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悩めるお金の使い方とサポーターとの関係
第1話
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翌朝、結局日課になってるせいか、いつも通りに朝の支度をして、いつも通りに登校してしまった。
電動アシスト自転車はスイスイと坂をも、物ともせずに進んで行く。
朝の風が心地いい。
ブレザーのネクタイも踊るように風になびく。
昨晩、ハガキを見た母親は自分が当選したかのように喜び、僕を抱きしめた。
世界が僕に微笑んでるかのような錯覚を覚える。
金曜日までの僕と、今日の僕はまるで違う。
それは…姿は見えないけど感じる、奈落の存在がそうさせている。
大金を使える事は嬉しいが、反面プレッシャーをかなり感じる。
けど…それも奈落がいるなら、きっとクリア出来るし、明るい未来を作れるはずだ。
アシスト自転車なのにスピードを思わず出してしまった。
テンションがこんなに上がる日なんてなかった。
早めに学校に着いた僕は駐輪場に自転車を置いて鍵を掛けた。
「早めに来て正解かも…駐輪場に人がいないし、今日は僕の自転車と知られないかな。」
僕は急いで、その場を離れると教室には向かわず、保健室に向かった。
仕切りの陰に隠れて、ベッドの上に腰掛けた。
それは、防衛の為にだった。
保険医の先生、加納 尊先生は、気弱な性格だが優しく、イジメられてる生徒の為に常に保健室を開けておいてくれてる。
非力だから、助ける事は出来ないけど、これくらいはしないと…と、空き時間にここに来る事を了承してくれてるのだ。
3月までは僕の他にも数名ここへ逃げ込んで来る生徒がいたらしい。
今現在は1年生の僕だけなんだけど。
ガラガラ。
「おはよう。早いね。」
白衣姿に細くて小柄な体。
小さな顔に似合わない大きな丸メガネをかけて、サンダルをパタパタ音を立てて、加納先生が中に入って来た。
「おはようございます。
…すみません。
早く登校しすぎたので。
教室で待ってると…その…。」
「大丈夫です。あなただけではないですし。
僕だって、これくらいしか出来ない情けない教師です。」
「…いえ、ありがとうございます。」
先生だって、悪い生徒に目を付けられたら大変なんだ。
タチの悪い奴等の事は、十分に理解していた。
まだ、イジメ対策を思いつかない今は、こうやって隠れるしかない。
「あの…本当に命の危険を感じたら、話して下さいね。」
「はい。先生も…大変ですね。」
「実は…2年の女生徒が…先月から登校拒否してると思われていて…で、今朝になって…自殺未遂をしたと発覚…。
学校内は現在、ピリピリムードです。」
「自殺未遂!?」
「…ビルから飛び降りたとか…何とか。
ともかく、詳しい事情はわかりませんが…ここに来ていた生徒なので、僕にも責任あるかな…と。」
「…ないですよ!先生は悪くないです…。
本当に…助かってます。」
僕はベッドの上から頭を下げた。
本当に助かってる。
入学してすぐに、イチャモン付けられて殴られて駆け込んだ保健室。
唯一、優しく対応して、逃げ場所まで提供してくれて…感謝しかない。
「イジメをする者達は…誰か対象者がいなければ、優越感に浸れない。
下の人間を作らなきゃ自分のレベルを保てない者達です。
残念ながら、学校内からイジメが無くなる事はないでしょう。
彼等は、常に誰かを下に見ないといられないのです。
だから、イジメの対象者が入れ替わり立ち代り、または増えたりしても、ゼロになる事は無いのです。」
「自分のレベルですか…?」
「野心の1つだと思いますが、勉強やスポーツでは1番になれない、しかし、普通以下に見られたく無い…本来は上昇志向なのでしょうが、そこに努力をする…自らを磨く…という事はせず、周りを下げようとしてるのだと。」
つまり…え…と、その上昇志向を別に向けられたら…イジメはしなくなるのかな…?
何か…ヒントになりそうな気がする。
上昇志向…、人気を集めるとかでもいいのかな?
んんんんん?
だー!ダメだ!すぐには考え付かない。
いい線行ってる気がするんだけど…。
ピロリン。
奈落からのメッセージが届いた。
『おはようございます。
そろそろ、保健室から出る時間ですよ。
さて、イジメの首謀者及び、協力者の情報を入手出来ます。
個人情報なので高額です。
希望があれば1人頭5万円で提供しますので、ご依頼お待ちしています。』
「げっ!」
奈落は僕の頭の中まで見えてるのかな…。
すごい…。
欲しいけど…今日1日、観察してから決めよう。
いつもは一方的にイジメられるだけだけど、今日は良く観察してみよう。
怖くて見られなかった、奴等の表情、癖、反応…きっと、何かの役に立つはずだ。
電動アシスト自転車はスイスイと坂をも、物ともせずに進んで行く。
朝の風が心地いい。
ブレザーのネクタイも踊るように風になびく。
昨晩、ハガキを見た母親は自分が当選したかのように喜び、僕を抱きしめた。
世界が僕に微笑んでるかのような錯覚を覚える。
金曜日までの僕と、今日の僕はまるで違う。
それは…姿は見えないけど感じる、奈落の存在がそうさせている。
大金を使える事は嬉しいが、反面プレッシャーをかなり感じる。
けど…それも奈落がいるなら、きっとクリア出来るし、明るい未来を作れるはずだ。
アシスト自転車なのにスピードを思わず出してしまった。
テンションがこんなに上がる日なんてなかった。
早めに学校に着いた僕は駐輪場に自転車を置いて鍵を掛けた。
「早めに来て正解かも…駐輪場に人がいないし、今日は僕の自転車と知られないかな。」
僕は急いで、その場を離れると教室には向かわず、保健室に向かった。
仕切りの陰に隠れて、ベッドの上に腰掛けた。
それは、防衛の為にだった。
保険医の先生、加納 尊先生は、気弱な性格だが優しく、イジメられてる生徒の為に常に保健室を開けておいてくれてる。
非力だから、助ける事は出来ないけど、これくらいはしないと…と、空き時間にここに来る事を了承してくれてるのだ。
3月までは僕の他にも数名ここへ逃げ込んで来る生徒がいたらしい。
今現在は1年生の僕だけなんだけど。
ガラガラ。
「おはよう。早いね。」
白衣姿に細くて小柄な体。
小さな顔に似合わない大きな丸メガネをかけて、サンダルをパタパタ音を立てて、加納先生が中に入って来た。
「おはようございます。
…すみません。
早く登校しすぎたので。
教室で待ってると…その…。」
「大丈夫です。あなただけではないですし。
僕だって、これくらいしか出来ない情けない教師です。」
「…いえ、ありがとうございます。」
先生だって、悪い生徒に目を付けられたら大変なんだ。
タチの悪い奴等の事は、十分に理解していた。
まだ、イジメ対策を思いつかない今は、こうやって隠れるしかない。
「あの…本当に命の危険を感じたら、話して下さいね。」
「はい。先生も…大変ですね。」
「実は…2年の女生徒が…先月から登校拒否してると思われていて…で、今朝になって…自殺未遂をしたと発覚…。
学校内は現在、ピリピリムードです。」
「自殺未遂!?」
「…ビルから飛び降りたとか…何とか。
ともかく、詳しい事情はわかりませんが…ここに来ていた生徒なので、僕にも責任あるかな…と。」
「…ないですよ!先生は悪くないです…。
本当に…助かってます。」
僕はベッドの上から頭を下げた。
本当に助かってる。
入学してすぐに、イチャモン付けられて殴られて駆け込んだ保健室。
唯一、優しく対応して、逃げ場所まで提供してくれて…感謝しかない。
「イジメをする者達は…誰か対象者がいなければ、優越感に浸れない。
下の人間を作らなきゃ自分のレベルを保てない者達です。
残念ながら、学校内からイジメが無くなる事はないでしょう。
彼等は、常に誰かを下に見ないといられないのです。
だから、イジメの対象者が入れ替わり立ち代り、または増えたりしても、ゼロになる事は無いのです。」
「自分のレベルですか…?」
「野心の1つだと思いますが、勉強やスポーツでは1番になれない、しかし、普通以下に見られたく無い…本来は上昇志向なのでしょうが、そこに努力をする…自らを磨く…という事はせず、周りを下げようとしてるのだと。」
つまり…え…と、その上昇志向を別に向けられたら…イジメはしなくなるのかな…?
何か…ヒントになりそうな気がする。
上昇志向…、人気を集めるとかでもいいのかな?
んんんんん?
だー!ダメだ!すぐには考え付かない。
いい線行ってる気がするんだけど…。
ピロリン。
奈落からのメッセージが届いた。
『おはようございます。
そろそろ、保健室から出る時間ですよ。
さて、イジメの首謀者及び、協力者の情報を入手出来ます。
個人情報なので高額です。
希望があれば1人頭5万円で提供しますので、ご依頼お待ちしています。』
「げっ!」
奈落は僕の頭の中まで見えてるのかな…。
すごい…。
欲しいけど…今日1日、観察してから決めよう。
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