『有意義』なお金の使い方!~ある日、高1の僕は突然金持ちになっちゃった!?~

平塚冴子

文字の大きさ
48 / 280
傾向と対策のパズル

第10話

しおりを挟む
 その後、僕は帰宅した母さんと夕飯を食べてから、食器を片付けた。
 
「なんだか、恵が最近手伝ってくれて助かるわ。
 知らないうちに、ちゃんと成長してるのね。
 母さんも子離れの準備しなきゃいけないかしら。」
「そんな…でも、働いたり、お金を稼ぐって大変なんだって理解出来るようになったよ。」
「そうね…そのうち嫌でも社会に出なきゃならないものね。
 その心構えを持ってれば、きっと大丈夫。」
「あの…教育実習の先生のおかげなんだ。
 色々、教えて貰ったし、学ばせて貰ってる。」
「いい先生ね…。
 人生の先輩であり、先生なのね。」
「うん!そう!
 そうなんだ…。」

 人生の先輩であり、先生であり、理想そのもの。
 憧れてるなんて、本人の目の前じゃ言えないけど。
 本当に憧れてる。
 あの強さに…あの心の強さに…僕は憧れる。

「あ、明日ちょっと家電量販店に…付き合う事になってて。
 母さん、必要な物とかない?
 滅多に行かないから、ついでに何かあれば買ってくるけど。」
「大丈夫よ。
 お友達との買い物に、母さんの買い物なんて頼めないわよ。
 そういう、お付き合いは大切にしなさい。
 はい。交通費とお昼代。」

 そう言って母さんは2千円を出してきた。

「あ!いいよ。」
「無理しないの。
 少なくて悪いけど、お友達と外で食べる事くらいしないと。
 せっかくのお友達…大切にしてね。」
「…ありがとう。」

 この2千円だって、母さんのお昼のおにぎりにしたら、何日分だろう。
 僕はこの2千円の重みをしっかりと受け止めた。
 お金を自由に使える立場になって、逆にお金の意味の重さを実感するようになった。
 意味のあるお金は金額じゃないって事も…。
 だからこそ…『有意義』に使わなきゃいけないんだ。
 …『有意義』…僕はこの言葉を噛み締めた。




 翌朝、いつもと同じに母さんは朝早くから仕事に出かけて行った。
 僕は朝早く起きて、ストレッチがてら掃除を始めた。
 身体を動かした方が、頭の回転にもいいってテレビで言ってたし。
 奈落との買い物に気合十分だった。
 牛乳と魚肉ソーセージを口に突っ込んで、出かける準備をしてから、一息ついた。

 僕には兄弟がいないし、母子家庭だ…だから、宮地達のような両親がいて、兄弟姉妹がいる環境の中の心情を読み取るのは難しい。
 奈落の話しを聞いて、姉弟でもいがみ合ったり、対立する事もあって…。
 いつも仲良しという訳ではない。
 …けど…かと言って蔑んだり、バカにしたりなんかしてなくて、信頼する部分や尊敬する部分はちゃんと持ってるものだって知った。

 多分、宮地達イジメる側と僕のイジメられる側の溝は深いけど…。
 敵を平伏させるには、相手の情報、心情、環境
を読み取り、それを逆手に取るくらいじゃないと…完全なる勝利は無い。
 相手の領域を恐れちゃいけない。
 立ち向かう為に、僕はありとあらゆる武器と鎧と味方につけるんだ。
 
 ICレコーダーはその為の一歩になる。
 僕は気合を更に入れる為に、自分の両頬をパン!と挟む様に叩いた。
 
「よし!」

ピンポンピンポンピンポン!

 相変わらずのインターホンの鳴らし方。

 ガチャ。

「おはよう!奈落。」
「おっす!ほら行くぞ!
 駅まで歩くんだろ?」

 今日は一応TPOを考えたのか、黒のTシャツに黒のジーンズに白のスニーカーというスタイルだった。
 僕は紫と白の横ストライプのシャツにジーンズの裾を折り曲げて、白いズック靴を履き、小さめのリュックを背負うスタイルで外に出た。

 アンバランスな感じ…多分他の人から見たらヤンキーに絡まれる少年みたいな絵面だろう。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

英雄将軍の隠し子は、軍学校で『普通』に暮らしたい。~でも前世の戦術知識がチートすぎて、気付けば帝国の影の支配者になっていました~

ヒミヤデリュージョン
ファンタジー
帝国辺境でただ静かに生き延びたいだけの少年・ヴァン。 彼に正義感はない。あるのは、母が遺したノートに記された、物理法則を応用した「高圧魔力」の理論と、徹底した費用対効果至上主義だけだ。 敵国三千の精鋭が灰燼城に迫る絶望的状況。ヴァンは剣を振るわず、心理戦と補給線攪乱だけで、たった三日で敵軍を撤退させる。 この効率的すぎる勝利は帝国の中枢に届き、彼は最高峰の帝国軍事学院への招待状を手に入れる。 「英雄になりたいわけじゃない。ただ、母の死の真相と父の秘密を知るため、生き残らなきゃならないだけだ」 無口最強の仮面メイド・シンカク、命を取引に差し出した狼耳少女・アイリ。彼は常にコスパの高い道を選び、母の遺したノートの謎、そして生まれて一度も会ったことのない父・帝国大元帥のいる帝都の闇へと踏み込んでいく。 正義も英雄も、損をするなら意味がない。合理主義が英雄譚を侵食していく、反英雄ミリタリー学園ファンタジー。

異世界ママ、今日も元気に無双中!

チャチャ
ファンタジー
> 地球で5人の子どもを育てていた明るく元気な主婦・春子。 ある日、建設現場の事故で命を落としたと思ったら――なんと剣と魔法の異世界に転生!? 目が覚めたら村の片隅、魔法も戦闘知識もゼロ……でも家事スキルは超一流! 「洗濯魔法? お掃除召喚? いえいえ、ただの生活の知恵です!」 おせっかい上等! お節介で世界を変える異世界ママ、今日も笑顔で大奮闘! 魔法も剣もぶっ飛ばせ♪ ほんわかテンポの“無双系ほんわかファンタジー”開幕!

異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件

さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ! 食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。 侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。 「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」 気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。 いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。 料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!

異世界転生したおっさんが普通に生きる

カジキカジキ
ファンタジー
 第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位 応援頂きありがとうございました!  異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界  主人公のゴウは異世界転生した元冒険者  引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。  知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?

異世界で姪が勇者になったけれど、俺はのんびり料理屋を開く

夕日(夕日凪)
ファンタジー
突然姉が亡くなり、その遺児である姪の『椛音』を男手一つで育てていた元料理人の『翔』。 椛音が十六歳になった時。二人は異世界に召喚されて…!? 椛音は勇者として異世界を飛び回ることになり、椛音のおまけとして召喚された翔は憧れていた料理人の夢を異世界で叶えることに。 デスクレイフィッシュ、大猪、オボロアナグマ──。 姪が旅先から持ち込む数々の食材(モンスター)を使った店を、翔は異世界で開店する。 翔の料理を食べると不思議と力が湧くようで、いろいろな人物が店を来訪するように──。 ※表紙は小鶴先生に描いていただきました!

【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活

シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!

【1部完・2部準備中】人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―

ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」 前世、15歳で人生を終えたぼく。 目が覚めたら異世界の、5歳の王子様! けど、人質として大国に送られた危ない身分。 そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。 「ぼく、このお話知ってる!!」 生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!? このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!! 「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」 生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。 とにかく周りに気を使いまくって! 王子様たちは全力尊重! 侍女さんたちには迷惑かけない! ひたすら頑張れ、ぼく! ――猶予は後10年。 原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない! お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。 それでも、ぼくは諦めない。 だって、絶対の絶対に死にたくないからっ! 原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。 健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。 どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。 (全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)

【完結】うさぎ転生 〜女子高生の私、交通事故で死んだと思ったら、気づけば現代ダンジョンの最弱モンスターに!?最強目指して生き延びる〜

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
 女子高生の篠崎カレンは、交通事故に遭って命を落とした……はずが、目覚めるとそこはモンスターあふれる現代ダンジョン。しかも身体はウサギになっていた!  HPはわずか5、攻撃力もゼロに等しい「最弱モンスター」扱いの白うさぎ。それでもスライムやコボルトにおびえながら、なんとか生き延びる日々。唯一の救いは、ダンジョン特有の“スキル”を磨けば強くなれるということ。  跳躍蹴りでスライムを倒し、小動物の悲鳴でコボルトを怯ませ、少しずつ経験値を積んでいくうちに、カレンは手応えを感じ始める。 「このままじゃ終わらない。私、もっと強くなっていつか……」  最弱からの“首刈りウサギ”進化を目指して、ウサギの身体で奮闘するカレン。彼女はこの危険だらけのダンジョンで、生き延びるだけでなく“人間へ戻る術(すべ)”を探し当てられるのか? それとも新たなモンスターとしての道を歩むのか?最弱うさぎの成り上がりサバイバルが、いま幕を開ける!

処理中です...