『有意義』なお金の使い方!~ある日、高1の僕は突然金持ちになっちゃった!?~

平塚冴子

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必要とされる喜びと責任

第11話

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「いや、別に話せない訳じゃないんだよ…。
 奈落はどう思う?」
「説明すんのが、難しいな…。
 俺等の仕事をする本当の目的みたいなもんだろ?」
 「そういう事になるかな…生活の為だけじゃない気がして…。
すみません。
 変な質問しちゃったかな。」
「有村君。
 生活の為は間違いじゃない。
 半分は親族全員の生活費稼ぎみたいなもんなんだよ。
 つまり、違う部署で赤字や倒産が起こっても、他の部署の収入で家族全員養って行く。
 親族全員で親族全員の命と生活を守ってる。
 半分は自分達の夢の為。
 俺みたいに、新しい部署発足の為の資金にしたり…独立した会社運営を目指したり。
 遊んで暮らす目的の金稼ぎはしないかな。
 それだと、仕事へのモチベーションに限界が来るんだ。」
「…親族全員の為。」
「そうだなぁ…聞くと、やらされてる感じだけど実際は違うんだ。
 ウチは子供増やせ!子供は宝だ!って理念があってさ。
 ガキの数が多いのなんの。
 その小さな子供を、既に養ってる感じ。
 あれって父性の一部分なのかなぁ。
 小さな命が俺等の仕事の金で、スクスクと成長してくのを見ると…すげぇ感動する。
 そして、子供達もみんなで自分を育ててくれてる事をちゃんと教育されてるから、尊敬する気持ちが半端ないんだ。」

 笑顔で2人は話してるけど…なんて凄い親族家族なんだ…志しも高く、愛情が半端ない。
 子供の頃から仕事させられてるって思ってだけど…それは、自分の為にどれだけの人がどれだけの努力をしているか理解させる為の教育でもあったんだ。
そして…責任感と夢を持って仕事をこなしてるって事を改めて理解した。
『有意義』…まさに、彼等のお金の使い方こそ、『有意義』のお手本だ。
 
きっと、この2人がカッコよく見えるのも、それが格好だけの見せかけのスタイルじゃなくて、真っ直ぐに自分の道を自信を持って歩いているからなんだ。
 誰にも恥じる事のない生き方をしているからなんだ。
 自分を必要とされてる喜びと責任感2人からはそれが溢れていた。

 真面目にする奴はカッコ悪いなんて言う奴らに、この2人を見せてやりたい。
 真剣に自分や物事に向き合ってる2人はこんなにカッコ良いんだから。

 この人達の仕事に関わらせて貰ってるんだ。
 僕も責任感を持って頑張ろう。
 あの…布団に包まってブルブル震えていた自分にはもう、戻りたくない。
 2人に近づきたい…尊敬できる人として、男として。
 
「そういやぁ俺達、春樹と一馬のオムツ変えた事あったよなぁ!」
「そうだな!あった、あった!
 奈落が一馬におシッコかけられたよな!」
「あははは、あん時は思わず跳び上がったぜ!
 それがもう中学生か!
 早ぇな!」

 2人の後ろで中学生2人が顔を真っ赤に染めていた。
 
「なんか父親のセリフみたいだね。
 僕には父親の記憶があまりないけど、きっと同じ様な気持ちだったんだね。」

 僕は父親の記憶を少しだけ思い出していた。
 温かくて、大きな手…決して筋肉質では無かったけど…包み込む様なその手で、良く頭を撫でられた…。

 僕は父親の仕事が何であったかは知らない。
 ただ、今現在母子家庭なのは離婚では無く死別したからだ。
 僕の記憶中の父は…病院の中で木漏れ日の中で車椅子に座って、微笑んでいる。
 闘病の中で愚痴も言わず苛立ちも見せず、日々生きていた事に感謝していた…そんな人だった。
 
…ありがとう。

 父親は口癖の様に、常に感謝の言葉を口にしていた。
 だから…僕は…そんな父親を尊敬している。
 まだ…全然父親の様にはなれてないけど。
 
 華京院の男達はきっと、沢山の子供達の沢山の父親なんだな。
 普通はたった一人の父親なのに…父親級の男が多すぎだよ。
 そういえば…奈落や槇さんの父親や母親って、どんな人なんだろう?
 神楽さんに似たお母さんだったりして…。

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