『有意義』なお金の使い方!~ある日、高1の僕は突然金持ちになっちゃった!?~

平塚冴子

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傾向と対策のパズル

第13話

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 新桜坂駅に着いて駅の階段を降りると、自販機の影から白Tにオーバーオールで白衣を羽織った、小柄で髪を三つ編み一本に束ねた色白の少年が、手を振っていた。

「奈落だー!奈落だー!
 久しぶり!嬉しいな!」
「よお!樹!久しぶり!」

 少年は奈落の腰に巻き付く様に抱き着いた。
 そして、不意に視線が僕と合った途端に、奈落の陰に隠れる様な仕草をした。

「ひゃっ!…あ、有村君?」
「あ、そうです。
 初めまして。
 有村 恵です。
 …って、知ってるんですね。」
「事務所が今回の実験での情報収集を請け負ってるからな。
 事情を把握してるし、力になってくれるよ。
 な!樹!」
「あ、えっと…うん。…樹です。よろしく…。」
「よろしくお願いします。」

 なんだろう…僕と同類の匂いがする。
 言葉を話さなくても通じ合えてしまいそうな感じ…。

「実はさぁ、有村が…イジメ対策にICレコーダーを購入したいみたいなんだけど…商品を選んで貰いたいんだ。
 おススメのとか。
 もしくは、改良出来そうな物。」
「イジメ対策…ああ、そうか。
 事情は話さなくても大丈夫だよ…。
…その、ウチで調べたから。
 えっと、…そうだなぁ確かにボイスレコーダーは必要不可欠な品だよ。
 イジメとかには記録しておくと事が何より…大事だし…。」
「ですよね!やっぱり!
 プロの人がいて良かった。」
「プ…プロ!?」
 
 僕がプロって言ったせいか、樹さんは顔を赤くして照れ始めてしまった。

「ここで話しててもなんだから、あそこの家電量販店に行くぞ!
 話しは歩きながらにしよう!」

 さすがは奈落。
 空気を察知して状況を変えた。

 僕等は家電量販店のエスカレーターに乗って8階まで上って行った。

「こんな上の階まで行った事無かった。」
「えっと…マニア向けのコアな商品だから、あまりお客さんの多い、下層階にはこういう品を置いてないんだ。
 専門家とかが多いかな…。」
「樹がいて助かるよ!マジで。
 俺はこういうのはわかんないからな。」
「僕だって…初めはよく、わからなかったけど…その…自分を変えるのに必要だったんだ。
 …弱い僕が、戦うには情報戦略しかなかったし。
 奈落は必要無かっただけだよ。」
「わかります!樹さん!
 なんか感動します。
 …僕と同じ考えの人がいるなんて…。
 自信がある訳じゃないんです。
 このICレコーダー購入だって、本当は独りよがりの、思い込みの行動かも知れないって…心の何処かで不安に思ってて。
 でも、樹さんの言葉で自信が付きました。
 やっぱり、僕に出来るのはこういう事からだって。」
「あ…あっと…ありがとう。
 僕に出来る事や教えられる事は教えるよ。
 別にこれは…その規約違反にはならないから。
 …お手伝いとかすると、お金貰わなきゃならないけど。」
「はい!わかってます。
 心強いです。」

 奈落はそんな僕等の会話を聞いて、嬉しそうに微笑みながら、樹さんの頭を撫でていた。

 樹さん…若いな…僕と同じくらいかな。
 僕より小さいけど、でも一生懸命に話す姿を見てますます好感度が上がった。
 落ち着く…この…同類の感じ。
 普通に知り合ってたら、友達になりたいかな。
 奈落に巻き付く樹さんを見ながら、そんな事を考えているうちに8階までようやく着いた。
 
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