあったと思い出していたくらいだ。
 それでも青子は、二人だけの内緒ごとを口にしたことなど一度もなかった。つまり、赤崎が自分から口に出さない限り、緑間はその内緒ごとに関して知る術を、持っていなかったということだ。そして青子の知る限り、そういう会話を二人がしていた記憶はない。
 それではいつ、緑間はそれを知ったのか。多すぎもせず、少なすぎもせず、赤崎にしかわからなかった隠し味の分量を、緑間はいつ聞いたのか。
 ―そういえば、食器棚から皿を取り出していたあの時、パキっと何かを割るような音を聞いた。あれはチョコレートを割った音だったのかもしれない。今更ながらそれに気づく。
「静が言ったんだ。シチューの中に、ホワイトチョコレートを入れろって。聞いた時は流石にぞっとしたけどな…ま、よく考えてみたら、俺達はそれを作って食ってたわけだから、一概にもあいつの言い分を否定することはできなかったけど」
「静が…?でも、私の記憶違いでなければ確か中三の時以来、シチューは」
「今さっき聞いたんだよ、買い物してる最中にな」
 言葉が口から出てこなかった。ただ、自分の目が大きく見開かれたことだけはなんとなくわかった。目が乾く。
(今さっき…ですって?)
 この幼なじみは、自分が何を言っているのか本当にわかっているのだろうか。今さっき、買い物してる最中に?
(そんなこと、あるわけないじゃない)
 何を馬鹿なことを―静はもう、この世界のどこにもいないんだって、あなたがそれを、一番近くで見ていたんじゃないの。他の誰でもない、あなたがそれを、私に伝えたんでしょう。
 それを、どうして。それなのに、どうして、今さっき買い物をしている時に静と一緒だったみたいな言い方をするのよ。
「さっきも言っただろ?あいつは俺達のすぐ傍にいるんだって」
 緑間が、隣りの空白の席を見やった。二人は向かい合う形で席についているが、両者共に左隣りの席は空白である。当たり前だ、今この家には、緑間と青子以外誰もいないのだから。
 そんな中、緑間はまるで自分の隣りに誰かが座っているかのような目を、空白の席に向けていた。そう、誰もいないのに、だ。
 青子もその席に目を向けてみたが、やはりそこには誰もいない。少なくとも青子には、誰かがいるようには見えなかった。
「なんて、適当に濁すのはらしくねえよな、やっぱ」
 それは、青子に向けられた言葉ではなかったのだろう。それは独り言のようにも聞こえたし、自分で自分に言い聞かせているようにも感じた。けれどやはり、自分以外の誰かに向けられた言葉であるようにも、思えたのである。今この場には青子と緑間しかいないにも関わらず。
「話があるんだ。俺にもお前にも関係ある、すっげえ非現実的な話が」
 全部事実だから信じろよ、と幼なじみは念を押した。どうやらこれから、この私が信じられないような非現実的な話が切り出されるらしい。それは、学校に来いよ―などという類の話では、おそらくないのだろう。なんとなく直感で、青子にはそれがわかった。
 青子は、これからこの幼なじみが切り出すであろう話を、頭の中に思い浮かべる。一つ一つ、今まで緑間が言った言葉の端をくっつけていくと、それは思いのほかあっさりと青子の目の前に現れた。ぽん、と思い浮かんだそれは確かに非現実的で、彼女は思わず笑ってしまった。笑えるくらいには、随分精神状態が安定し始めているらしい。
(もしもそれが、本当なら)
 自分の思う非現実と、彼の示す非現実が同じであるならば。
 ―それは再び、私の生きる理由になりうるかもしれない。
「…当ててあげよっか。その、非現実的な話」
 青子はもう一度、緑間の左隣りの空白の席を見やる。本来ならそこには、見知ったもう一人の幼なじみが座るはずだった。目を凝らしても、やはりそこには誰もいない。
 緑間の言うとおり、どれだけ悲しくてもお腹はすくだろうし、当然夜が明ければ朝が来る。それはもう経験済みで、青子にはそれが痛いほどわかっていた。
 世界は何も変わらない。人は悲しみでは決して死ぬことはできないし、明けない夜など存在しない。結局はまた、太陽が昇って朝が来る。ただそれだけのこと。
 だから彼女の日常が変わっても、誰かの日常が終わっても、西から太陽が昇ってくることなどありえないし、世界の大部分は、今日も明日も変わりはしない。
「ねえ、祭」
 ぽろりと、止まっていた涙が再び頬を伝った。銀のスプーンには、くしゃくしゃに歪んだ自分の顔が逆さに映っている。
「どうして私には、視えないんだろうね」
 ねえ、なんで。
 緑間が、先ほどとは打って変わった悲しげな表情を浮かべる。ひどく泣きそうな顔で彼は拳を作り、「ごめん」と謝って目を伏せた。伏せられた目から落ちたものが、テーブルクロスにしみを作った瞬間を青子は確かに見た。
 ほんの一瞬、空白の席に静の姿が見えた。それが単なる幻想だったのか、はたまた残像だったのか、それとも静本人だったのか―青子にはやはりわからなかった。
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