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2学期
加速する想い、進めない想い。
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あまりに衝撃的な事態に混乱もしていた。
胸の中は気持ち悪さと息苦しさでいっぱいだった。
そして…何よりも…彼女を抱きしめたい気持ちにかられた。
可哀想とかそんな憐れみの気持ちじゃなくて…。
意味なんていらない…ただ、無性に抱きしめたいと思ってしまう。
帰りの車の中、しばらく無言だった金井先生が口を開いた。
「学校に…寄ってもいいですか?」
「えっ…学校ですか?構いませんが。」
金井先生はそういう言うと再び黙り込んでしまった。
学校に着くと、金井先生はダッシュで走り出した。
「金井先生!?」
僕は後を追い掛けた。
まさか…まさか…そうなのか…?
金井先生は旧校舎に入って、旧理科室に飛び込むように入って行った。
ガチャ。バン!
あまりの勢いに、中にいた田宮が驚いて立ち上がった。
「金井先生…武本先生…どうしたんで…。」
彼女が言い終わらないうちに金井先生は彼女を抱きしめた…。
愛おしそうに…愛しむように…。
「金井先生、苦しいです…。」
彼女は視線を僕の方に流した。
僕は…彼女の視線を逸らした。
見ていられなかった。
そこで抱きしめているのが自分じゃない事が…。
金井先生が僕と同じ気持ちになっていた事を目の当たりにして僕は…。
切なくて…苦しくて…。
でも、心の何処かでこれでいいんじゃないかって思ってる自分もいて…。
「いきなりごめん。ちょっと、あってね。」
金井先生は彼女を抱きしめる腕を緩めた。
「…いいえ。武本先生と今まで一緒に?」
「あ、ああ。そう。ちょっと用事があってね。」
彼女は入り口で動けなくなってる僕のところまで歩いて来た。
「先生…これ、似合いますね。」
「!!」
ヤバい!忘れてた!ブレスレット!
僕は慌てて左手を後ろに隠した。
僕の顔は赤くなっていった。
「か…帰ります。
僕のマンションは近所なので歩いて帰れますから。」
「いや、送っていくよ。」
「いいえ、ゆっくりしてあげて下さい!」
金井先生のセリフを振り切り、僕は身を翻して旧理科室を後にした。
ブレスレット…見られちゃったな。
変に思ったかな…。
僕が同じの持ってるなんて。
僕は左手のブレスレットを見つめた。
そして…ブレスレットにキスをした。
本当は…彼女を抱きしめたかった…でも僕にはその権利はない。
虚しさが胸に溢れ出していた。
マンションに着いた僕は、久瀬の事が心配になった。
大丈夫とは思いつつ、あんな顔の久瀬を見たのが初めてで…。
シャワーを浴びで少し時間を置いてから、
僕は久瀬に電話を掛ける事にした。
「はい…。武本っちゃんどうした?忘れ物?」
「いや…その大丈夫かなって。」
「プッ。マジ!?あははは。
参ったな~。本当。
武本っちゃんはぁ。」
「何だよ!笑う事ないだろ!
心配してやってんのに!」
「あははは。
すっげー嬉しいよ。
てっきり呆れられたと思ってたから。」
「そんな訳ないだろ。…その友達だし…。」
うっ…なんか久瀬相手に言うの恥ずかしい!
「最高~~!武本っちゃん!
超~可愛い!愛してるぜ!」
「愛するな!友情で手いっぱいだよ!」
「…ありがとう本当に。」
良かった…。
少しでも久瀬の力になれた事に僕はホッとした。
改めて、僕は久瀬の事を何も知らなかったのだと思った。
久瀬が田宮を大切に思う気持ちも、彼の抱える苦悩も。
僕より大人だと感じていたのは、多くの経験から得たものだった。
彼は短時間の間に多くの辛い経験をした。
田宮と同じように…。
そして…それでもなお、久瀬は生きる事を選んだ。
久瀬は僕と同じ…田宮に生きて欲しいんだ。
例え傷だらけでも…汚れていても…。
僕は何が出来るのかな…君の為に…。
僕はその日、田宮の写真の挟んである手帳を枕元に置いて眠った。
せめて…夢の中で抱きしめたかった。
『どうしたの?その手。
青くなってる。』
『何でもないよ。それよりさ。
秘密のノートの続き、考えようぜ。』
『うん。新しい事思いついたの?』
『まずは、担任の早瀬をハメて学校から追放するんだ。』
『早瀬先生を?怖くない?出来そう?』
『やれるさ!頭使うんだよ。』
『ワクワクするね。』
『武本だけだなぁ。
嬉しい事言ってくれるの。』
他の人にはわからない。
2人だけの幸せな感覚。
ドキドキとワクワクと少しだけの罪悪感…。
『普通は先生の幸せなの?』
田宮…。僕の幸せは…?
教えてくれ…。僕の側で囁いてくれ。
その答えを…。
朝の日差しが眩しくて目を覚ました。
テニス部に行かなきゃ…。
結局、変な夢しか見なかった。
思い通りにいかないな。
田宮は今日も旧理科室に来てるかな…。
僕はそんな事考えながら、学校へ行く支度をした。
日曜日の午前中のテニス部は3年もいなくなり、少人数で練習を行った。
「武本先生!練習付き合って下さい!」
練習に付き合って身体を動かしていると少しだけ迷っている気持ちが治まってきた。
やっぱり、ブレスレットの事きちんと話そう。
そうしないと、彼女にちゃんと身につけてもらえなくなりそうで…。
練習を終えて、僕はダッサいジャージをいつもの服装に着替えた。
白衣を羽織って旧理科室に向かった。
あれ…笑い声が聞こえてきた。
僕は向きを変え旧理科準備室に滑り込んだ。
中扉の小窓から覗いて見た。
金井先生と田宮が笑いながら話していた。
「あ…。」
僕は少しだけガッカリしてしまった。
「では、その論理から言えば金井先生はイケメン失格ですね。
宝の持ち腐れですね。」
「そこまで、言っちゃう?まあいいけど。」
2人の仲良さそうな感じに、僕は目を伏せた。
中扉から離れると、そっと旧理科準備室を後にして職員室へと向かった。
痛む胸を左手で抑えながら…。
胸の中は気持ち悪さと息苦しさでいっぱいだった。
そして…何よりも…彼女を抱きしめたい気持ちにかられた。
可哀想とかそんな憐れみの気持ちじゃなくて…。
意味なんていらない…ただ、無性に抱きしめたいと思ってしまう。
帰りの車の中、しばらく無言だった金井先生が口を開いた。
「学校に…寄ってもいいですか?」
「えっ…学校ですか?構いませんが。」
金井先生はそういう言うと再び黙り込んでしまった。
学校に着くと、金井先生はダッシュで走り出した。
「金井先生!?」
僕は後を追い掛けた。
まさか…まさか…そうなのか…?
金井先生は旧校舎に入って、旧理科室に飛び込むように入って行った。
ガチャ。バン!
あまりの勢いに、中にいた田宮が驚いて立ち上がった。
「金井先生…武本先生…どうしたんで…。」
彼女が言い終わらないうちに金井先生は彼女を抱きしめた…。
愛おしそうに…愛しむように…。
「金井先生、苦しいです…。」
彼女は視線を僕の方に流した。
僕は…彼女の視線を逸らした。
見ていられなかった。
そこで抱きしめているのが自分じゃない事が…。
金井先生が僕と同じ気持ちになっていた事を目の当たりにして僕は…。
切なくて…苦しくて…。
でも、心の何処かでこれでいいんじゃないかって思ってる自分もいて…。
「いきなりごめん。ちょっと、あってね。」
金井先生は彼女を抱きしめる腕を緩めた。
「…いいえ。武本先生と今まで一緒に?」
「あ、ああ。そう。ちょっと用事があってね。」
彼女は入り口で動けなくなってる僕のところまで歩いて来た。
「先生…これ、似合いますね。」
「!!」
ヤバい!忘れてた!ブレスレット!
僕は慌てて左手を後ろに隠した。
僕の顔は赤くなっていった。
「か…帰ります。
僕のマンションは近所なので歩いて帰れますから。」
「いや、送っていくよ。」
「いいえ、ゆっくりしてあげて下さい!」
金井先生のセリフを振り切り、僕は身を翻して旧理科室を後にした。
ブレスレット…見られちゃったな。
変に思ったかな…。
僕が同じの持ってるなんて。
僕は左手のブレスレットを見つめた。
そして…ブレスレットにキスをした。
本当は…彼女を抱きしめたかった…でも僕にはその権利はない。
虚しさが胸に溢れ出していた。
マンションに着いた僕は、久瀬の事が心配になった。
大丈夫とは思いつつ、あんな顔の久瀬を見たのが初めてで…。
シャワーを浴びで少し時間を置いてから、
僕は久瀬に電話を掛ける事にした。
「はい…。武本っちゃんどうした?忘れ物?」
「いや…その大丈夫かなって。」
「プッ。マジ!?あははは。
参ったな~。本当。
武本っちゃんはぁ。」
「何だよ!笑う事ないだろ!
心配してやってんのに!」
「あははは。
すっげー嬉しいよ。
てっきり呆れられたと思ってたから。」
「そんな訳ないだろ。…その友達だし…。」
うっ…なんか久瀬相手に言うの恥ずかしい!
「最高~~!武本っちゃん!
超~可愛い!愛してるぜ!」
「愛するな!友情で手いっぱいだよ!」
「…ありがとう本当に。」
良かった…。
少しでも久瀬の力になれた事に僕はホッとした。
改めて、僕は久瀬の事を何も知らなかったのだと思った。
久瀬が田宮を大切に思う気持ちも、彼の抱える苦悩も。
僕より大人だと感じていたのは、多くの経験から得たものだった。
彼は短時間の間に多くの辛い経験をした。
田宮と同じように…。
そして…それでもなお、久瀬は生きる事を選んだ。
久瀬は僕と同じ…田宮に生きて欲しいんだ。
例え傷だらけでも…汚れていても…。
僕は何が出来るのかな…君の為に…。
僕はその日、田宮の写真の挟んである手帳を枕元に置いて眠った。
せめて…夢の中で抱きしめたかった。
『どうしたの?その手。
青くなってる。』
『何でもないよ。それよりさ。
秘密のノートの続き、考えようぜ。』
『うん。新しい事思いついたの?』
『まずは、担任の早瀬をハメて学校から追放するんだ。』
『早瀬先生を?怖くない?出来そう?』
『やれるさ!頭使うんだよ。』
『ワクワクするね。』
『武本だけだなぁ。
嬉しい事言ってくれるの。』
他の人にはわからない。
2人だけの幸せな感覚。
ドキドキとワクワクと少しだけの罪悪感…。
『普通は先生の幸せなの?』
田宮…。僕の幸せは…?
教えてくれ…。僕の側で囁いてくれ。
その答えを…。
朝の日差しが眩しくて目を覚ました。
テニス部に行かなきゃ…。
結局、変な夢しか見なかった。
思い通りにいかないな。
田宮は今日も旧理科室に来てるかな…。
僕はそんな事考えながら、学校へ行く支度をした。
日曜日の午前中のテニス部は3年もいなくなり、少人数で練習を行った。
「武本先生!練習付き合って下さい!」
練習に付き合って身体を動かしていると少しだけ迷っている気持ちが治まってきた。
やっぱり、ブレスレットの事きちんと話そう。
そうしないと、彼女にちゃんと身につけてもらえなくなりそうで…。
練習を終えて、僕はダッサいジャージをいつもの服装に着替えた。
白衣を羽織って旧理科室に向かった。
あれ…笑い声が聞こえてきた。
僕は向きを変え旧理科準備室に滑り込んだ。
中扉の小窓から覗いて見た。
金井先生と田宮が笑いながら話していた。
「あ…。」
僕は少しだけガッカリしてしまった。
「では、その論理から言えば金井先生はイケメン失格ですね。
宝の持ち腐れですね。」
「そこまで、言っちゃう?まあいいけど。」
2人の仲良さそうな感じに、僕は目を伏せた。
中扉から離れると、そっと旧理科準備室を後にして職員室へと向かった。
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