『有意義』なお金の使い方!~ある日、高1の僕は突然金持ちになっちゃった!?~

平塚冴子

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憎しみのパズルピース

第6話

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 結局、家に着いたのは暗くなってからだった。
 最近夜帰りが続いてるな…。
 とにかく、母さんとご飯を速攻で食べて風呂に入って、持ち帰った宮地との音声や向井君の情報を整理する為に部屋にこもった。

 「イジメる奴もイジメられる奴も人間か…。」

 僕は向井君から聞いた宮地家の状況を想像してみた。
 人間は神様じゃない…宮地の表に見えない悶え苦しむ絵が浮かんだ。
 父親に腹が立つのはわかるけど、きっと…それ以上に無力な自分に苛立ってるんじゃないのかな。

 やり場のない苛立ち…それが弱者を目にした時、キバをむく。
 それが…イジメの原点なのかも知れない。
 食べるためじゃなく、狼に弄ばれるウサギの様に…。

 その解決法…漠然としてるけど、向井君が言っていた…理性…つまり、感情のやり場を別な物に移行させる事…。
 攻撃性な物を創造性と発展のある物に移行させる。
 
 …僕に…出来るだろうか…。

 あまりに難しいテーマに、少しだけ腰が引けた。
 宮地の家庭環境を聞いてしまった分、余計にそうなってしまったんだろう。

 僕は…両親がいて、兄弟もいる奴が自分よりも不幸だなんて考えてもいなかった。
 自分が1番可哀想で、1番不幸で…でも、そうじゃなかった。

 正直、ショックだった。
 宮地がもっと裕福で幸せで、ワガママのぼんぼんだった方がやる気出るのに…。

 罪悪感…決して悪い事をしたいわけじゃない。
 宮地に復讐なんて考えてる訳じゃない。
 けど…解決法を間違えれば…一転して復讐になってしまいそうで怖かった。
 
 1人で考えてると胸が潰れそうで、思わず奈落にメッセージを送った。

『急にごめん。
 不安になった。
 自分がやろうとしてる事が、本当に正義として成り立つのか。
 誰も…傷つけたくはないのに…。
 ただ、イジメを辞めさせたいだけなのに。』

 送信。

ピロリロリーン。

 返信が速攻で返って来た。

『どんなに正しくても、どんなにまともな事やっていても、どこかで誰かが傷つく事は避けられない。
 問題は傷つけない事じゃない。
 気がつかせる事なんじゃないか?
 相手が傷ついたとしても、その傷は乗り越えられて、なおかつ後に本人の糧となる大切な傷になるんじゃないか?
 人間は間違いを起こす。
 当たり前だ。
 だから、間違いに気がつくし修正が可能なんだ。
 お前は宮地を正しい道に修正してやりたいだけだろ。
 宮地が例え傷ついたとしても…それは必要な傷なんじゃないかな。』

 奈落…。

 僕はスマホをギュッと抱きしめた。

 そうだ…奈落の言う通りだ。
 僕がビビってたら、この先誰も救えない。
 宮地も…森園先輩も…新たなるイジメ被害者も…。
 
 少しくらい間違えてもいい、途中途中で気が付いて修正して、初めて正しい道が見えてくるんだ。
 それに…。

 僕はもう、独りじゃないんだ。
 奈落がいる…槇さんがいる…保健室同盟(仮)の仲間もいる。
 つまずいたり悩んだりしたら、こうやって相談すればいい。
 彼等はきっと僕には見えない答えを教えてくれるはずだ。

 自信を持とう。
 明日…図書室に行ってみよう。
 早川さんと少しでも仲良くならなきゃ。

 せっかく協力してもらった向井君も、僕を信頼して全てを話してくれたんだ。
 
『ありがとう。
 奈落のおかげで勇気が出た。
 また…弱気になるかも知れないけど、その時はちゃんと叱ってよ。
 なんせドSの奈落なんだから。(笑)』

送信。

ピロリロリーン。

『おう!なんならムチでビシバシとケツでも叩いてやるからな!
 弱音なんていくらでも吐け!泣きたい時は泣け!叫びたい時は叫べ!
 それは心がそうしたいって言ってるんだからな。
 全然恥ずかしい事じゃねぇ。
 俺が必ず見ていてやるからよ!』

 相変わらずの変な、ピンクのまわしをつけたモアイ像がウロウロ動き回るスタンプを送って来た。

「あ、また変なの。
 でもこれは可愛いかな?」

 僕は心にゆとりを持つ事を、奈落から学んだ気がした。
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