忘却の魔法

平塚冴子

文字の大きさ
上 下
104 / 191
小児科医と教授と博士

第8話

しおりを挟む
S市に着いて丁度いい時間までネットカフェで時間を潰した。
相楽教授のデータを少し集めてみた。
心理学を研究しながら、幼児能力に特化した研究に力を注いていた。
20年前も同じ様に幼児能力の研究をしている。
「幼児能力の解明及び開発は未来を創る。」
相楽教授はそう明言している。
「幼児能力において、遺伝と環境における影響の割合の研究」
それが約20年前の研究テーマ。

なるほど、まさに『ナンバーズ』の研究そのものが相楽教授の思いなんだ。
そして…天外博士はそれに、自分の研究に影響のある何かを見出した。
だから、協力しつつも対立した。
最終目的が違ったという事かな。
相楽教授の意図した事とは真逆に利用される事に、許せなかったんだろうか。
ピピピピ。

アラームが鳴った。
そろそろ、真鍋先生に会いに行く時間だ。
俺はネットカフェを出た。
しおりを挟む

処理中です...