177 / 280
ハードで楽しい深夜のお仕事
第23話
しおりを挟む
華京院がすごいのは…多分自分の人生だけを見ている人間とは違うところなんだ。
長く続いて行くであろう華京院家の幸せ、家族親族先祖子孫までの事を見つめてるんだ。
「それと…そんなにお金自体に力があるとは思ってないのかも。」
「へっ…?」
「うん、多分ウチではさ…人の手が1番なんだよ。」
「人の…手ですか?」
「そう、人の手。
それに勝る物はないって感じの思想かな?
いざという時に、1番必要となる物だからね。」
あ…そうだ。
華京院は戦後…潰れかけていた…?
戦後…物自体が不足してお金も、貴族の地位もたいして役に立たなかった…新生院の手によってプライドを投げ捨てて、這い上がった。
彼等は知っているんだ…1番、何が大切で必要なのかを…。
地べたを這いずり回って生きた時代に、本当に必要だった物を…。
人は…1人では生きていけない…死ぬ時は1人なのに…生きるには、沢山の人の手を握りながら生きなきゃならない…。
「あっ…。」
「有村君…?どうした?
急に感極まっちゃったかな?」
僕の目から一筋の涙が流れていた。
それは…弱くて、無力で…けど…諦めずに互いの手を取り合って立ち上がる…人々の姿。
それが…本当の理想的な人間の姿。
「す、すいません。
なんていうかな…華京院の話しって、僕にとって…勉強になります。
勇気も出ます。」
「そお?そんなに大した事してないけどね。
ありがとう。
そんな風に感じてくれて。」
「いえ…だって、大きな事をするだけが、素晴らしい事じゃないんです。
当たり前の事を…今の人間は忘れてしまってるから…。」
槇さんは黙ったままで、優しく微笑んだ。
だって、これ以上喋ると僕は号泣してしまいそうだったから。
「おーい!飯が出来たぞ…って、槇ちゃんん!
何、有村泣かしてんだよ!」
「な?泣かしてないよ!奈落じゃあるまいし!」
「ごめん、槇さんの話しに感動しちゃって…。」
キッチンから顔を出した奈落が僕等の状況を見てすかさず突っ込んで来た!
「何だよぉ、女の子だけじゃなくて男も泣かすなんて、槇ちゃんってマジでテクニシャンだなぁ。」
「こらこら、テクニシャンってなんか聞こえが悪いよ。」
「そおだ!飯のついでに風呂も沸かしておいたから、後で入ろうぜ!」
…ん、入ろう…ぜ…?んん?
「あ!奈落~今日は仕事中!
みんな一緒には入らないよ!」
えっ…えっ…ええええええ!?
一緒…一緒ぉお?
「えー!だってここの風呂、無駄に広いじゃん!
せっかくだから3人で入ろうと思ったのにぃ!」
「だ…っダメダメ!
い、一緒なんて…無理ぃ~!」
「有村まで?なんだよ!
少しくらい楽しんでもいいじゃんか!」
「奈落!お前と入ったら、疲れを取るどころか、疲れが倍増するだろ!
ふざけまくるんだから。」
「ちぇっ!」
「まったく~。
子供のお泊まり会じゃないんだからさぁ…。」
「ま、そのうち有村君と温泉にでも一緒に入れる機会があれば入ろう。
今日のところは勤務中だからね。
でもシャワーだけよりは気分転換にもなるし。
ありがとう、奈落。」
槇さんは奈落をいたわる言葉をかけながらキッチンのおにぎりを覗きに行った。
長く続いて行くであろう華京院家の幸せ、家族親族先祖子孫までの事を見つめてるんだ。
「それと…そんなにお金自体に力があるとは思ってないのかも。」
「へっ…?」
「うん、多分ウチではさ…人の手が1番なんだよ。」
「人の…手ですか?」
「そう、人の手。
それに勝る物はないって感じの思想かな?
いざという時に、1番必要となる物だからね。」
あ…そうだ。
華京院は戦後…潰れかけていた…?
戦後…物自体が不足してお金も、貴族の地位もたいして役に立たなかった…新生院の手によってプライドを投げ捨てて、這い上がった。
彼等は知っているんだ…1番、何が大切で必要なのかを…。
地べたを這いずり回って生きた時代に、本当に必要だった物を…。
人は…1人では生きていけない…死ぬ時は1人なのに…生きるには、沢山の人の手を握りながら生きなきゃならない…。
「あっ…。」
「有村君…?どうした?
急に感極まっちゃったかな?」
僕の目から一筋の涙が流れていた。
それは…弱くて、無力で…けど…諦めずに互いの手を取り合って立ち上がる…人々の姿。
それが…本当の理想的な人間の姿。
「す、すいません。
なんていうかな…華京院の話しって、僕にとって…勉強になります。
勇気も出ます。」
「そお?そんなに大した事してないけどね。
ありがとう。
そんな風に感じてくれて。」
「いえ…だって、大きな事をするだけが、素晴らしい事じゃないんです。
当たり前の事を…今の人間は忘れてしまってるから…。」
槇さんは黙ったままで、優しく微笑んだ。
だって、これ以上喋ると僕は号泣してしまいそうだったから。
「おーい!飯が出来たぞ…って、槇ちゃんん!
何、有村泣かしてんだよ!」
「な?泣かしてないよ!奈落じゃあるまいし!」
「ごめん、槇さんの話しに感動しちゃって…。」
キッチンから顔を出した奈落が僕等の状況を見てすかさず突っ込んで来た!
「何だよぉ、女の子だけじゃなくて男も泣かすなんて、槇ちゃんってマジでテクニシャンだなぁ。」
「こらこら、テクニシャンってなんか聞こえが悪いよ。」
「そおだ!飯のついでに風呂も沸かしておいたから、後で入ろうぜ!」
…ん、入ろう…ぜ…?んん?
「あ!奈落~今日は仕事中!
みんな一緒には入らないよ!」
えっ…えっ…ええええええ!?
一緒…一緒ぉお?
「えー!だってここの風呂、無駄に広いじゃん!
せっかくだから3人で入ろうと思ったのにぃ!」
「だ…っダメダメ!
い、一緒なんて…無理ぃ~!」
「有村まで?なんだよ!
少しくらい楽しんでもいいじゃんか!」
「奈落!お前と入ったら、疲れを取るどころか、疲れが倍増するだろ!
ふざけまくるんだから。」
「ちぇっ!」
「まったく~。
子供のお泊まり会じゃないんだからさぁ…。」
「ま、そのうち有村君と温泉にでも一緒に入れる機会があれば入ろう。
今日のところは勤務中だからね。
でもシャワーだけよりは気分転換にもなるし。
ありがとう、奈落。」
槇さんは奈落をいたわる言葉をかけながらキッチンのおにぎりを覗きに行った。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
145
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる