『有意義』なお金の使い方!~ある日、高1の僕は突然金持ちになっちゃった!?~

平塚冴子

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傾向と対策のパズル

第16話

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 バンバーガーショップでの食事を終えて、僕等は樹さんと別れた。
 別れ際、いつまでも両手を高く上げて手を振る樹さんの姿が可愛らしくもあり、奈落を本当に大好きなんだって実感した。

「樹さんって、控えめだけど一生懸命さが可愛らしいね。
 頑張り屋さんだってわかるよ。」
「ん…あいつはちゃんと自分を見つめられる人間だからな。
 自分の弱さをちゃんと自覚してるからこそ、成長出来るんだ。
 あいつの頑張りは、俺も負けてられないぞ!って気持ちにさせられるんだよ。」

 僕も頑張らないと…。
 その後、デパート内の書店コーナーに寄って、料理本を探した。

 「本当に初心者用のがいいんだけど…。
 簡単で材料も少ないもの…。
 初めから気張ってやると、挫折しちゃうからね。」
「そうだな。
 まずは卵焼き、焼き魚…わかめの味噌汁とか、包丁を使わなくても出来る物に挑戦するのが、オススメだな。
 小学生の家庭科授業。
 やっぱり基本が1番。
 米の炊き方も大事だ。」
「うん。
 じゃあ、子供向けの料理本からスタートするよ。
 買うの少し恥ずかしいけど…無理はしない。
 樹さんのように自分の弱い部分はちゃんと認識して、成長させたいんだ。」
「遠回りのようで、それが一番の成長への近道だ。
 樹に会わせて良かったな…お前の意思の強さを感じる。」
「あ…。うん。
 ありがとう。
 槇さんもそうだけど…樹さんも、奈落もちゃんと自分と向き合えてると思う。
それも、自分なりの速さで。
 僕はきっと、ゆっくりしか前を歩けないけど、ゆっくりだからこそ確実に前を向いて歩きたいんだ。
 僕は人とあまり関わってこなくて、今になって華京院の人に色々と教えられてるよ。」
「人生経験だけは豊富だからな~ウチは。
 嫌でも鍛えられちまう。」
「奈落のお姉さんにもいずれ会ってみたいな。」
「やめとけ!トラウマになるか精神崩壊するぞ。
 常識なんて通用する相手じゃねー。」
「だからこそ、会ってみたいんだ。
 僕の常識は世界の常識じゃない。
 色んな世界があって、色んな物の考えが無数にある。
 僕はそれを否定するんじゃなくて、受け止める大きな心が欲しいんだ…。」
「ふん…。
 そう考えられてるだけで、かなりの器のデカイ奴になってる。
 男らしいぞ!
 さすが!俺の被験者だ!」

バシッ!バシッ!

「ゲホッケホッ!」

 奈落が背中をバンバン叩いたので咳き込んでしまった。
 奈落は胸を張って自慢気だ。
 けど…全部奈落のおかげだ。
 この1週間…奈落に本当に教えられた…気付かされた…大切な自分の思いに。

 こうやって素直に母さんの手伝いを考えられるのも奈落のおかげた。
 以前は手伝いなんてカッコ悪くて恥ずかしいとさえ思い込んでいた…でも奈落を見て、違うと感じた。
 本当にカッコいいって言うのは、自分に正直で、信念をしっかり持ち、意思表示ができる人間の事なんだって。
 
 槇さんのように、努力を見せないけど滲み出るオーラをヒシヒシと相手に感じさせる凄さ…。
 奈落のように、全てを受け止められる器の大きさ。
 樹さんのように、少しずつ自分を変える努力をしている地道な姿。

 それぞれ違うのに…それぞれカッコいい。
 
  僕には僕なりの格好良さがきっとあるんだ…。

「そうだ…。
 月末の使用金額計算って、食事代とかこう言う本代とかも計算に入るのかな?
 細かくなるけど…。」
「そこは、ザックリ経費かな。
 軽くレシート付ければより一層大丈夫。
 そこを重視してる訳じゃないから、ある程度は経費扱いにして、クライアントには説明して提示する。
 実際のサポート費用や高額…単価1万以上は使用金額として提示した方が、クライアントを納得させられるからな。
 そんな感じだ。」
「だよね。
 良かった。
 実は奈落がいない時に靴を買っちゃって。」
「外履き隠されたんだろ。
 もろ、必要経費として出せる。
 その為の監視だし。
 ま、この前の江戸村パークの為に槇ちゃんから購入した服は、経費としては落とさない方がいいかもな。
 ま、アレくらいの被服費は『有意義』というより必要な物なんだけど…お前にとっては多分『有意義』だと思う。
 槇ちゃんとも知り合えた訳だし。」
「そうだね。
 僕にとっては『有意義』な買い物だった。
 安くして貰ったから、沢山買っちゃった。
 しばらくは洋服に困らないよ。」
「それにしても、有村はほとんど他人に金配ってるようだな。
 高額金は全部自分以外の者の為だ。」
「他人のための方が『有意義』のような気がしてさ…僕個人の感覚なんだろうけど。」
「ま、そうだな。
 この実験には個性も重視されてる。
 お前はお前の信じた事をやればいい。
 他の被験者を意識するな!」
「ん…そうする。」

 僕は子供用の料理本を一冊選んで購入して、奈落とデパートを出た。
 
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