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王子の眠る白い城
第13話
しおりを挟む「お前の言葉は悪ふざけが過ぎるんだ!
それに、被験者とお前を同等に扱う訳にはいかないだろう。
と、失敬、有村君。」
「ちえっ!まぁ、いいや。
有村~、スポーツバックから使う変装道具を選んでおけよ。」
後部座席の僕の隣に大きめの黒いスポーツバックが置かれていた。
エナメル質で丈夫そうなバックだ。
「あ、うん。これ?
何か、色々入ってるね…。」
「そういう小道具は、常に用意してありますからね。
好きな物を選んでいいですよ。
有村君が必要な時には、奈落に申し出れば、いつでも使えますよ。
これらは無料オプションでレンタル出来ますから。」
「無料で、いいんですか?」
「無料って、聞こえはいいけどよ。
トドのつまり、使い古し。
かなり使い回してるんだよ。」
「でも、どれも手入れがしてあるんですね。
綺麗だし、カツラからも、良い香りがします。」
「メンテナンスは重要だからね。
お金掛けてる物は、大事にしないと。」
「爽は女子力高い、豆男だからな。」
ゴン!
また、奈落は一言多いんだから。
お金持ちで、仕事もバリバリしてるのに、物を大切にする心はちゃんと持ってる。
はあ、学校の先生なんかより、爽さんや奈落の方が、すんなり尊敬出来てしまう。
こんな大人が側にいる環境って、なんて心地いんだ。
憧れって、こういうのなんだな…。
ガサゴソと変装道具を選びながら、ふと、自分が彼等とは血の繋がりがない事が、少し寂しかった。
「やっぱり、メガネくらいかな。
黒縁メガネ。」
「何?そんだけ?
俺は金髪髭面で行こうと…。」
「楽しむんじゃない!バカ!
人目につく方に寄せて、どうするんだよ。
お前はマスクのみで行け!」
「やっぱり、楽しんでたんだ…。奈落。」
「ちえっ!つまんねー。
ま、仕方ないか。
でも、聴診器は付けさせろ!
何かカッコいいし。」
小学生の思考回路じゃん、それ。
くだらない会話をしつつ、郊外を少し出て、20分後に車は落合総合病院に到着した。
総合病院だけあって、敷地もかなり広い。
白いお城ような威圧感がある、重厚な4階建ての建物だ。
奈落のお掛けで、車内で笑い過ぎたせいか、横っ腹が少しだけ、捻れた気がした。
爽さんを車で待たせて、僕と奈落は病院の裏口に回ってきた。
僕は看護服に黒縁メガネ、奈落は白衣を着て、マスクと聴診器、銀縁メガネという格好で駐車場からキョロキョロしながら歩いた。
白衣をなびかせる奈落の背中を追うようにして、病院の裏口まで辿り着いた。
ドア横にはI.D.カードの差し込み口があった。
「鍵…I.D.カード用だよ。
持ってるの?」
「うんにゃ、持ってない。
ちょい待ち、今、内側から開けてもらうから。」
奈落はそう言うと、変装用のマスクをズラしてスマホから、誰かに連絡を取っているみたいだった。
ピー、ピー、カッチャン。
裏口の鍵が開いた音がして、重い扉が開いた。
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