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笑顔に潜む、策士の罠
第9話
しおりを挟む「シーっ!今、腹痛で寝てる人がいるから静かにね。」
保健室に入るなり、加納先生が僕の耳元で囁いた。
保健室なんだから、当たり前の光景なんだけど、ここ最近あまり、こういう事が無かったので、目が点になった。
「有村君!こっちこっち!」
小声で窓際に僕を呼び寄せた神谷先輩は、腕組みして机の上の弁当を睨んでいた。
あの土屋先輩も身を潜めるようにして、お弁当を突いていた。
お互いに、ベッドで横になってる生徒を気遣って、ヒソヒソ話しで話し始めた。
「運、悪いですね。」
「本当、これじゃ話せないかしら。」
「いや…これは想定出来た事だ。
迂闊にも、保健室の保健室たる意味を忘れていたよ。
かと言って、僕等には他に使える場所がある訳じゃない。
こういう場合、どう行動するか考える良い機会かも知れないね。」
「旧校舎…の、空き教室とか…。」
「それは無理よ!何せ、学校に認められた同好会や部活じゃないし。
先生が簡単に鍵を貸してくれる訳ないわ。」
「かと言って、ランチルームや屋上で話せる内容でもない。
…確かに空き教室は、魅力的だけどね。
何せ、怪人と関わりのありそうだしね。」
「…えっと、鍵がもし、手に入ったら…どうですか?」
「鍵が手に入っても、認められていない分、一時的な使用しか出来ないけどね。
教師に見つかったら、それこそ問題だ。」
そっか、安易に爽さんに作って貰えればと思ったが、それはそれで、使う場合が限られるって事か…。
「じゃあ、正式な活動として申請すれば、いいんじゃないかしら?」
「ええぇ…それは、ちょっとまだ。
まだ、どっちかって言うと、お試し状態だろ。
それに、認めて貰える可能性も低いよね。
ザックリした同好会?みたいなのだし。」
「確かに…ザックリ感はありますね。」
我ながら、この3人の活動意義に一抹の不安を覚えた。
「まぁ、とりあえず、今回は放課後まで引きずる事は考えにくい。
相談は、放課後に持ち越そう。
後々、保健室意外の場所の確保についても考えて行く方向で。」
「そうですね。
かと言って、保健室同盟 (仮)を名乗って、違う場所じゃ…つまり、第2の場所ですかね。」
「この先、保健室を頼って来る生徒もいないとも限らないしね。
イジメなんて、いつ発生するか、わかんないんだから。
保健室ありきで、他に使用可能の場所ね。」
保健室の隅で、こっそりとお弁当を食べ終えた3人は、放課後に話しを持ち越しす事にして、昼休みを終えた。
結局、モヤモヤした気持ちのまま、午後の授業に入った。
早く放課後にならないかなぁ。
そうだ。
もう、奈落も戻ってるよな。
後でメッセージでも、送ってみるかな。
上の空で窓の外を流れる雲を眺めながら、時間が過ぎて行くのを待った。
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