『有意義』なお金の使い方!~ある日、高1の僕は突然金持ちになっちゃった!?~

平塚冴子

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被験者で金持ちになる

第9話

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「ま、これで俺の負けず嫌いはわかったろ。
 だから、お前が新生院サポートの被験者に負ける事は絶対に許さないし、認めない!
 そこは覚悟しておいてくれ。」
「が!頑張ります。
 僕も、母さんを楽にしてあげて、幸せにするまでは辞められない!」

 僕と奈落はテーブル越しにガッチリと握手した。

「よし!その心構えが大事だ。
 いいか、人はな、自分の為より他人の為の方が何十倍もの力を発揮する。
 忘れるな、自分の為にばかりかまけてると、足元を必ず掬われる!」
「はい…まあ、僕は自分の事があまり好きではないからかもしれないけど。」
「ヘェ~?俺が知ってる奴らの中じゃ、性格的にはいい方だぜ、有村は。
 ま、優しすぎるのも付け入れる隙を与えてるのかもしれないがな。」

 ぶっきらぼうで、俺様口調なのに…すごく優しい言葉に感じた。
 僕は始めて信頼出来ると、心から思える相手に巡り合えた幸せに、また泣きそうになり、慌ててハンバーガーを頬張った。

 嬉しくて嬉しくて…。

 駅前のスーパーは中学の同級生に会いたくないから、滅多に来なかった。
 今日も本当は、ビクビクしていた。
 そして…確かにそれらしい人を見かけたが、接触して来なかった。
 多分、奈落のおかげだろう。
 見かけからしてケンカ強そうな、奈落を引き連れて歩くと、いつものように周りを気にしなくて済むんだ。
 
「うふふ。」
 
 昼ご飯を食べて、自転車を取りに行き、帰宅する途中で思わず含み笑いをしてしまった。

「ん?何だ?」
「ご…ゴメンなさい。嬉しくて。
 駅前のスーパーなんて久しぶりだったし。」
「明日からはそいつで通学だな。
 電動アシスト自転車だから、いつもと同じ時間に出ると早く着きすぎるぞ。」
 
 僕が手押しする自転車を見ながら、奈落が呟いた。

「あ!そう言えば…24時間監視って学校はどうなってるんです?」
「そこは、企業秘密!けど…呼べばすぐに現れる!
 正義のヒーローじゃないがな。
 有料ヒーローだし。」
「そうか、それも金銭的契約が必要なんだ。」
「当たり前だ!無償で怪我なんか出来るか!
 俺の女じゃあるまいし!
 高額請求だからな!」
「あははは。
 本当、奈落を雇うには相当なお金が必要だね。」
「その分仕事はキチンとこなすぜ!」

 本当に心強い…。
 あんなに怖かった学校が今は、あまり怖くない。
 あ、でも安心ばかりはしてられない。
 本気で『有意義』なお金の使い道を考えないと。
 奈落がここまでしてくれてんだ。
 僕もキチンとしないと…奈落の仕事を台無しにしたくない。

 家までの帰り道に、夢にまで見た、何気ない会話で笑い合う経験をして僕は浮かれていた。

 アパートのポストの中に見慣れない、ハガキが入っていた。
 …当選…?
 手に持っていたハガキを奈落が覗き込んだ。
「お!さすが爽ちゃん!仕事が早い!
 偽装工作の消印付き電動アシスト自転車当選ハガキ!
 スーパーに行く前に、爽に頼んでおいたんだ。」
「こんな事も出来るの?やってくれるの?」
 僕は目をパチクリした。
「言ったろ。サポートだって。
 あ、1万円な。
 大金を極秘に使うには、こういう手段は必須なんだ。
 参考になったろ。
 これで、母親にも怪しまれないだろう。」
「うわぁ!ありがとう!1万円払うよ。」
「嬉しいけど、ありがとう言い過ぎ。
 これは、俺の仕事だから。」
 「わかってるけど…。
 言いたくなっちゃうんだ。」
 
 奈落は部屋には入らずに、戻って行った。
 僕は駐輪場に自転車を停めて、バッテリーを抜き、アパートに入った。

 偽装工作のハガキをキッチンのテーブルに置いて、寝室に行った。
 机から、書きかけのリクエストノートを取り出した。
 
 自分にとって…家族にとって…何が1番幸せなのか…僕は幸せを掴む為にお金を使いたい。
 イジメた人間に復讐だけとかはしない、解決はしたいけど。
 そんなの自分の幸せにはならないからだ。
 せっかく、大金を使うんだ、1年後も幸せが続かなきゃ意味がない。

 明日は登校日だし、対策も考えないと。
 やる事が急に増えたな…。

ピロリン。

奈落からメッセージが来た。

『言い忘れたが、自慰行為、エッチとかは気にせずしてくれ。
 別に、コッチは興味がない。
 俺は童貞じゃないし、事足りてる。』

ガクッ!
 思わず、肩を落とした。
 この連絡…必要かな…。
 
『…わかりました。』

送信。
 
力が抜けた指先で何とか返信した。

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