上 下
194 / 280
保健室同盟(仮)と前期図書委員

第7話

しおりを挟む
「まさかと思うけど…謎解明よりもイケメンの先輩とかの期待してないよね?
 土屋さん。」
 
 神谷先輩の鋭いツッコミに明らかに動揺しながらも土屋先輩は否定した。

「ち…違うわよ!
 謎解明が目的よ!決まってるでしょ!
 そりゃ、イケメンなら儲け物だと思うけど。」

 いや…多分、神谷先輩の読みの方が当たってる気がする。
 下心アリアリだなぁ。
 嘘がつけないタイプだけに、態度や顔に出まくってる。

「ま、何にせよ、保健室同盟(仮)の活動が活発になるのは嬉しい限りだ。
 1つ目の活動が成功すれば、次に繋がるしお互いの役割分担もハッキリとしてくる。
 あくまでも、部活動とか同好会みたいに楽しくやるのが目的だし。
 僕等がやってる謎解きは堅苦しい推理物とは違うから、下心あっても問題ないんだけどね。」
「あら、意外と物分かりがいいじゃない?
 神谷君も成長したのかしら。
 身長は伸びないのにね。」

 …その、一言が多いんだよ…土屋先輩。
 神谷先輩の口元引きつってるよ!

「あ、あの!それと関係してるかどうか、わかりませんが…1年の図書委員がどうやら旧校舎の出入り用の鍵を所持してるのを目撃しまして…何か、関係あるのかなぁと…。」

 僕は話しを逸らすのに必死になって、今朝の出来事を相談してみた。

「1年が…旧校舎の鍵を…?
 まだ入学して間もないのに…?
 確かに不自然と言えば不自然だなぁ。
 鍵は誰かに渡されたと思って間違いないだろうし、おそらく先輩か先生…。
 同級生ではないと思うな。
 けど、かなり信頼してるか弱みを握られたか…ってとこかな?
 うーむ。」

 どうやら神谷先輩のツボにはまったようだ。
 あれこれと思考を巡らせて、楽しんでいる。
 土屋先輩の嫌味の事なんかすっかり忘れてくれた。
 
 弁当を食べ終えた僕等はいよいよ、前期の図書委員の担当だった美術教師の元へと向かった。



 職員室はすでに昼食を終えた先生方がお茶を飲んだり、話しをしたりしていた。
 数人の生徒も出入りしているが、それ程騒がしくはない。

「失礼します。」

 両開きのガラス扉を開けて僕等は中に入った。
 新校舎にした際、職員室は解放感と明るさを重視した造りになっている。
 
 普段は行かない3年生担当の先生方の席へと3人で進んだ。

 壁際の席で分厚いメガネを掛けて雑誌を読む、ボサボサ頭に無精髭で骨太の体格の美術担当の先生に神谷先輩が声を掛けた。

「あの…大野先生。
 ありがとうございます。
 前期の図書委員と図書委員長に連絡して頂いたそうで。」

 神谷先輩は礼儀正しくお辞儀をして挨拶をした。

「あ~うん~。
 まぁ、座れや。」

 先生は立て掛けてあったパイプイスを指差した。
しおりを挟む

処理中です...