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仁科 加奈子と少年達
第6話
しおりを挟む再び、歩き回されて、ある室内に通された。
アイマスクを外す事を許され、周りを見回した。
室内には巨大なコンピュータがズラリと並んでいた。
「ここが、研究の核です。
私達はいくつかの脳内伝達の微細な電気信号の振り分けを、データ化しパターン化する事に成功してるんです。
つまり、脳内における記憶の選別をこちらで操作出来るのです。
まだ、数は少ないですけれど。」
「凄い…これを維持するには多額の費用が要りますね。」
「費用の事はさて置き。
私達は研究の中で、ある答えに辿り着きました。
産まれてからの記憶すべてはデータとして脳内に貯蔵されていると。
それも、かなりの圧縮された状態で。
その中でも脳が判断して、決っして開かれない貯蔵庫に貯められたデータが存在し、その割合は他のものより圧倒的に多いのです。
それはつまり…『パンドラの箱』。」
「『パンドラの箱』…開けてはいけない箱ですか?」
「そう。でも開けてはいけないのではなく、脳が好みに関わらず、何らかの法則で、この人間が死ぬ迄には必要がない記憶と判断したものです。
この箱の中に記憶を誘導すれば、完全に忘れられるのです。
他の箱の中は基本、出し入れが可能と思われます。
しかし…この『パンドラの箱』のみ、情報が入っていくだけで出てこないのです。」
「つまり…どうしても消したい記憶があれば、そこにデータを流せば…って事が?」
「ご理解いただけて光栄です。
『パンドラの箱』以外の貯蔵庫は出し入れが行われて、出された時点で、再び脳が選別をするようです。
これは何度も繰り返されるようです。
パンドラの箱に入るものはその選別を繰り返してのちに判断されて入れられる…つまり…時間を要するのです。」
「けど…それを人工的にやったら…!」
「意外と頭の回転が速いんですね。
驚きました。
そう…人工的に強制的にパンドラの箱に記憶を送り込めば、早急なる完璧な忘却…。
そして、それは実現可能領域まで達しているんです。
…それを私達は『忘却魔法』と称してます。」
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