55 / 280
傾向と対策のパズル
第17話
しおりを挟む
電車に乗って、僕は奈落と帰宅の途に就いた。
帰宅後に母の仕事斡旋についての詳細や、槇さんプロデュースの忍者パフォーマンスの件の援助金などの相談をする事になったので、夕方からのランニングは日を改めてからにする事に決めた。
もう、空が薄赤くなっていた。
アパートに到着して、慌ただしく鍵を開けた。
ガチャ。
「お米研いでから話そう。
急がなきゃ、7時過ぎには母さんも帰ってきちゃうし。」
「おう、手短に済ませよう。」
僕は急いでお米を2合研ぎ始めた。
ジャー。ザザッザザッ。
かき混ぜるようにする僕の姿を後ろから見ていた奈落が突っ込んできた。
「あー!ダメダメ米が傷付いて味が落ちる!
貸してみろ!」
「えっ、はい。」
奈落はサッと流し台の位置を変わると、手際よく米を研ぎ始めた。
シャッシャッ。シャッシャッ。ザーッ。
「米ってのはこうやって研ぐんだ。
音からして違うだろ。
無洗米もいいけど、やっぱり米は愛情掛けた方が艶があって美味いよな!」
「すごい…奈落は本当に料理作った事あるんだね。
手際がいい!勉強になった。」
奈落はどれだけの経験をしてるのだろう。
何でもこうやって、サッとやりこなしてしまう。
奈落が研ぎ終えた米を僕は炊飯ジャーに入れて、スイッチを入れた。
「ほーら!さっさと座れ!
まずは、母親の仕事斡旋について。
爽からの相手会社の資料。
必要な経費は仲介料50万円。斡旋料100万円。
プラス補償費として100万円。
尚、今回採用の場合は3ヶ月の試用期間がある。
その間に、辞めたり問題があれば、解雇ならびに補償費の100万は帰ってこない。
相手会社への迷惑料だと思ってくれ。
だが、本契約まで行けば補償費は戻って来る。
そこは、ちゃんと踏まえてくれ。」
「わかった。」
僕はいつも通り、ソファに座った奈落の正面に正座した。
そして、奈落から渡された封筒を見た。
『学園法人 鳴海第1高校附属幼稚・保育園』
封筒の名前には見覚えがあった。
私立 鳴海高校は複数あってそれぞれが大きな高校では無いものの、少数精鋭をより集め質の高い指導と高い学力と最新鋭の機器を使った学校で、人気のある高校だ。
有名大学への進学率も驚くほど高いらしい。
つまり、そこのグループ経営の保育園で、信頼性がある安定した仕事場という事だ。
「一般企業で言えば…大手企業のようなところだ…。」
僕は恐る恐る封筒の中身を見た。
雇用条件、面接日時などの書類がキチンと揃えられていた。
職場の保育園のパンフレットまで入れてあった。
「斡旋料金や仲介料金取るんだ。
下手なところは紹介出来ない。
斡旋料金や仲介料金が高いのは紹介する相手が信頼できる会社だからだ。
華京院の名にかけて、そこは安心してくれ。」
「うん。ありがとう。
面接日時は5月9日午後2時から…。
都合の悪い場合は前日までにご連絡ください…か。
今夜、さっそく母さんに伝えてみるよ。
今の仕事場への連絡もあるからね。」
「そうだな。
あと、正社員面接だからスーツで面接するように。
パートやアルバイトとは違うからな。」
「わかった。伝えておくよ。」
僕は書類を封筒にゆっくりと閉まって、テーブルの上に置いた。
「さてと、次は槇ちゃんの忍者パフォーマンスの件なんだが、早々に槇ちゃんとの打ち合わせも必要だと思う。
ショーは来月頭に行われるらしいから。」
帰宅後に母の仕事斡旋についての詳細や、槇さんプロデュースの忍者パフォーマンスの件の援助金などの相談をする事になったので、夕方からのランニングは日を改めてからにする事に決めた。
もう、空が薄赤くなっていた。
アパートに到着して、慌ただしく鍵を開けた。
ガチャ。
「お米研いでから話そう。
急がなきゃ、7時過ぎには母さんも帰ってきちゃうし。」
「おう、手短に済ませよう。」
僕は急いでお米を2合研ぎ始めた。
ジャー。ザザッザザッ。
かき混ぜるようにする僕の姿を後ろから見ていた奈落が突っ込んできた。
「あー!ダメダメ米が傷付いて味が落ちる!
貸してみろ!」
「えっ、はい。」
奈落はサッと流し台の位置を変わると、手際よく米を研ぎ始めた。
シャッシャッ。シャッシャッ。ザーッ。
「米ってのはこうやって研ぐんだ。
音からして違うだろ。
無洗米もいいけど、やっぱり米は愛情掛けた方が艶があって美味いよな!」
「すごい…奈落は本当に料理作った事あるんだね。
手際がいい!勉強になった。」
奈落はどれだけの経験をしてるのだろう。
何でもこうやって、サッとやりこなしてしまう。
奈落が研ぎ終えた米を僕は炊飯ジャーに入れて、スイッチを入れた。
「ほーら!さっさと座れ!
まずは、母親の仕事斡旋について。
爽からの相手会社の資料。
必要な経費は仲介料50万円。斡旋料100万円。
プラス補償費として100万円。
尚、今回採用の場合は3ヶ月の試用期間がある。
その間に、辞めたり問題があれば、解雇ならびに補償費の100万は帰ってこない。
相手会社への迷惑料だと思ってくれ。
だが、本契約まで行けば補償費は戻って来る。
そこは、ちゃんと踏まえてくれ。」
「わかった。」
僕はいつも通り、ソファに座った奈落の正面に正座した。
そして、奈落から渡された封筒を見た。
『学園法人 鳴海第1高校附属幼稚・保育園』
封筒の名前には見覚えがあった。
私立 鳴海高校は複数あってそれぞれが大きな高校では無いものの、少数精鋭をより集め質の高い指導と高い学力と最新鋭の機器を使った学校で、人気のある高校だ。
有名大学への進学率も驚くほど高いらしい。
つまり、そこのグループ経営の保育園で、信頼性がある安定した仕事場という事だ。
「一般企業で言えば…大手企業のようなところだ…。」
僕は恐る恐る封筒の中身を見た。
雇用条件、面接日時などの書類がキチンと揃えられていた。
職場の保育園のパンフレットまで入れてあった。
「斡旋料金や仲介料金取るんだ。
下手なところは紹介出来ない。
斡旋料金や仲介料金が高いのは紹介する相手が信頼できる会社だからだ。
華京院の名にかけて、そこは安心してくれ。」
「うん。ありがとう。
面接日時は5月9日午後2時から…。
都合の悪い場合は前日までにご連絡ください…か。
今夜、さっそく母さんに伝えてみるよ。
今の仕事場への連絡もあるからね。」
「そうだな。
あと、正社員面接だからスーツで面接するように。
パートやアルバイトとは違うからな。」
「わかった。伝えておくよ。」
僕は書類を封筒にゆっくりと閉まって、テーブルの上に置いた。
「さてと、次は槇ちゃんの忍者パフォーマンスの件なんだが、早々に槇ちゃんとの打ち合わせも必要だと思う。
ショーは来月頭に行われるらしいから。」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
145
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる