『有意義』なお金の使い方!~ある日、高1の僕は突然金持ちになっちゃった!?~

平塚冴子

文字の大きさ
124 / 280
図書室の怪人と夜のデート

第9話

しおりを挟む
「やだ!もう来たのアイツ!
 本っ当に空気読めないんだから!」

 バン!!

 神楽さんが文句を言った途端、個室の襖が開いた。
 そして、鬼のように眉間にシワを寄せた奈落がそこに立っていた。

「か~ぐら~!」
「あら、とんだゲス野郎ね。
 せっかくの2人きりのデートの邪魔なんて。」
「デ…デートォ!?ちが…違う奈落!これは…。」
「神楽!有村はこっちの被験者っつたよな!
  こっちの仕事内容には不介入!不可侵!俺の許可無しに、有村を連れ出すな!」
「ハイハイ!落ち着いて。
 今晩は、神楽ちゃん、有村君。」

 怒りまくる奈落の身体を曲げて、後ろから爽さんか入って来た。

「今日のところは、遅いし有村君のお母さんに迷惑がかかる。
 速やかに連れて帰らせて貰うよ。」
「爽!酷いわ!
 こっちだって用事があって…。」
「神楽ちゃん!
 ルールを守れないなら、上層部を降りて貰っても構わないんだよ。
 互いの仕事の邪魔をしないのは華京院の最大の掟だ。
 有村君に用事があるなら、奈落を通すか私を通してくれ。
 1年は契約してるんでね。」
「はあっ!もういいわ。
 大事な用事は済んだから。
 けど…融通効かせてくれてもいいじゃない?
 奈落のバカはともかく、爽にしてみれば話しの内容くらい薄々は予想ついてるんでしょ。」
「それと、これとは話しが別だ。
 被験者に負担をかけることを避ける事もサポーターの仕事なんでね。
 それに、槇の場合はお前みたく強引に誘ったりはしてない。
 有村君の意思を尊重してる。
 お前のやり方は強引すぎだ。」

 坦々と冷静に話す爽さんに、神楽さんは明らかに苛立っていた。
 それは、爽さんが正論を言ってるせいで、言い返せない自分に腹が立っていると言う事だ。
 
「わかったわよ!
 ったく!
 私だってね、有村が奈落の被験者じゃなきゃ普通に接触してるわよ!
 このサルが居たんじゃ話しが通じないでしょ!」

 苛立ちが最高潮に達したのか、神楽さんはいきなり奈落の顔を鷲掴みにしてブンブンと左右に振った。

「うおおおお!何しやがる!
 メスゴリラ!
 誘拐だぞ!お前!犯罪じゃねーかよ!
 キングコングか?お前はあ!」

 奈落もブチギレたらしく、神楽さんの髪をグイグイ引っ張って、応戦した。

「あんたみたいな、愛嬌だけで世の中渡ってる奴に、有村の才能を扱えないっての!
 離しなさいよ!
 痛いじゃないの!」
「うるさい!有村は俺のサポートが必要なんだよ!お前じゃねーんだよ!
 髪の毛むしるなよ!禿げたらどうすんだよ!」

 2人の乱闘に店員さんは大慌て。

「姐さん!抑え下さい!
 お代は結構ですから!
 他の客が帰っちゃいますー!」

 悲痛な店員の声が響く中、僕は2人の間に飛び込んだ。
 
「ち、ちょっと待って!
 ケンカしないで!
 暴力反対!暴力を振るうなんて軽蔑するよ!」

 ピタッ!
 まるで時間が止まったかのように2人は静止した。

「うぐぐぐっ!」
「ふぬぬぬぬ!」

 固まったまま、睨み合う2人に僕は言った。

「ありがとう。
 嬉しいです。
 2人とも僕を思ってくれての行動ですよね。
 神楽さん…今日は楽しかったです。
  生まれて初めてのデートでした。
 この次は、ちゃんと誘って下さい。
 奈落も、連絡出来なくてごめん。
 心配かけちゃったよね。」

 僕の言葉に、2人は落ち着きを取り戻して互いに掴みあっていた手を離した。

「どんなに仕事が出来ても、人を納得させる話術が無けりゃ、ただの暴君だ。
 神楽ちゃんも、有村君を見習うといい。
 あと、奈落はそれ以前に知識を増やせ。
 子供のケンカにしか見えない。
 もっと理論的に相手を説得出来るようにしろ。
 それが出来なきゃ上層部なんていつまでたっても上がれないぞ。」
「…そうね。
 次はちゃんとデートに誘うわ。
 そうね…有村の才能を持った子供作るのもいいかも。
ふふふ。」
「こ!…子供!?」
「神楽!からかうなよ!
 お前と違って、有村は純情童貞少年なんだぞ!」
 
 ひゃああ!何言ってんだよ奈落ぅ~!
 僕は顔から火が出そうなくらい真っ赤になった。

「女性に対して淫乱扱いは失礼ね!
 あんたみたいなヘタレよりは純情少年の方がマシよ!」
「ヘタレだぁ~?誰のせいでこうなってると思ってんだよ!トラウマなんだよ!」

「ほーら!帰るぞ!
 有村君のお母さんに言い訳出来なくなる!
 時間がないんだよ!
 ケンカは実家でタップリしろ!
 神楽ちゃん、またね。
 新生院研修で会おうね。」
「有村!行くぞ!」
「あ、うん。
 あの、神楽さん。
 ご馳走様でした。」

 僕はペコリと頭を下げて、奈落や爽さんと個室を後にして居酒屋を出た。

 心なしか…神楽さんが寂しそうな表情をした気がした。

 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界ママ、今日も元気に無双中!

チャチャ
ファンタジー
> 地球で5人の子どもを育てていた明るく元気な主婦・春子。 ある日、建設現場の事故で命を落としたと思ったら――なんと剣と魔法の異世界に転生!? 目が覚めたら村の片隅、魔法も戦闘知識もゼロ……でも家事スキルは超一流! 「洗濯魔法? お掃除召喚? いえいえ、ただの生活の知恵です!」 おせっかい上等! お節介で世界を変える異世界ママ、今日も笑顔で大奮闘! 魔法も剣もぶっ飛ばせ♪ ほんわかテンポの“無双系ほんわかファンタジー”開幕!

異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件

さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ! 食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。 侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。 「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」 気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。 いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。 料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!

異世界転生したおっさんが普通に生きる

カジキカジキ
ファンタジー
 第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位 応援頂きありがとうございました!  異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界  主人公のゴウは異世界転生した元冒険者  引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。  知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?

【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活

シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!

【1部完・2部準備中】人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―

ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」 前世、15歳で人生を終えたぼく。 目が覚めたら異世界の、5歳の王子様! けど、人質として大国に送られた危ない身分。 そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。 「ぼく、このお話知ってる!!」 生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!? このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!! 「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」 生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。 とにかく周りに気を使いまくって! 王子様たちは全力尊重! 侍女さんたちには迷惑かけない! ひたすら頑張れ、ぼく! ――猶予は後10年。 原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない! お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。 それでも、ぼくは諦めない。 だって、絶対の絶対に死にたくないからっ! 原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。 健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。 どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。 (全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)

【完結】うさぎ転生 〜女子高生の私、交通事故で死んだと思ったら、気づけば現代ダンジョンの最弱モンスターに!?最強目指して生き延びる〜

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
 女子高生の篠崎カレンは、交通事故に遭って命を落とした……はずが、目覚めるとそこはモンスターあふれる現代ダンジョン。しかも身体はウサギになっていた!  HPはわずか5、攻撃力もゼロに等しい「最弱モンスター」扱いの白うさぎ。それでもスライムやコボルトにおびえながら、なんとか生き延びる日々。唯一の救いは、ダンジョン特有の“スキル”を磨けば強くなれるということ。  跳躍蹴りでスライムを倒し、小動物の悲鳴でコボルトを怯ませ、少しずつ経験値を積んでいくうちに、カレンは手応えを感じ始める。 「このままじゃ終わらない。私、もっと強くなっていつか……」  最弱からの“首刈りウサギ”進化を目指して、ウサギの身体で奮闘するカレン。彼女はこの危険だらけのダンジョンで、生き延びるだけでなく“人間へ戻る術(すべ)”を探し当てられるのか? それとも新たなモンスターとしての道を歩むのか?最弱うさぎの成り上がりサバイバルが、いま幕を開ける!

魔物に嫌われる「レベル0」の魔物使い。命懸けで仔犬を助けたら―実は神域クラスしかテイムできない規格外でした

たつき
ファンタジー
魔物使いでありながらスライム一匹従えられないカイルは、3年間尽くしたギルドを「無能」として追放される。 同世代のエリートたちに「魔物避けの道具」として危険な遺跡に連れ出され、最後は森の主(ヌシ)を前に囮として見捨てられた。 死を覚悟したカイルが崩落した壁の先で見つけたのは、今にも息絶えそうな一匹の白い仔犬。 「自分と同じように、理不尽に見捨てられたこの子だけは助けたい」 自分の命を顧みず、カイルが全魔力を込めて「テイム」を試みた瞬間、眠っていた真の才能が目覚める。

処理中です...