『有意義』なお金の使い方!~ある日、高1の僕は突然金持ちになっちゃった!?~

平塚冴子

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必要とされる喜びと責任

第10話

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「あー、もう。奈落。
 春樹が笑い死にしちゃうよ。
 春樹も少し休んでいいよ。」

 槇さんは2人の側に歩み寄った。

「あ、でも仕事が…。」
「春樹、お前…奈落が今単に、ふざけたとしか思ってないだろ。」
「えっ…。」
「顔に疲れが出てる。
 コン詰めてやり過ぎ。
 辛い時は、無理するな。
 効率が悪過ぎる。
 疲れたら一休みするのも仕事の効率を上げるには不可欠だ。」
「あ…。」
「仕事を最大限に活かすには、楽しまなきゃならない。
 そこを、もう少し勉強するんだな。
 ま、奈落もいちいち一捻りしなくていいのに、全く。
 ガス抜きの仕方はそのうち覚えるよ。」
「ほーい!」
「全く…。
 奈落…お前は…。
 優し過ぎるよ…本当に。」

 奈落は逆立ちのまま、テクテク歩いて僕の前に来て、体勢を元に戻した。
 …初めの頃に奈落も倒れたって、言ってたっけ。

「失敗した…スマホに撮れば良かった。」
「運動能力だけは華京院一だからなぁ!俺!
 思春期は物事を真面目一方で捉えがちだ。
 中二病しかりだな。
 一方向しか見られないってのは視野が狭くなるし、ともすれば自分を自分で追い詰めちまう。
 有村も気を付けろよ。
知恵熱出すくらいだからなぁ。」
「ふふ。ありがとう。
 気をつけるよ。」

 槇さんは向こうで一馬君と春樹君にケーキと飲み物を出して一息つかせた。
 そして、こちらを向いて腕組みして微笑んだ。

 …本当に奈落は優しい過ぎるほど優しいだろ?

 槇さんの心の声が聞こえた気がした。

ピロリロリーン。

 奈落のスマホが鳴った。

「おっ!樹だ。
 出来上がったみたいだな。
 ICレコーダー。
 明日、完成品を持って来るらしい。」
「本当?早いなぁ。」
「樹に掛かればこんなの朝飯前だろう。
 えーと、奈落が近づき過ぎるとハウリングするから、奈落の側では使用しないで下さい。
あ…確かに。
 爽に付けられてるからな。」
「えっ?本当に?」
「ほれ!」

 そう言って、奈落は僕にお尻を向けた。
 本当だ…小さなマイクがベルトの影から顔を出していた。

「今は盗聴切ってるから一応。
 GPSは発信してるけど。
 爽が必要に応じて使ってるからな。
 指示が無けりゃ基本オフにしてる。」
「じゃあ、ハウリングしたら爽さんの耳が痛くなるの?」
「…!いいね!それ…やってみようかな。」
「何何?2人で企んでんの?」

 槇さんがスキップしながら奈落の背中に絡みついた。

「いや、遠隔ICレコーダーと俺の盗聴発信器でハウリング起こして、わざと爽に聞かせたら耳が痛くて転げ回るかなって。」
「あははは!やってみ!
 タダじゃ済まないだろうけど。
 超ドSの爽が、どんな仕返しするか楽しみ。」
「それ、俺がイジメられるの楽しんでんじゃん!」
「ドSの奈落の上なの?爽さんって…。
 全然見えないけど…。」
「あいつは、外面いいんだよ。
 性格はムッツリ野郎だ!
 盗聴発信されてないから言えるけどな。」
「ムッツリ… はは。
イメージあるかも…。」

 クスクスクスクス…。
デスクの2人もそう思ってたらしく、顔を見合わせて笑っていた。

 一馬君や春樹君は中学生なのにもう一人前の仕事してるんだ。
 そして、それが当たり前の生活…。
 僕なんかより、ずっと大人だよなぁ。

 あれ…仕事って…。

「ねぇ…。
 聞いてもいいかな。
 失礼だったら答えてくれなくてもいいんだけど…。
 ふと、気になったものだから…。」
「お!何?
 有村、遠慮すんなよ。」
「お兄さん達が答えてあげよう!
 有村君。」
「小さな頃から、働いてるって…お給料はどこで使ってるの?
 貯めてるの?」
「………!」

 聞いちゃいけない話しだったのかなぁ。
 2人の眉間にシワが寄った。

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