『有意義』なお金の使い方!~ある日、高1の僕は突然金持ちになっちゃった!?~

平塚冴子

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被験者で金持ちになる

第8話

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 自転車を買い終えて、帰りまで店で預かって貰い、僕と奈落は昼ご飯を食べる事にした。
 フードコートで食べる物を選びながら、素朴な質問をしてみた。

「お昼ご飯とかにお金を使っても、問題無いのかな?」
「生命維持に必要だし、最低限度の食事や交通費、通信費は保障の対象に当たる。
 『有意義』判定には当たらない。
 但し、高額、乱用と見なされれば保障対象から外され『有意義』判定に引っかかる。
 一般常識さえあれば、大丈夫だ。
 ちなみに、俺の飯は経費で落ちるから、奢らなくて結構。
 逆に奢ってもらい、一緒にランチやディナーとなると、接待費を請求する事になる。
 付き合わされてると言う事になるからな。」
「そっか…聞けばよかったんだ。」
「ん?」
「こうやって…ちゃんと答えてくれるんだから。
 わからない事は声を出して、奈落に聞くよ。
 ついつい、1人で考え込んじゃう癖があるし、
 その…会話が苦手だから…逃げちゃってた。
 もっと…頼っていいんだよね。奈落。」
「無料で頼っていい場合と、有料で頼らなきゃならない場合がある…それは追い追い、体験から学んでくれ。」
 
 僕はコミュ障だから、ついつい相手の顔色を伺う…でも、奈落と話す時は、それがいつもより和らいでる…。
 1年間の付き合いだけど…僕自身が変わる…奈落が変えてくれるかもしれないと…期待してしまう。

 僕はハンバーガーセットを、奈落はカツカレーを食べた。

「学食みたいだなぁ。へへ。」
「少し、有村の事を教えてくれ。
 情報が少ないと、サポートに支障が出る。
 ま、大体の環境については調査済みだがな。
 性格的な事や好きな事とか。
 あ、イジメの事は触れなくていい。
 そういう事は調査済みだから。」
「あ…そうなんだ。
 えっ…と性格的には、消極的で、会話も…下手で…。」
「そっか?俺とは話せてるぞ。
 ちゃんと通じてるって事は、会話に問題無いって事だ。」
 
 …!そうなんだ…奈落と会ってから、結構会話していて、いつもの1年分の会話分を既に超えてると思う。
 こんなに会話出来た自分にも驚くくらいだ。
 
「あ、ありがとう。
 えっ…。後は…、運動音痴だし…好きなのは本を読んだりゲームしたりする事かな…。
 友達はいない…特技もない。」
「今時、ボッチを恥ずかしがる事はねぇーだろ。
 これからの未来はボッチ人口増えて、産業もそっちの方向に向いてる。
 バーチャルリアリティなんて、半分以上がボッチ対応の商品開発してる。
 ま、時代の最先端走ってるとでも思えよ。」
「じ…。
 すごいなぁ。
 物は言い様だけど…。」

 いや、この物の考え方が大事なのかもしれない。
 だって、奈落は明らかに腕っぷしだけじゃなくて、強い人間だと感じる。
 
「奈落の事、聞いてもいいかな?」
「答えられる範囲ならな。」
「家族経営って言ってたけど…兄弟もそこで働いてるの?」
「ああ、働くって言うか…所属かな。
 グループ会社内での移動もしょっちゅうだし。」
「両親も?」
「ああ、上役は両親や叔父叔母だらけだ。
 血縁者にこだわってんだよ。
 アホばっかなんだ。」
「でも、奈落はこの仕事を好きでやってるんだろ。」
「ん…。好きもあるけど…負けたくないかな。
 負けてるのに文句言うだけの奴も嫌いだし、勝つまでは、どんな事をしてでも食らい付きたい。
 性格的な問題だな。
 新生院って、爽が言ってたろ。」
「あ、そう言えば…。」
「俺らのグループより格が上なんだ。
 昔は逆だったらしい。
 同じ貴族の位で華京院の分家に当たるのが新生院。
 戦後に立場が逆転したんだそうだ。
 華京院は落ちるとこまで落ちて、それを新生院の援助でここまで、持ち直した。」
「えっ…じゃぁ、恩人だろ。」
「単純だなぁ。
 俺らの家族は貴族と言うプライドにぶら下がって、時代を見失った。
 けど…新生院は違った。
 したたかに、時代の流れを読み、それを認められ多額の援助資金を元手にグループ拡大して行った。
 わかるか?完璧なまでに負けたんだよ。
 華京院はプライドをズタボロにされる状態で負けてんだ。
 散々バカにしていた新生院に大逆転されたんだ。」
「けど…悪いけど、それは華京院が元々…。」
「その通り!先々代が大バカ大アホだった。
 けど…今は違う!
 いつまでも、新生院の下扱いはゴメンだ。
 対等…いや、それ以上の人間が育ってる事を知らしめたい。
 ま、これは俺の勝手なプライドの問題だ。」

 カッコイイ~!
 何だろう、奈落には男の格好良さが滲み出ていた。
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