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図書室の怪人と夜のデート
第8話
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「じゃあ、飲み食いしながらでいいから。
これ!これ見て。」
「はあ…。」
神楽さんは僕に一冊のファイルを手渡した。
パラパラとファイルをめくると、反物を利用した小物やグッズのデザイン画がいくつも描かれていた。
「有村君もわかってると思うけど、今や着物や反物は売れないの。
高額な物は金持ちが買ってくれるけど…。
このまま、一般の人に手に取ってもらえないと、そのうちせっかくの和の文化が衰退してくるのは目に見えてるわ。
そこで、海外にも目を向けての新作品を考えていてね。
若いデザイン学科の子達にデザインを描いてアイデアを貰ったの。」
「なるほど…確かに、着物は手に取らなくても小物やグッズなら一般の人も簡単に手に取って貰えるし、海外にも通用すると思います。
これほど繊細な美しい反物をのデザインは贈答品としても喜ばれそうですし。」
「でしょ!
んんんんん!やっぱり話しがわかる!
有村君いい感じ。」
「でも…これだけセミプロの作品があるなら僕の意見なんて…。」
「数はね。
問題は選別なのよ。」
「選別…まさか、僕にデザインを選べと!?」
「その通り。」
神楽さんは体を乗り出して、今来たばかりの唐揚げを箸で僕の目の前に突き立てて言った。
「華京院は確かにリサーチや過去のデータから最高の物を作り上げるのは、お手の物。
けど…新作となれば話しは別なの。
こうやってデザインは依頼していくつも集められても、実績が無い分どれがベストなのかがわからないのよ。
元々、デザイン感覚も美意識も欠落してるからバクチ状態で新製品を出すしかなかったのよ。」
「バクチって…それで今までやって来たのが逆にすごいですよ。」
「まあまあ、そんな私の目の前に救世主が現れたわけよ。」
「き、救世主!?」
それって、僕の事だよね…。
「ウチの作品をフランスで開催されるイベントに出品する事が急遽提案されたの。
…で、どうせいつもバクチ打ちならここで、大博打を打とうと思ったの。
新作でアッと言わせようとね。
…そしてこの前の、槇のとこでの出来事。
これは使える…帰ってから、そう思ってデザインをかき集めたの。
私は有村…君に賭ける!
あなたがこの中から商品化して成功すると思う物を選んでちょうだい!」
「えええええ~!せ、責任重大じゃないですか!
む、む、無理ですそんなの!
槇さんの事だけでも手一杯なのに!」
「いい!?
この私が、あんたを信頼して頼むのよ!
あんたの目の付け所は、華京院にはないのよ!
あんたの感覚でいいから早く選んで!
アドバイス料はちゃんと槇を通してでも払うから!
これは仕事の依頼よ!」
「そんな…。」
神楽さんの迫力と勢いに完全に呑まれてしまった。
どうしよう…えっと、えっと。
もう、僕の思考回路は混乱しまくって、気がつくと神楽さんの言うなりにデザインを選んでいた。
「えっと…ペンケースとかは今後必要性が少ないし、ブックカバーも同様だと思います。
このメガネフレームですけど…全体的にではなくて…柄の部分とかにさり気なくが良いと思います。
元々日本人の美意識も派手な物を目指した訳でなく、さり気ない中の高級感…。
控えめなのに目を惹く品揃えが良いと思います。
このバックもショルダー部分や持ち手のみに反物を使用してアクセントにしたらどうです?
コストも抑えられてなおかつ高級食材をアクセントにすれば、質が落ちる事は無いのではないかと。
このブーツも側面の一部分に反物の柄があると、黒に映えてオシャレですし。
一般的に売りたいのであれば、シュシュやピアス、アクセサリー転用も効果的な気がします。
わあ!これ良いかも!
ランドセルの蓋に反物の柄!
ヨーロッパではランドセルが流行ってるって話しもあるし、これは新しくて目を惹くかも知れません!
…って!ああ!すいません!
勝手な事をベラベラと偉そうに…。」
僕は真っ赤になって調子に乗って喋り過ぎた自分を反省した。
「ランドセルねぇ…全然リストに上がってなかったわ。
ランドセル自体日本の物だし、和を強調するには持って来いだわ。
やっぱ凄いわ有村!
あんたと話して大正解よ。」
「いえ…そんな…。」
「あと、忍者衣装のロゴのデザインは槇にデータを送ってあるから、位置は有村に任せるわ。」
「えっ…任せるって。」
「私が指示するとデカデカと背中にってなっちゃうもの。
それでショー全体を台無しには出来ないでしょ。
今の話で、有村を信頼する事に決めたわ。」
「あ、ありがとうございます。」
神楽さんが僕を…信頼…。
逆にプレッシャーがハンパないんだけど…。
でも、この人本当に仕事に真剣なんだ。
日本の和柄を愛してるんだ。
なんだろ…嬉しい気持ちになる。
「有村ー!居るか!?
何処だー!」
急に個室の襖の向こうから、奈落の大きな叫び声が響いてきた。
店員とザワザワしてる!だんだんと近づいて来るのがわかる!
これ!これ見て。」
「はあ…。」
神楽さんは僕に一冊のファイルを手渡した。
パラパラとファイルをめくると、反物を利用した小物やグッズのデザイン画がいくつも描かれていた。
「有村君もわかってると思うけど、今や着物や反物は売れないの。
高額な物は金持ちが買ってくれるけど…。
このまま、一般の人に手に取ってもらえないと、そのうちせっかくの和の文化が衰退してくるのは目に見えてるわ。
そこで、海外にも目を向けての新作品を考えていてね。
若いデザイン学科の子達にデザインを描いてアイデアを貰ったの。」
「なるほど…確かに、着物は手に取らなくても小物やグッズなら一般の人も簡単に手に取って貰えるし、海外にも通用すると思います。
これほど繊細な美しい反物をのデザインは贈答品としても喜ばれそうですし。」
「でしょ!
んんんんん!やっぱり話しがわかる!
有村君いい感じ。」
「でも…これだけセミプロの作品があるなら僕の意見なんて…。」
「数はね。
問題は選別なのよ。」
「選別…まさか、僕にデザインを選べと!?」
「その通り。」
神楽さんは体を乗り出して、今来たばかりの唐揚げを箸で僕の目の前に突き立てて言った。
「華京院は確かにリサーチや過去のデータから最高の物を作り上げるのは、お手の物。
けど…新作となれば話しは別なの。
こうやってデザインは依頼していくつも集められても、実績が無い分どれがベストなのかがわからないのよ。
元々、デザイン感覚も美意識も欠落してるからバクチ状態で新製品を出すしかなかったのよ。」
「バクチって…それで今までやって来たのが逆にすごいですよ。」
「まあまあ、そんな私の目の前に救世主が現れたわけよ。」
「き、救世主!?」
それって、僕の事だよね…。
「ウチの作品をフランスで開催されるイベントに出品する事が急遽提案されたの。
…で、どうせいつもバクチ打ちならここで、大博打を打とうと思ったの。
新作でアッと言わせようとね。
…そしてこの前の、槇のとこでの出来事。
これは使える…帰ってから、そう思ってデザインをかき集めたの。
私は有村…君に賭ける!
あなたがこの中から商品化して成功すると思う物を選んでちょうだい!」
「えええええ~!せ、責任重大じゃないですか!
む、む、無理ですそんなの!
槇さんの事だけでも手一杯なのに!」
「いい!?
この私が、あんたを信頼して頼むのよ!
あんたの目の付け所は、華京院にはないのよ!
あんたの感覚でいいから早く選んで!
アドバイス料はちゃんと槇を通してでも払うから!
これは仕事の依頼よ!」
「そんな…。」
神楽さんの迫力と勢いに完全に呑まれてしまった。
どうしよう…えっと、えっと。
もう、僕の思考回路は混乱しまくって、気がつくと神楽さんの言うなりにデザインを選んでいた。
「えっと…ペンケースとかは今後必要性が少ないし、ブックカバーも同様だと思います。
このメガネフレームですけど…全体的にではなくて…柄の部分とかにさり気なくが良いと思います。
元々日本人の美意識も派手な物を目指した訳でなく、さり気ない中の高級感…。
控えめなのに目を惹く品揃えが良いと思います。
このバックもショルダー部分や持ち手のみに反物を使用してアクセントにしたらどうです?
コストも抑えられてなおかつ高級食材をアクセントにすれば、質が落ちる事は無いのではないかと。
このブーツも側面の一部分に反物の柄があると、黒に映えてオシャレですし。
一般的に売りたいのであれば、シュシュやピアス、アクセサリー転用も効果的な気がします。
わあ!これ良いかも!
ランドセルの蓋に反物の柄!
ヨーロッパではランドセルが流行ってるって話しもあるし、これは新しくて目を惹くかも知れません!
…って!ああ!すいません!
勝手な事をベラベラと偉そうに…。」
僕は真っ赤になって調子に乗って喋り過ぎた自分を反省した。
「ランドセルねぇ…全然リストに上がってなかったわ。
ランドセル自体日本の物だし、和を強調するには持って来いだわ。
やっぱ凄いわ有村!
あんたと話して大正解よ。」
「いえ…そんな…。」
「あと、忍者衣装のロゴのデザインは槇にデータを送ってあるから、位置は有村に任せるわ。」
「えっ…任せるって。」
「私が指示するとデカデカと背中にってなっちゃうもの。
それでショー全体を台無しには出来ないでしょ。
今の話で、有村を信頼する事に決めたわ。」
「あ、ありがとうございます。」
神楽さんが僕を…信頼…。
逆にプレッシャーがハンパないんだけど…。
でも、この人本当に仕事に真剣なんだ。
日本の和柄を愛してるんだ。
なんだろ…嬉しい気持ちになる。
「有村ー!居るか!?
何処だー!」
急に個室の襖の向こうから、奈落の大きな叫び声が響いてきた。
店員とザワザワしてる!だんだんと近づいて来るのがわかる!
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