『有意義』なお金の使い方!~ある日、高1の僕は突然金持ちになっちゃった!?~

平塚冴子

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ハードで楽しい深夜のお仕事

第22話

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 しばらくして、報告し終えた一馬君と春樹君は仕事を終えて帰宅して行った。

 2人を送り出してからいそいそと、槇さんが戻って来た。

「ごめんごめん、さあ。
 僕も入るよ。」

 槇さんはワイシャツの袖をまくって、笑いかけた。

「奈落はどうする?
 このまま手伝って貰えるのかな?」
「一度でも始めたらやり通すよ。
 その方が面倒じゃないだろ?有村。」
「あ、うん。
 お願いするよ。
 奈落がいてすごく助かってるし。」

 僕が何気なく言ったこの言葉に、まるで骨を貰った犬が尻尾を振るように、ニヤニヤしながら奈落は作業を進め始めた。

 「おーおー。
 相変わらず単純だね~。
 ま、そこが奈落の可愛いとこだけど。
 さてと、俺はじゃあ…仮縫いを始めようかな。
 流れ作業の方が効率がいい。
 けど…7時には夕飯を食べよう。
 とは言っても今回は簡単な物になりそうだけど。
 すまないね豪華な食事って訳にはいかない。」
「はい。槇さん。
 わかってます。
 仕事中で雇われてる身だってちゃんと理解してますから。」

 素直に返事を返した僕とは違って、奈落は思いっきり不満を口にした。

「ええ~!豪華な飯じゃねーの?
 期待してたのにぃ~!」
「奈落!君だって仕事中だよ!」
「パフォーマンスが成功したら、ちゃんと奢ってあげるよ。
 みんなでお祝いしよう。」
「おっしゃ~!やる気出た~!」

 あ、本当単純…。
 けど…、わかり易くていいかな。
 裏表のある人に比べたら全然いい。

 槇さんもキチンとメリハリの効いた作業を心がけてくれて、集中力が途切れる事はなかった。

 けれど、丁寧に作業をすればするほど時間は流れるように過ぎて行く。

 
「もう7時近いね。
 ふう、参ったな。」

  そろそろ夕飯休みの時間になりそうだけど…仮縫いが思ったほど進まなかった。

「コンビニのおにぎりでも
 買って来ましょうか?」
「ん…いや。その時間も惜しいかな。」

 槇さんはチラチラと奈落を横目で見ながら、僕に聞いてきた。

「有村君、僕が奈落に仕事頼んでもいいかな?」
「へっ、あ、いいです全然。
 一体、何を…」
「奈落~!冷凍庫に今朝のご飯の残りが冷凍してある。
 レンジで温めて、おにぎり作ってよ。
 具材は冷凍庫にある物何使ってもいいから
さ。」

 えっ…奈落の手作りおにぎり!?

「うん?ああ。
 簡単味噌汁とかある?」
「あるある。
 年末に頂いたフリーズドライのやつ。
 それでいいよ。
 ポットにお湯いっぱいあるし。」
「じゃあ、いっちょ腕を振るうか!
 待ってろよ有村!
 奈落の特製おにぎりを食わせてやる!」

 奈落は腕まくりをしながら、意気揚々とキッチンへと向かった。

「不思議そうな顔してるね有村君。
 意外と庶民派なんだよ。ウチは。」
「あ、いえ…奈落から聞いてはいたんですけど…。
 不思議に思って。
 もっと贅沢とか出来そうに見えるのに。
 みんな倹約家というか庶民派で。
 どうしてなのかなって…。
 全員が全員、そういう野心とか欲望とかに打ち勝てるのが不思議で…。」
「お金の使い道の目的がハッキリしてるから…じゃないかな?
 ん~優先順位をちゃんとつけられてる。
 一瞬で消えて、何も残らない使い方はスッキリしてるようで、後味悪いんだよ。
 逆に言えばパッと使う事で、後々の契約や仕事に大いに役立つ場合は使うよ。
 先を見越しての使い方を叩き込まれて育ってるから、節約するところはシビアに節約するんだよ。」
「それも…家庭教育で培われるんですね。
 最近の親は教育は学校と塾でって考える人が多いのに…。」
「それって、勉強と教育の区別が付いていないからだよ。
 勉強とは自らの意欲で己自身学ぶ事や第三者に教わる物、教育ってのは家庭や環境、生きとし生ける者から学ぶ事だろ。
 生きて行くために必要な最低限の知識。
 ウチは教育ってのに重要性を感じてるからね。
 家族親族の大切な仕事なんだよそれも。
 次の世代を担うのは、子供達以外にはあり得ないからね。
 華京院の将来が、家庭教育で左右される…手なんか抜けないでしょう?」

 そうか…周りの大人の意識が高いんだ。
 決して現状に満足してる訳じゃないけど、次の世代の見本にならないような欲望や野心なんて、いっ時の幸福感しか得られない事をちゃんとわかってる。
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