『有意義』なお金の使い方!~ある日、高1の僕は突然金持ちになっちゃった!?~

平塚冴子

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必要とされる喜びと責任

第17話

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「芸術部署じゃなくて…芸能部署ってイマイチそこはわかんないんだけど、槇ちゃん…。」
「はーい!ストップ!出来ました。
 すき焼きが出来ました!
 たんと召し上がれ。
 ナラちゃんが、後はやってくれるわよね。
 女将はここで退場しまーす。
 おかわりは、そこの電話から。
メニューとおひつはここ。
 ごゆっくり、お楽しみくださいませ~。」

 千代さんがさっきとは違って、早口で説明をすると、そそくさと部屋を出て行ってしまった。

「空気読んでるな、さすが。
 他人の仕事に口出しなんて、野暮な事出来ない。
 けど…息子の仕事にはどうしても聞き耳立ててしまう。
 だから、席を離れたんだ。
 千代さんはいい母親だよ、本当。」
「…爽。」
「じゃあ、とにかく食べながら話そう。
 爽の時間も無いし。
 有村君!早い者勝ちだから食べ損ねるなよ!」
「あ!はいっ!」

 取り敢えず、鍋から一瞬で肉が消えて行った。
 奈落も急いで追加を入れた。

「で、芸能部署なんだけど…芸術ってのはいくらなんでも才能ないと無理だと思って、けど芸能部署ならイベントやキャンペーン企画など実働的な事はウチとしても得意なはず。
生かせない事は無いと思うんだ。
タレントや役者なんかは別に華京院がやらなくていいし、そもそも売れる売れないってのは才能だけじゃない。
 売り方ってのはデータから生み出される事が多いって考えて…。
 出来なくはないって。
 この前忍者ショーを見て確信したんだ。
 顔なんて見せなくても、アクロバットで魅せる芸能だってあるって。
 この分野は俺達が踏み込む余地は沢山あるってね。」

 熱い槇さんの話しに、僕は箸を止めて聞き入ってしまった。
 大人でも、青春を感じるってあるんだ…。
 大人でも夢を追い求められるんだ…。

「なるほど…一理あるな。」
「偶然にも、有村君が芸術や芸能的センスを持ち合わせてる事を知ってね。
 協力して貰いたいんだ。」
「その事なんだが…どうだ槇。
 お前のところでバイトしてる形を取れるかな?不定期でとか時給安くてもいいんだが。」
「えっ!?爽さん、どう言う事ですか?」
「槇のところでバイトなら、ワザワザ嘘をつく必要性が無いし、明細も給料もきちんと出る。
 親に心配掛けずに済むだろ。
 堂々と槇と連絡も取れるだろう。
 そうなれば、こちらでの手間も省ける。
 どうかな?」
「どうもこうも、こちらこそ喜んでお願いしたい!
 バイトで、時給計算ならこちらも扱いやすいし…でもいいのかい?有村君。
 シフト制じゃなくて不定期だから…。
 出せて…月額数万円だと思うけど。」
「あっ!はいっ!
 ありがとうございます。
 よろしくお願いします。」
「つまり、槇ちゃんと直接の連絡が可能になる訳だ!
 やったな有村、仕事がスムーズに行くぞ。」

  鍋の向こう側で奈落がウインクしたみたいだけど…ハッキリ見えなかった。
 取り敢えず、笑顔で頷いてみたけど、向こうに見えてるかな?

「槇!…で、新生院研修でのお前の質問のリクエストなんだが…かなり厄介だ。」
「あ…やっぱり。」
「質問自体が問題なんじゃなくて、それを担当してる人間が問題なんだ。
 だから、どこまで話していいのか、どう話すべきかで紘がかなり悩んでる。」
「あ、無理なら仕方ないです。
 参考にしたかったけど。
 自力でやるのが本来の姿だし。」
「無理とかじゃ…なんて言うかな…天才ってのは噂で聞いてるだろ。」
「ええ。噂では。」
「つまり紙一重なんだ…。
 変に関わって目を付けられるなんて事だけは避けたい相手なんだ。
 今言える事はただ一つ。
 天才すぎて、奴は初めから芸能事務所以外の仕事は一切免除されてるくらいだ。」

 空気が凍りついた…奈落も…槇さんも…目の奥に真剣な何かをギラつかせていた。

 すき焼きの鍋がグツグツいう音だけが響いていた。

パンパン!

「新生院絡みの話しは以上!
 後は新生院研修が始まってからだ。」

 爽さんが緊張感漂うこの空気の流れを断ち切るように手を叩いた。

「そうだった!槇ちゃんの奢りだ!
 有村!食い尽くすぞ!」
「あ!うん!食べよう!」

 槇さんはまだ少し、心ここにあらずという感じでいたが、奈落や爽さんの談笑でごまかしていた。

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