214 / 280
保健室同盟(仮)と前期図書委員
第27話
しおりを挟む
いよいよ、高橋先輩は神部先輩の事故について語り始めた。
僕は密かにゴクリと息を飲んで、耳を研ぎ澄ませた。
「元々、重谷君は神部君に誘われて図書委員になったの。
昔から仲が良かったみたい。
神部君は読書家だったわ。
本に囲まれた生活が好きだったみたい。
…去年の12月のその日も神部君は図書室で作業をしていたみたい。
1年に仕事を教えたり、新刊の申請なんかを。
時間も忘れて作業していたらしくて、塾に間に合わないから、慌てて学校を飛び出したらしいの。
雪もチラつき始めて、視界もあまり良くなかった夜。
急に左折して来た車に跳ねられてしまったらしいの。
塀と挟まれた下半身はその時…。
車を運転してた人は逃げ出してしまって、しばらくしてから運良く通りかかった人が、救急車を呼んでくれたらしいの。
…すぐに運転手が救急車を呼んでくれれば、もう少し状況は良くなかったかも知れないけれど。
結局、神部君は下半身不随で、車椅子無しの生活は出来なくなってしまったわ。
時期も時期で、受験もまともに受けられる状況じゃなくって。
神部君は大学生にもなれずに、今もなお病院でりはリハビリを続けているわ。
本来なら退院してもいい時期らしいけど…精神的なショックも大きかったみたいだから。」
「ひき逃げ犯人は捕まったんですか?」
「いいえ。
盗難車だったらしくて。
防犯カメラに映る運転手も、真冬の装いで、顔も体格も判別できない状態らしいわ。」
不幸の特盛…1度の事故で将来の夢も、青春を謳歌する希望さえも、失ってしまったのか。
踏んだり蹴ったりじゃないか!
憎みたい相手も特定出来ないままなんて!
高橋先輩の表情も話しながら、苦痛に歪んでいた。
この人も被害者だ。
こうやって、事故に遭った本人の周りの人間まで、人生を狂わされる。
僕はICレコーダーを思わず、力を込めて握ってしまった。
理不尽な世の中だって、十分わかってるけど。
悲しさより、きっと悔しくてたまらなかったはずだ…どうして自分ばかりって…。
神谷先輩は高橋先輩の話しを、頭で整理しながら、丁寧に状況を聞いていた。
「…つまり、図書室の本を入院中の神部先輩に、重谷先輩が借りて届けていた…とかそんな感じでしょうか?」
「そうみたい。
私もお見舞い中に、何度か重谷君が神部君に本を数冊届けてるのを見たわ。」
あれ…?
でも、今現在もちょくちょくお見舞いに行ってるんじゃなかったかな…。
けど、在校生じゃないからウチの学校の本は貸せないよな。
大学の本かな…。
学生じゃなくても貸し出し出来るのかな?
重谷先輩の名前で借りてるのかも…。
「今のところ…怪人と神部先輩の事件に接点は全く見当たらないな…。
高橋先輩…先輩は図書室の怪人についてどう思ったり、感じたりしてますか?」
「さっきも言ったけど…怪人が現れてから間もなく、私も受験生だったから図書室にはたまに行く程度だったの。
それに…図書委員の後輩達が、怪人の事件で盛り上がったり、噂する姿も見た覚えがないわ。
だから、怪人の詳しい話しはあまり…。」
「ち、ちょっと待って下さい!
それ、逆におかしいですよね。」
神谷先輩が身体をグイッと前に乗り出した。
僕は密かにゴクリと息を飲んで、耳を研ぎ澄ませた。
「元々、重谷君は神部君に誘われて図書委員になったの。
昔から仲が良かったみたい。
神部君は読書家だったわ。
本に囲まれた生活が好きだったみたい。
…去年の12月のその日も神部君は図書室で作業をしていたみたい。
1年に仕事を教えたり、新刊の申請なんかを。
時間も忘れて作業していたらしくて、塾に間に合わないから、慌てて学校を飛び出したらしいの。
雪もチラつき始めて、視界もあまり良くなかった夜。
急に左折して来た車に跳ねられてしまったらしいの。
塀と挟まれた下半身はその時…。
車を運転してた人は逃げ出してしまって、しばらくしてから運良く通りかかった人が、救急車を呼んでくれたらしいの。
…すぐに運転手が救急車を呼んでくれれば、もう少し状況は良くなかったかも知れないけれど。
結局、神部君は下半身不随で、車椅子無しの生活は出来なくなってしまったわ。
時期も時期で、受験もまともに受けられる状況じゃなくって。
神部君は大学生にもなれずに、今もなお病院でりはリハビリを続けているわ。
本来なら退院してもいい時期らしいけど…精神的なショックも大きかったみたいだから。」
「ひき逃げ犯人は捕まったんですか?」
「いいえ。
盗難車だったらしくて。
防犯カメラに映る運転手も、真冬の装いで、顔も体格も判別できない状態らしいわ。」
不幸の特盛…1度の事故で将来の夢も、青春を謳歌する希望さえも、失ってしまったのか。
踏んだり蹴ったりじゃないか!
憎みたい相手も特定出来ないままなんて!
高橋先輩の表情も話しながら、苦痛に歪んでいた。
この人も被害者だ。
こうやって、事故に遭った本人の周りの人間まで、人生を狂わされる。
僕はICレコーダーを思わず、力を込めて握ってしまった。
理不尽な世の中だって、十分わかってるけど。
悲しさより、きっと悔しくてたまらなかったはずだ…どうして自分ばかりって…。
神谷先輩は高橋先輩の話しを、頭で整理しながら、丁寧に状況を聞いていた。
「…つまり、図書室の本を入院中の神部先輩に、重谷先輩が借りて届けていた…とかそんな感じでしょうか?」
「そうみたい。
私もお見舞い中に、何度か重谷君が神部君に本を数冊届けてるのを見たわ。」
あれ…?
でも、今現在もちょくちょくお見舞いに行ってるんじゃなかったかな…。
けど、在校生じゃないからウチの学校の本は貸せないよな。
大学の本かな…。
学生じゃなくても貸し出し出来るのかな?
重谷先輩の名前で借りてるのかも…。
「今のところ…怪人と神部先輩の事件に接点は全く見当たらないな…。
高橋先輩…先輩は図書室の怪人についてどう思ったり、感じたりしてますか?」
「さっきも言ったけど…怪人が現れてから間もなく、私も受験生だったから図書室にはたまに行く程度だったの。
それに…図書委員の後輩達が、怪人の事件で盛り上がったり、噂する姿も見た覚えがないわ。
だから、怪人の詳しい話しはあまり…。」
「ち、ちょっと待って下さい!
それ、逆におかしいですよね。」
神谷先輩が身体をグイッと前に乗り出した。
0
あなたにおすすめの小説
英雄将軍の隠し子は、軍学校で『普通』に暮らしたい。~でも前世の戦術知識がチートすぎて、気付けば帝国の影の支配者になっていました~
ヒミヤデリュージョン
ファンタジー
帝国辺境でただ静かに生き延びたいだけの少年・ヴァン。
彼に正義感はない。あるのは、母が遺したノートに記された、物理法則を応用した「高圧魔力」の理論と、徹底した費用対効果至上主義だけだ。
敵国三千の精鋭が灰燼城に迫る絶望的状況。ヴァンは剣を振るわず、心理戦と補給線攪乱だけで、たった三日で敵軍を撤退させる。
この効率的すぎる勝利は帝国の中枢に届き、彼は最高峰の帝国軍事学院への招待状を手に入れる。
「英雄になりたいわけじゃない。ただ、母の死の真相と父の秘密を知るため、生き残らなきゃならないだけだ」
無口最強の仮面メイド・シンカク、命を取引に差し出した狼耳少女・アイリ。彼は常にコスパの高い道を選び、母の遺したノートの謎、そして生まれて一度も会ったことのない父・帝国大元帥のいる帝都の闇へと踏み込んでいく。
正義も英雄も、損をするなら意味がない。合理主義が英雄譚を侵食していく、反英雄ミリタリー学園ファンタジー。
異世界ママ、今日も元気に無双中!
チャチャ
ファンタジー
> 地球で5人の子どもを育てていた明るく元気な主婦・春子。
ある日、建設現場の事故で命を落としたと思ったら――なんと剣と魔法の異世界に転生!?
目が覚めたら村の片隅、魔法も戦闘知識もゼロ……でも家事スキルは超一流!
「洗濯魔法? お掃除召喚? いえいえ、ただの生活の知恵です!」
おせっかい上等! お節介で世界を変える異世界ママ、今日も笑顔で大奮闘!
魔法も剣もぶっ飛ばせ♪ ほんわかテンポの“無双系ほんわかファンタジー”開幕!
異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件
さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ!
食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。
侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。
「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」
気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。
いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。
料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!
異世界転生したおっさんが普通に生きる
カジキカジキ
ファンタジー
第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位
応援頂きありがとうございました!
異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界
主人公のゴウは異世界転生した元冒険者
引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。
知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?
異世界で姪が勇者になったけれど、俺はのんびり料理屋を開く
夕日(夕日凪)
ファンタジー
突然姉が亡くなり、その遺児である姪の『椛音』を男手一つで育てていた元料理人の『翔』。
椛音が十六歳になった時。二人は異世界に召喚されて…!?
椛音は勇者として異世界を飛び回ることになり、椛音のおまけとして召喚された翔は憧れていた料理人の夢を異世界で叶えることに。
デスクレイフィッシュ、大猪、オボロアナグマ──。
姪が旅先から持ち込む数々の食材(モンスター)を使った店を、翔は異世界で開店する。
翔の料理を食べると不思議と力が湧くようで、いろいろな人物が店を来訪するように──。
※表紙は小鶴先生に描いていただきました!
【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活
シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!
【1部完・2部準備中】人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―
ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」
前世、15歳で人生を終えたぼく。
目が覚めたら異世界の、5歳の王子様!
けど、人質として大国に送られた危ない身分。
そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。
「ぼく、このお話知ってる!!」
生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!?
このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!!
「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」
生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。
とにかく周りに気を使いまくって!
王子様たちは全力尊重!
侍女さんたちには迷惑かけない!
ひたすら頑張れ、ぼく!
――猶予は後10年。
原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない!
お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。
それでも、ぼくは諦めない。
だって、絶対の絶対に死にたくないからっ!
原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。
健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。
どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。
(全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)
【完結】うさぎ転生 〜女子高生の私、交通事故で死んだと思ったら、気づけば現代ダンジョンの最弱モンスターに!?最強目指して生き延びる〜
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
女子高生の篠崎カレンは、交通事故に遭って命を落とした……はずが、目覚めるとそこはモンスターあふれる現代ダンジョン。しかも身体はウサギになっていた!
HPはわずか5、攻撃力もゼロに等しい「最弱モンスター」扱いの白うさぎ。それでもスライムやコボルトにおびえながら、なんとか生き延びる日々。唯一の救いは、ダンジョン特有の“スキル”を磨けば強くなれるということ。
跳躍蹴りでスライムを倒し、小動物の悲鳴でコボルトを怯ませ、少しずつ経験値を積んでいくうちに、カレンは手応えを感じ始める。
「このままじゃ終わらない。私、もっと強くなっていつか……」
最弱からの“首刈りウサギ”進化を目指して、ウサギの身体で奮闘するカレン。彼女はこの危険だらけのダンジョンで、生き延びるだけでなく“人間へ戻る術(すべ)”を探し当てられるのか? それとも新たなモンスターとしての道を歩むのか?最弱うさぎの成り上がりサバイバルが、いま幕を開ける!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる