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2学期
犬猿の仲良し
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授業を終えて、教壇の上の荷物を片付けてると田宮が僕の前を通った。
さっき助けて貰った礼を言わなきゃ。
「田宮!さっきは…。」
言いかけた僕に彼女は右手の人差し指を口元に充てて、ナイショのポーズをさりげなくして立ち去った。
「あ…。」
最後まで、僕の事を立ててくれた。
職員室に戻ると、清水先生が学校説明会のパンフレットチェックをしていた。
「学校説明会って再来週の日曜日でしたね。」
「ああ。面倒くせぇよな。こうゆうの。」
「って、担当責任者でしょ~が。」
「んんっ?何、機嫌治ってんじゃん。
何授業中にイチャついたんだ?田宮と。」
「イチャって…してませんよ!
授業中にンな事。
どうしてすぐそっちに行くかな?」
「顔に出てるからだよ。
田宮と楽しい事しました~って書いてある。」
「書いてません!イジらないで下さい!もう…。」
確かに、顔に出てたよな。
気が緩むとすぐ顔に出る。
これから委員会もあるし気合い入れなきゃ。
グゥ~~。
「また、昼飯抜いたのか?」
呆れ顔で清水先生に突っ込まれた。
「食欲なかったので。」
「仕方ねーな。ホラ食え。女神のクッキー。」
清水先生はそう言って、家から持参した手作りクッキーを分けてくれた。
「ありがとうございます。…あ、美味いっす。
ほのかにレモンの風味があって。」
「だろ?早くお前も作って貰えよ。田宮に。」
「ゲホッ!作って貰えませんよ!僕なんかに!」
「聞いてやろうか?」
「結構です!そうやって、話しのネタ作ろうとするのやめて下さい!」
清水先生はクスクス笑いながらパンフレットをめくっていた。
放課後、委員会のために旧校舎へ向かった。
朝よりは田宮の隣に座る勇気が出て来たものの、やはり不安だった。
昼休みのアレは確かに僕を拒否したと感じたし…でも…さっきのは…。
あ~もう!イライラする!
あんなに気遣いされると、少しは好きなのかなって期待しちゃうんだよ。
そんな訳ないって判ってても…。
僕が教室に着くとすでに生徒は全員着席していた。
僕は会釈しながら、田宮の隣に座った。
「お待ちしてましたよ。武本先生。
では、これから機関誌の前期部分の完成作業を行いたいと思います。」
機関誌製作委員長の塚本が指示を出して行く。
…そういえば、写真の選定に結局、僕は参加できなかった。
隣でパソコン作業の田宮に恐る恐る話し掛けた。
「田宮…写真って、どれに決まったんだ?
見せてくれるか?」
「そうでしたね。
結局先生は写真の選定はできなかったんですものね。
今、ファイルを開きます。」
田宮はパソコンのファイルを開き、選ばれた写真を見せてくれた。
「…げっ。
結局、田宮 美月の写真入れてんのかよ。」
思わず口から漏れてしまった。
「絵的には、派手な方がいいですから。
先生の好みではなくて残念ですね。」
「好みの問題じゃ…。
そういえば、お前って写真NGだって聞いてるけど、どうしてだ?」
前から、ちょっと気になってた。
この際だから聞いてみた。
「記録に残るからです。」
「残したくないのか?」
「他人を不快にさせるような被写体ですからね。どうせなら可愛い人や綺麗な人やを残す方がいいと思って。」
何だよ、その捻くれた考え方は!
「あのな…前から思ってたけど、別に田宮はブスって訳じゃ…。」
「ブスとは言ってませんがまぁ、似たような物ですね。」
「だから!そうじゃなくて!」
捻くれすぎたろうが、何でそんな考えに行き着くんだ?
「いいんですよ。
私はちゃんと理解してますから。
心無いフォローは逆に相手を傷つけますよ。」
「…だから!可愛い方だって言ってんだよ!」
思わず大声で叫んでしまった。
しまった!僕は何を叫んでるんだ!
「そこ!仲がいいのか悪いのか判らないけど、イチャつくなら廊下でやって下さい!」
塚本が僕等を指差して注意した。
「イチャついてません!」
2人同時に叫んだ。
「…先生が変な事を言うから、怒られちゃつたじゃないですか!」
田宮は頬を膨らませた。
「はぁ?僕のせいかよ!」
容姿にコンプレックス持ちすぎ何だよ!
そりゃ、僕だってイケメンじゃないけど、そこまで自分を追い込んでないぞ。
第一、僕は…凄く可愛いと思ってる訳だし。
田宮の事を…。
「武本先生!私は可愛いわよねー。」
左隣で葉月が袖をグッと引っ張った。
「ああ…可愛い、可愛い。」
すっごく軽く言った。
「武本先生。
誰彼構わずそんな事を言ってると、本命の彼女さんに振られちゃいますよ。」
田宮が右隣りからチクリと言った。
「た、田宮には関係ないだろ!」
本当はメチャクチャ関係ある。本人だし。
「そうですね…。
私には関係ありませんものね。
単なる生徒ですし。」
「あ…それは…。」
彼女の言葉が胸に刺さった。
自分から言ったセリフだったのに…。
僕は、彼女の顔を見る事が出来なくなった。
僕は、ごまかすように前髪をかきあげた。
「田宮さんは単なる生徒だけど、私は可愛い大切な生徒ですよね。」
葉月は追い討ちをかけて来た。
「ああ、そうだな…。」
僕は心のない返事をした。
こんなに、隣りにいて近いのに…彼女を凄く遠くに感じてしまう。
自分から、それを望んだ筈なのに…。
僕は泣きそうな自分を押し殺していた。
さっき助けて貰った礼を言わなきゃ。
「田宮!さっきは…。」
言いかけた僕に彼女は右手の人差し指を口元に充てて、ナイショのポーズをさりげなくして立ち去った。
「あ…。」
最後まで、僕の事を立ててくれた。
職員室に戻ると、清水先生が学校説明会のパンフレットチェックをしていた。
「学校説明会って再来週の日曜日でしたね。」
「ああ。面倒くせぇよな。こうゆうの。」
「って、担当責任者でしょ~が。」
「んんっ?何、機嫌治ってんじゃん。
何授業中にイチャついたんだ?田宮と。」
「イチャって…してませんよ!
授業中にンな事。
どうしてすぐそっちに行くかな?」
「顔に出てるからだよ。
田宮と楽しい事しました~って書いてある。」
「書いてません!イジらないで下さい!もう…。」
確かに、顔に出てたよな。
気が緩むとすぐ顔に出る。
これから委員会もあるし気合い入れなきゃ。
グゥ~~。
「また、昼飯抜いたのか?」
呆れ顔で清水先生に突っ込まれた。
「食欲なかったので。」
「仕方ねーな。ホラ食え。女神のクッキー。」
清水先生はそう言って、家から持参した手作りクッキーを分けてくれた。
「ありがとうございます。…あ、美味いっす。
ほのかにレモンの風味があって。」
「だろ?早くお前も作って貰えよ。田宮に。」
「ゲホッ!作って貰えませんよ!僕なんかに!」
「聞いてやろうか?」
「結構です!そうやって、話しのネタ作ろうとするのやめて下さい!」
清水先生はクスクス笑いながらパンフレットをめくっていた。
放課後、委員会のために旧校舎へ向かった。
朝よりは田宮の隣に座る勇気が出て来たものの、やはり不安だった。
昼休みのアレは確かに僕を拒否したと感じたし…でも…さっきのは…。
あ~もう!イライラする!
あんなに気遣いされると、少しは好きなのかなって期待しちゃうんだよ。
そんな訳ないって判ってても…。
僕が教室に着くとすでに生徒は全員着席していた。
僕は会釈しながら、田宮の隣に座った。
「お待ちしてましたよ。武本先生。
では、これから機関誌の前期部分の完成作業を行いたいと思います。」
機関誌製作委員長の塚本が指示を出して行く。
…そういえば、写真の選定に結局、僕は参加できなかった。
隣でパソコン作業の田宮に恐る恐る話し掛けた。
「田宮…写真って、どれに決まったんだ?
見せてくれるか?」
「そうでしたね。
結局先生は写真の選定はできなかったんですものね。
今、ファイルを開きます。」
田宮はパソコンのファイルを開き、選ばれた写真を見せてくれた。
「…げっ。
結局、田宮 美月の写真入れてんのかよ。」
思わず口から漏れてしまった。
「絵的には、派手な方がいいですから。
先生の好みではなくて残念ですね。」
「好みの問題じゃ…。
そういえば、お前って写真NGだって聞いてるけど、どうしてだ?」
前から、ちょっと気になってた。
この際だから聞いてみた。
「記録に残るからです。」
「残したくないのか?」
「他人を不快にさせるような被写体ですからね。どうせなら可愛い人や綺麗な人やを残す方がいいと思って。」
何だよ、その捻くれた考え方は!
「あのな…前から思ってたけど、別に田宮はブスって訳じゃ…。」
「ブスとは言ってませんがまぁ、似たような物ですね。」
「だから!そうじゃなくて!」
捻くれすぎたろうが、何でそんな考えに行き着くんだ?
「いいんですよ。
私はちゃんと理解してますから。
心無いフォローは逆に相手を傷つけますよ。」
「…だから!可愛い方だって言ってんだよ!」
思わず大声で叫んでしまった。
しまった!僕は何を叫んでるんだ!
「そこ!仲がいいのか悪いのか判らないけど、イチャつくなら廊下でやって下さい!」
塚本が僕等を指差して注意した。
「イチャついてません!」
2人同時に叫んだ。
「…先生が変な事を言うから、怒られちゃつたじゃないですか!」
田宮は頬を膨らませた。
「はぁ?僕のせいかよ!」
容姿にコンプレックス持ちすぎ何だよ!
そりゃ、僕だってイケメンじゃないけど、そこまで自分を追い込んでないぞ。
第一、僕は…凄く可愛いと思ってる訳だし。
田宮の事を…。
「武本先生!私は可愛いわよねー。」
左隣で葉月が袖をグッと引っ張った。
「ああ…可愛い、可愛い。」
すっごく軽く言った。
「武本先生。
誰彼構わずそんな事を言ってると、本命の彼女さんに振られちゃいますよ。」
田宮が右隣りからチクリと言った。
「た、田宮には関係ないだろ!」
本当はメチャクチャ関係ある。本人だし。
「そうですね…。
私には関係ありませんものね。
単なる生徒ですし。」
「あ…それは…。」
彼女の言葉が胸に刺さった。
自分から言ったセリフだったのに…。
僕は、彼女の顔を見る事が出来なくなった。
僕は、ごまかすように前髪をかきあげた。
「田宮さんは単なる生徒だけど、私は可愛い大切な生徒ですよね。」
葉月は追い討ちをかけて来た。
「ああ、そうだな…。」
僕は心のない返事をした。
こんなに、隣りにいて近いのに…彼女を凄く遠くに感じてしまう。
自分から、それを望んだ筈なのに…。
僕は泣きそうな自分を押し殺していた。
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