忘却の魔法

平塚冴子

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仁科 加奈子と少年達

第1話

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受け付けでIDカードを受け取り、首から下げてスタッフを待った。
いざという時走りやすい為に、鈴の服装をショートパンツにしたのだが、なんか余計に意識してしまうので、わざと視線を窓の外に送った。
ヤバい…女に飢えてるのかなぁ…俺。

「…梶…女欲しい、欲しい、抱きたいな…。」
「こら!言うなよ!思っても口に出すな!」
俺は勢いよく鈴を怒鳴った。

「お待たせ致しました。
所長室にご案内させて頂きます。」
若い職員2人が俺達の前に現れた。
「よろしくお願いします。」
「所長室へ行くまでは、これを装着して下さい。」
2人はアイマスクを差し出して来た。
「目隠しして行くのか?」
「はい。ここの施設は特殊な研究施設ですので、外部に情報が漏れる事は厳禁です。
御協力出来ない場合はお帰り頂きますが。」
「仕方ない…か。ほら鈴、着けろ。」
俺は鈴にアイマスクを着けさせた。

「あ、これ欲しい。」
鈴が変な事を口走った。
「御用が済みましたら、差し上げますよ。
単なるアイマスクでなんの仕掛けもございませんから。」
坦々と言うと、2人は俺がアイマスクを着けたのを確認して、各1人ずつの手を取って歩き出した。

俺は空いてる方の手をケツのポケットに突っ込み、レコーダーのスイッチを入れた。

あちこち曲がり、上がり下がり、まるで道を覚えさせないように遠回りしてるかの如く、結構な距離を歩き、エレベーターも上・下して、やっとの事で到着した。

「どうぞ、アイマスクを外して下さい。
こちらが所長室です。」
アイマスクを外すと、目の前に所長室と書かれたプレートが付いたドアがあった。

コンコン。
「お客様をお連れしました。」
「2人を中へ。貴方達は廊下で待機なさい。」
「はい。」
ガチャ。
2人は俺達を中へ誘導した。
「失礼します。ほら、鈴も。」
「…失礼…します。」
鈴は物凄い勢いで、眼をグルグルと回していた。
またこいつは…。

「どうぞ。初めまして。
『脳内記憶研究所』所長の仁科 加奈子です。」
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