忘却の魔法

平塚冴子

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仁科 加奈子と少年達

第7話

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「『忘却魔法』?
しかし…それが何の役に立つんですか?」
「人は忘れたい事や、忘れた方がいい記憶に悩む事も多々あります。
しかしながら、自分が不要と思った記憶を選んで消す事は出来ない。」
「メンタルケアの為って事ですか?
…それだけの為に、こんな施設…スポンサーがお金を出す理由にはならないと思いますが。」
俺はごまかされないように、疑問点を突いた。

「困りましたね。」
「…もしかして、それを利用して…あった事を無かった事にする…とか?」
俺は頭をフル回転して考えながら仁科 加奈子の表情を見た。
「もう、そろそろお引き取り願おうかしら…。」
「…アンバランス…歪み…欠落…!」
鈴が急に喋り出した。
「何だよ、おい!」
目をグルグルと回している。

バン!!
「きゃああ!」

いきなり、仁科 加奈子を突き飛ばしたかと思うと鈴はスタッフを振り切りドアを開けて飛び出した。
「待て!鈴!どけよ!」
俺もスタッフを蹴り上げ、鈴を追いかけた。
鈴は迷う事なく、走り、裏口のようなドアを開けた。

ガチャ。バン!

ここは一階だったのか。
裏口のようなドアから見えたのは、広大な畑だ。
畑には数人の人間が畑仕事に勤しんでいた。
「おい!鈴!」
鈴は畑の真ん中で1人の白いツナギの作業員らしき若い男と向かい合っていた。
俺はそこに近づきながら、心臓が激しく鳴り響くのを感じた。
その男…いや少年に、俺は見覚えがあった。

ドクン…ドクン…ドクン。

幼児6人を解体殺人した当時16歳の少年 …。
少年院に入って1週間で事故死したと報じられた…。

…『加藤 星斗』!

冷たく、白く、美しくか細い…俺が入手した写真と瓜二つ…いや、本人がそこに笑顔で立っていた。

「鈴!離れろ!奴に近寄るな!」
「…!」
俺は鈴をグッと自分の胸に引き寄せた。
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