『有意義』なお金の使い方!~ある日、高1の僕は突然金持ちになっちゃった!?~

平塚冴子

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傾向と対策のパズル

第11話

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「奈落…その。
 もし、ランニングしたいから…付き合ってって言ったら、それは…有料なのかな…。」
「一緒に走る…なら有料だな。
 ただ、監視…警護の為の…なら無料だ。
 お勧めは後者だ。」
「隣で走るか…後ろで走るか…?」
「わかりやすく言えばそうだ。
 後者の方が、何かあった時に対応もしやすい。
 簡単な会話なら、そのままで出来るだろう。」
 「じゃあ…夕方少し走ろうかな。
 体力つけようと思って。
 鍛えようとか…そんなんじゃなくて…。
 最低限の力は持っておきたいんだ。」
「ん…。わかった。
 じゃあ、後者でいいな。
 ただし、無理はするな。
 そうだな…千円でひと月分のメニュープランを考えてやるよ。
 格安だぞ!」
「本当!?ありがとう。
 あと、今日は家電量販店の他に本屋にも寄りたいんだ。
 料理の本を買いたくて。
 …そういえば…奈落って料理した事あるの?」

 素朴な疑問だ。
 奈落と料理のイメージが全然合わない。

「バカにしてんのか?
 魚だってさばけるし、普通の家庭料理ならある程度出来る!」
「えっ!?
 じゃあ、奈落に教えて貰おうかな…。」
「そりゃダメだ。」
「えっ…。」
「意地悪じゃねぇ。
 味ってのは、家庭の味が大事だろ。
 俺が教えたら、華京院の味になっちまうだろ。
 それは、道理的にも違うだろ。
 母親に教えて貰うか、自分の独学にするこった。
 出来た物が、お前の家庭の味にならなきゃダメだろ。」
「あ…うん。そうだね。」

 こういう時の奈落を見てると、つくづく思う。
 ぶっきらぼうで、ガサツな物の言い方の裏に、凄い優しい言葉が隠されていて…。
 ちゃんと、僕に気を遣ってくれている。
 人間性って、滲み出るものなんだって奈落を見て思う…僕も…そうありたいな。

 宮地達の様にイジメをする人間には、その言動や態度から悪意が満ちて来る…同じ人間でいる事さえ苦痛と感じていた日々…。

 でも、奈落と出逢ってその感覚が180度変わった…こんな人間になりたい。
 姿形じゃなく…同じ生き物としてのプライドの在り方…他人を思いやれる言動…。
 どれもこれもが…尊敬できる。

 見かけはちょっと、恐いけど。
 
「で、今日は家電量販店で何を買うんだ?
 最新のゲーム機か?」
「違うよ。
 ボイスレコーダーを購入しようと思って。
 記録とかに役立つから。」
「…ICレコーダーねぇ。
 そういう事なら…。」

 奈落は急にスマホを取り出して、誰かにメッセージを送った。

「…?」
「言ったろ、情報専門のとこがあるって。
 個人事務所というか子会社というか…。
 そこに、情報収集の為の機器マニアみたいなのがいてさ。
 おススメがあったら、資料送れってメッセージ送ったんだ。
 知識が無い時は、こうやって仲間を頼ればいいんだ。
 使えるものは、何でも使う!
 有村も、どんどん俺を使っていいんだぞ。」
「うん。わかった、ありがとう。」

  駅に着いて、ふと気が付いた。

「えっと…交通費は奈落は自分で払うの?」
「買い物の付き添い程度は接待費貰わないし、近距離での付き添い交通費は会社の経費に含まれるから、安心しろ。
 ンなところまで、請求してたら逆に面倒だしな。
 大事なのは『有意義』判定出来る金の動きだからな。」
「そうか…確かに。」
「だから、昼飯も心配すんな。
 ハンバーガーセットやラーメンセットくらいは経費で落ちる。」
「へぇ…結構シビアだね。
 あははは。」
「自費じゃ無いだけましだ!」

 僕と奈落はそんな話しをしながら、電車に乗った。
 電車に乗るのもそういえば、久しぶり。
 江戸村パークは車で移動したから、結局電車には乗らなかったし。

「うわー。
つり革が目線の高さより下なんだ…。」
「えっ?ああ。
 背が高いからな…。」
「そういえば、槇さんも背が高かったよね。
 爽さんも細いのに背が高いし。
 家系かな?やっぱり。」
「どうだろうな…小さいやつらも結構いるぜ。
 家族親族、人数多いから色んなのがいる。
 ハーフもいるし、性同一性障害の奴もいる。」
「ハーフって…テレスさん?」

 僕は思わず盗み聞きした名前を出してしまった。

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