『有意義』なお金の使い方!~ある日、高1の僕は突然金持ちになっちゃった!?~

平塚冴子

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悩めるお金の使い方とサポーターとの関係

第12話

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 「…で、奈落に伝言。
 神楽かぐらちゃんが実家に居るから、しばらく戻るな。
 …だそうだ。」
「神楽が帰って来たからって…。」
「プレゼン失敗。
 来年のパリコレ出品作品には新生院の着物を使うと、デザイナーから連絡があったらしい。」
「うわー!負けたんだ。
 …あ、すまん、有村。
 えっ…と神楽ってのは俺の双子の姉貴。
 呉服店での反物や着物販売、バイヤーをやってる。
 気が強くて、うるさい女だ。
 ま、基本的に華京院の女は、大阪のオバちゃんみたいだけどな。」
「双子のお姉さん…?大阪のオバちゃんって…。」

 奈落と同じ顔の女の子…どんなだろう。

「負けたって、確か京友禅だろ?
 かなり自信満々だったのに。」
「過去と同じだ。
 京友禅のブランドにぶら下がりすぎた。
 あっちは明治時代頃の数少ないモダン柄を復刻して質の高い材料を使い、新たな和柄の着物を押し出して来た。
 …さすがとしか言いようがない。
 正規の仕事でも負けたとなれば、女どもの怒りは収まらないだろう。」
「ひと月は帰れないな…俺。
 絶対に八つ当たり喰らう!」
 
 奈落は助手席で顔を真っ青にしていた。

「こっちの仕事といい、新生院は正規の仕事でこっちにプレッシャー掛けないで欲しいよな。
 グレーな仕事が本職のクセに。
 ってか、最近、悪い噂も聞いてるけど。」
「マネーロンダリング…?」
「ああ、仮想通貨で資金洗浄。
 ま、どうせ何やっても捕まらないんだろうけど。
 ってか、それはグレーなのか?クロだろ。」
「アホか!そんな噂してんのはウチの女どもだろ。
 ある事、無い事でっち上げて話すのはいつもの事だ。
 あまり、信用するな。
 上層部に上がればいずれは、新生院研修がある。
 そうすれば、本当の事を教えて貰えるだろう。
 それまでは、変な噂流すな。」
「はーい。
  槇ちゃんは新生院研修まだだっけ…極秘事項だもんなぁ…噂だけしか下層部の俺の耳には届かねー。」
 
 ちょっとだけ、奈落がふてくされてるように見えた。

「有村君、悪かったな。
 家の話しばかりして。
 もうすぐで着くよん!」
「あ、そこのホテルですか?
 うわー!帝一ホテル!」
 目の前には超一流ホテルがそびえ立って、僕等を迎えていた。

 ホテルの駐輪場に車を停めて、ホテル内に入ると、目の前がチカチカした。
 見たことの無い豪華な装飾に目を奪われた。

「有村!こっち!こっち!こんなとこで迷子になんかなるなよ!」

 奈落に腕を掴まれて、引きずられるようにして、ホテルの一室に着いた。

 
 かなり広い部屋の中央にはポールハンガーにいくつものカラフルな服が並んでいた。
 側のソファの上にはベルトや帽子なども並べられていた。

「一応、サイズ的に合いそうなのを見繕って出してる。
 希望があったら言ってくれよ。
 追加で出すことも出来るからね~!
コーディネートファイルあるから、参考にして。」
 
 槇さんは僕にウィンクしてファイルを手渡ししてくれた。
 僕は槇さんの選んでくれた服の数々を鏡を見て当てながら、明日の服装を考えていた。

「派手だな~外国物は。
 俺は無理だな。
 目がチカチカしてくる。」
 「奈落はセンスないからね~~。
 黒、グレー、白の三色しかわからないから。」
「うっさいな!芸術センス無いのは仕方ないだろ!それこそ遺伝だ!
 だから、神楽だってイマイチなんだよ!」
「そこだな~~。参ったな。
 華京院最大の欠点なんだよな。
 俺のファッションバイヤーとしての腕はセンスじゃなくて、綿密なリサーチからだし。
 イマイチ、芸術センスに欠ける。
 金の計算事は得意なんだが…。」
「どうした?槇ちゃん。
 腕組んで悩み出したりして。」
「ん…。実は経営拡大にはやっぱり、芸能部署が必要だと考えてんだ。」
「芸能部!?無理無理!
 ウチの家系が1番苦手なモンじゃん!」
「けど…金の動きがデカいんだよ。
 1発逆転狙うならそこだと思うんだよな。」
「無駄な努力と時間だよ、ソレは。ははは。」
「…笑うなよ真剣なのに。
 せっかく、今年から上層部に昇格出来たんだ。
 ひと旗挙げたいと思ってもいいだろ。」
「そりゃ…まあ。
 槇ちゃんが、頑張ってる姿で俺もヤル気出てるし。応援するよ。」

 親族経営って、就職活動しなくて楽って思ってたけど…、2人を見てると、一般企業に就職が1番楽なのかもって思ってしまう。
 家を背負ってる分大変そうだな。

「あ!コレ…コレとコレの組み合わせ。」
「えっ…恵君、コーディネート変えるんだ。」

 槇さんが少し驚いて応えた。

「ダメですか?ファイルのは僕のような地味な顔には合わない気がして…。」
「いいよ。
 えっ…と…紺で端に銀のカンガルー刺繍のランニングシャツに…パステルカラーのライトグリーン?短パンが…白えっ…ええ?」
「変ですか?鏡だとしっくり来たんですけど。」
「こんなコーディネート観てない…着てみてくれるかな?面白そうだ。」

 槇さんに言われ、別の部屋で着替えて出てきた。

「どうだ?奈落?」
「派手なはずなのに…派手過ぎないな…ちゃんとアクセントが真ん中に来てる…。
 でも、俺センスゼロなんだよな…。」
「俺だって大した事ないけど…こりゃ凄い。」
「えっ…えっ。やっぱり変ですか?
 辞めた方が…。」
「いやいや!それでいい。
 他に気に入った服があったら見せてくれ。
 あ!写真撮らせて!」
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