『有意義』なお金の使い方!~ある日、高1の僕は突然金持ちになっちゃった!?~

平塚冴子

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スパイ活動と保健室同盟(仮)

第11話

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 ジョロジョロ~~。
 
 思ったより中身は少なく、頭が濡れる程度しかオレンジジュースは入っていなかった。

「んだよぉ~!
 田中勢いよく飲み過ぎ!
 ま、いっか。
 無様な姿見られたし!
 見ろよ!あははは!」
「中途半端な濡れ方が、逆に面白いよ!
 スベった感がある~!」
「俺のジュース~~!」

 宮地を中心に、田中と安村がゲラゲラ笑い、他の生徒達は遠巻きにざわついているだけだった。

 僕はポケットからハンカチを出して、頭を軽く拭くと、ばら撒かれた巻紙やら書物を抱える様にして、ざわめく生徒達の間をすり抜けて教室に駆け込んだ。
 駆け込んだのも実はワザとだ。
 ゆっくりしてると、下手に余裕があるのがバレるし…何より、作戦が上手く行き過ぎて顔がニヤけて来たのだ。
 
 けど…教室に駆け込んだ事で、ヤツらは僕が傷心で逃げたと思い込んでくれただろう。
 まさか、演技とは思わないはずだ。

 嘘みたいだ…こんなに上手く行くなんて…誰一人として、僕がワザと宮地に巻紙をぶつけたとは思っていないし、腹の中で笑い転げてるなんて思いもよらないだろう。
 
 …そして…用心の為に一応付けた、遠隔のICレコーダーのマイク。
 上手く作動していれば、バッチリと音が取れてるはずだ。
 まぁ…ジュースかけられなくて良かった。

 教材を置いた後、授業が始まる前に僕は水飲み場でサッと頭を洗い、タオルで拭いた。

 「この季節で良かった。
 冬なら風邪引いちゃうかも。
 ここ、水しか出ないし。」

 不幸中の幸いなのかなぁ…まあ、周りにはそう見えるのかなぁ。
 クスッ!

 ブルルルル。

 スマホのバイブレーションが鳴った。
 どうやら奈落からのメッセージだ。

『大丈夫か?
 助けを呼ぶにはあの人だかりだし…。
 耐えたのか?
 にしては…表情が…笑ってなかったか?』

 うわぁ!奈落凄いや!
 遠くて見てるはずなのに…僕の表情までしっかりと確認してる!
 奈落にはお見通しだなぁ、僕の浅はかな行動なんて。

『大丈夫だよ。
 奈落が思ってる通り、アレはワザとだよ。
 ちょっと、放課後にイジメに遭うわけにはいかない状況だったんで、先に済ませて貰えるようにこっちから仕掛けてみたんだ。
 上手く行き過ぎて怖いくらいなんだけどね。
 証拠の音声も取れてると思うし。』

送信。

ブルルルル。

『なるほど!やったな!
 やっぱり、有村!お前、頭いいじゃん!
 負けたと見せて勝つ!だな!』

 顔だけ鬼の天使が数人花びらを撒き散らすスタンプを付けてきた。

…どうやって見つけてるんだろう。
 奈落スタンプコレクション…。

 返信しようとも思ったけど、授業開始のチャイムが鳴り響いたので慌てて、僕は教室に駆け戻った。

 教室に入って、慌てて席に座る僕を斜め後ろから宮地は笑いながら見ていた。
 
 楽しんでいただけて、光栄です…なーんてね。

 僕は心の中で思い切りベロを出していた。
 宮地の満足気な顔が、本当は大声で笑いたいくらいにおかしかった。
 
 これで、おそらく今日一日、おおっぴらに変な事はしないだろう。
 先程の騒ぎも噂程度に教師の誰かの耳には入っているはずだ。
 下手に続けて、教師から説教喰らうなんてリスクはさすがの宮地でも負わないだろう。
 家族をあんなに大切にしてるんだ。
 学校から家族に電話される様な事態は避けるだろう。

 宮地にとってのイジメはあくまでストレス解消だ。
 僕にとてつもなく恨みがある訳では無い。
 1日1イジメみたいなもんで、気が済めばその日はそれ以上やっては来ない。
 逆にこの前みたく邪魔が入ったりすると、しつこくなるんだけど。

 つまり、僕の解析だと宮地はごく単純!
 プライベートのストレスさえ無くなれば、宮地にとってイジメをする意味や理由が無くなる。
 …という事なのだ。
 かと言って、これは宮地だけに当たる事で全てのイジメに共通する訳では無いのだけれど。
 とにかく、解決に向けての兆しが少しずつ見えてきたのは間違いなかった。
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