『有意義』なお金の使い方!~ある日、高1の僕は突然金持ちになっちゃった!?~

平塚冴子

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必要とされる喜びと責任

第7話

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「へぇ…神楽ちゃんに認められてるなんて思ってなかったよ。
 大嵐でも来ないといいけどなぁ。あははは。」
「槇は信頼できるわよ。
 昔からソツなく物事をこなして、人に取り入るのも上手いし。
 知的レベルもそこの猿よりあるし。」

  神楽さんがさりげなく奈落を指差した。

「猿って俺か?俺が猿か?
 ならお前はケツの赤いメス猿だろ!
 双子なんだしな!
 俺が猿ならお前も同じだ!」
「…同じぃ~?
 ふざけるのも大概にしてよ!
 双子っても二卵性の双子!
 似ても似つかないでしょ。
 別物よ!私とカスのあんたは別物なの!」
「カスってなぁ!マジ性格ブサイク女だなぁ!」
「見た目が全てよ!見た目良けりゃ、大概の男はホイホイ付いてくんのよ!
 男は脳みそ足りないからね~!」
「もう!やめて~!姉弟喧嘩始めたら、仕事の話しが進まなくなります!」

 僕は思わず、2人の間に割って入った。

「神楽さん…こちらからお願いします。
 協力して下さい。」

 くるりと神楽さんの方に向き直って頭を深々と下げた。

「こりゃ…また。有村君…。」
「んん…。やっぱ…あんたイイ男になるわよ!
 奈落なんかより全然大人対応じゃない。
 明日、早急に槇の元に品が届くから。
 衣装デザイン決定したら教えてちょうだい。
 ロゴを入れる場所指定するから。」

カチャカチャ。

 一馬さんがハーブティーを淹れてリビングテーブルに並べた。

「お待たせ致しました。
 イギリス産のハーブティーです。
 ミントの香りで仕事の効率が上がると良いのですが。」
「ありがとう一馬。
 もう、向こうで各販売店での在庫管理と売り上げデータの集計を頼む。
 明日は午後に外回りについて来て貰うよ。」
「はい槇さん。かしこまりました。
 では、ごゆっくりどうぞ。」
「槇さん、本業の方もお忙しいんじゃないですか?
 無理しないで下さいね。
 槇さんが倒れたりしたら、このパフォーマンスの成功が無くなってしまうので…。」
 
 一馬君が立ち去ると同時に、槇さんの働き詰めなところが心配になった。

「有村…君…だっけ。
 こんなのキツくも何ともないのよ。
 それなりに体力の基礎も出来てるし。
 長年、こういうサイクルでやって来てるのよ。私達はね。
 ま、こんなんで倒れたり死んだりするってのは、単にそれまでしか根性無かったか、自己管理が甘いだけの事。
自業自得。
 体調管理1つ出来ない人間に、仕事管理なんてする資格はないわ。」
「き…厳しいですね。
 けど、過信しすぎるのは危険だと思います。
 華京院だって…人間です。
 そう思う通りに、病気はやって来ない。
 思いも寄らない時に、隙をつく様に大病になる人も世の中にはいます。
 自分の杓子定規が全ての人に当てはまるなんて、妄想で幻想ですよ。」

 さっきからの奈落への態度に、ちょっとだけムカッとしてそのまま、心の声が出てしまった。
 慌てて僕は自分の口を塞いだ。

「ふふふ…いい根性。
 奈落ぅ、あんた有村君に負けてるわよ!
 せいぜい頑張りなさい!
 じゃあ、私はこれから本店に行かなきゃならないから、おいとまするわ。
 一馬!ハーブティー、丁度いい温度と濃さだったわ。
 それじゃ、後日スポンサーの話しをしましょう。」
 
 神楽さんはサッと身を翻して、髪を束ねるとスタスタと玄関へ通じる廊下への扉を開けた。
 
「神楽ちゃん!またね!」
「んべえ~~!」
「…お、お疲れ様でした。」

 3人3様の挨拶で神楽さんを送り出した。

 「ふはぁー!」

 ドサッ!

 僕はさっきまで張り詰めていた気が抜けて、腰から砕ける様にソファに沈み込んだ。

「いや~!見直したよ!有村君!
 神楽相手にあれだけ物事言えるなんて!」
「俺も驚いたぞ!」
「いや…その…すいません、奈落の事…蔑んでたんで…イラついちゃって…失礼な事をしてしまいました。」

 奈落は僕の頭に手を乗せてクシャクシャと髪の毛を掻いた。

…よく出来ました…。

 声に出さない奈落の声が聞こえた気がした。

「しかし、余計な体力使わせちゃったね。
 少し、休んでからまた話し合おう。」
「あ!そーだ槇ちゃん!
 夕飯奢ってよ!
 そのつもり満々で来てるんだよね俺等。」
「抜け目ないなぁ。
 姉弟揃って、そういうところ似てるよ。
 やっぱり双子だ。」
「えー!似てねーってばよ!
 足元は見るけど、俺は神楽の様に漬け込んだりしねぇ!
 足元見てるだけ!」

 …いや…あんまり変わらないよ…奈落…。
 でも、奈落の方が可愛げあるかな。
 華京院 神楽さん…、あれだけの美人であれだけのスタイルなのに、漢気溢れる態度…。
 それだけ、厳しい世界で揉まれて来たって事なんだろうか…。

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