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3学期
ランチデート
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翌日曜日。
今日は午後1時から田宮と会う…。
学校は部活も無いし出勤する職員も少ないはずだ。
食堂もおそらく2人きりで食事出来る。
でも…かと言って浮かれてもいけない。
おそらく、彼女は《勉強会》の下準備としての会話をしてくる可能性が高い。
僕が手を抜くなと言ったのだ…万全の準備をしてくるはず。
彼女との会話の一言一句を逃さないようにしよう。
彼女も全力で来るんだ。
僕も全力で受けないと…。
僕はシャワー上がりの頭を乾かしながら鏡に映る自分に言い聞かせた。
僕はいつものオールバックに黒縁メガネ水色のワイシャツに黒いネクタイ、黒いスーツを着用した。
ラフな格好でも良かったのだが…気が緩んでしまう気がして、形から入る事にしたのだ。
告白はしたものの、あくまで一方的なものだ。
彼女に恋人さながらの行為を期待してはいない。
僕は気合いを入れてマンションを出た。
時間はまだ午前11時。
かなり早いが、遅れるよりはましだ。
学校に着いた僕は職員室に着いた。
自席に座りGPSで彼女がすでに学校に来ているのを確認した。
おそらく、旧理科室にいるのだろう。
僕は目を閉じて時間が過ぎるのを待った。
不思議なくらいに落ち着いていた。
告白出来たせいだろうか…何も怖くない…それどころか期待してるかのようだ。
以前より彼女を近くに感じる。
すぐ後ろで背中合わせに座ってるような、そんな感覚だった。
もう少し…あと少し…。
そして時間は午後1時になった。
僕は席を立って食堂へと向かった。
田宮は食堂に先に着いていた。
「やぁ。待ったか?」
「こんにちわ。武本先生。
今来たところです。」
彼女はいつもと変わらないゆっくりとした口調で言った。
予想通り、食堂には僕等以外誰1人としていなかった。
僕と彼女は向かい合わせで座った。
「ついでに作ったので大した物じゃありませんが、どうぞ。」
彼女はそう言って、僕の分の手作り弁当をテーブルの上に差し出した。
「ありがとう。
そうだ代金は…。」
「では、飲み物代金で。」
「じゃあ、お茶とかでいいか?」
「えーと。麦茶でお願いします。」
「わかった、今買って来る。」
僕は一旦席を立って、自販機から麦茶を2本購入して再び席に戻った。
「ありがとうございます。」
彼女は麦茶を受け取ると笑顔で礼を言った。
僕は彼女の作った弁当を開けた。
「美味そうだ。いただきます。」
「いただきます。」
僕と彼女は時折視線を合わせながら弁当を食べた。
「母子家庭と聞きましたが…兄弟とかはいないんですか?」
「あ、うん。一人っ子だな。
兄弟には憧れてたなぁ。」
「お兄さんとか弟とかですか?」
「そうだな~。
どちらかと言えば兄が欲しかったな。」
「憧れがあったんですね。」
彼女はそう言って目を伏せた。
今のが…《勉強会》と関係があるのだろうか?
けれど彼女はそれ以上深入りして来る気配がない。
「先生…先生は以前、お付き合いした女性とはどんな風にお昼ご飯を食べたんですか?」
「へっ?」
予想だにしない質問に少し動揺した。
「どうって…。食べさせて貰ったりとかか?」
まさかな…やるつもりじゃ…。
「こんな感じですか?
はい、あーん。」
「!!」
彼女は一口サイズに切った卵焼きを僕の方によこして来た。
えーと、これは…。
「あーん。」
彼女が再び言ったので僕は口を開けでそれを食べた。
「これって、普通に食べるのと何か違うんですか?」
彼女は食べさせた僕に問いかけた。
僕は少しだけ照れながら、言った。
「味とかじゃない…その興奮度というか…ドキドキするとか…甘えてる感じとかがその…恋人感が出るんじゃないかな。」
「そうなんですか…。
また勉強になりました。」
彼女はイタズラっぽく笑った。
「じゃあ、今度は僕からやってみようか?」
「えっ…先生から?」
「試してみようか。
ほら、あーん。」
僕は小さめのブロッコリーを彼女の口の前に差し出した。
彼女は小さな口を開けてそれを食べた。
「うふふ。なんか文化祭を思い出しました。」
「ああ、そういえば久瀬のゲームで。」
「あれって、こういう事だったんですね。
私…全然わからなかったです。」
「今かよ~。ははは。」
「だって…あの時先生嫌がってると思ってたから…。」
彼女はちょっとショックを受けた顔を見せた。
「緊張してたんだよ。
本当はすっごく嬉しかったんだぞ。」
「すみません。
私…何もわかってなくて。」
「いいんだよ。
そこがいいんだ。」
本当…こういう恋愛に鈍感なところが僕の心をくすぐる。
可愛くて愛おしく思ってしまう。
そうやって一生懸命、僕を理解してくれようと努力する様も…なんていじらしいんだ。
そこに…恋心がないってわかってても、嬉しくてたまらなくなる自分がそこにいた。
もうすぐこの楽しい時間が終わる…。
いよいよ《勉強会》だ…。
今日は午後1時から田宮と会う…。
学校は部活も無いし出勤する職員も少ないはずだ。
食堂もおそらく2人きりで食事出来る。
でも…かと言って浮かれてもいけない。
おそらく、彼女は《勉強会》の下準備としての会話をしてくる可能性が高い。
僕が手を抜くなと言ったのだ…万全の準備をしてくるはず。
彼女との会話の一言一句を逃さないようにしよう。
彼女も全力で来るんだ。
僕も全力で受けないと…。
僕はシャワー上がりの頭を乾かしながら鏡に映る自分に言い聞かせた。
僕はいつものオールバックに黒縁メガネ水色のワイシャツに黒いネクタイ、黒いスーツを着用した。
ラフな格好でも良かったのだが…気が緩んでしまう気がして、形から入る事にしたのだ。
告白はしたものの、あくまで一方的なものだ。
彼女に恋人さながらの行為を期待してはいない。
僕は気合いを入れてマンションを出た。
時間はまだ午前11時。
かなり早いが、遅れるよりはましだ。
学校に着いた僕は職員室に着いた。
自席に座りGPSで彼女がすでに学校に来ているのを確認した。
おそらく、旧理科室にいるのだろう。
僕は目を閉じて時間が過ぎるのを待った。
不思議なくらいに落ち着いていた。
告白出来たせいだろうか…何も怖くない…それどころか期待してるかのようだ。
以前より彼女を近くに感じる。
すぐ後ろで背中合わせに座ってるような、そんな感覚だった。
もう少し…あと少し…。
そして時間は午後1時になった。
僕は席を立って食堂へと向かった。
田宮は食堂に先に着いていた。
「やぁ。待ったか?」
「こんにちわ。武本先生。
今来たところです。」
彼女はいつもと変わらないゆっくりとした口調で言った。
予想通り、食堂には僕等以外誰1人としていなかった。
僕と彼女は向かい合わせで座った。
「ついでに作ったので大した物じゃありませんが、どうぞ。」
彼女はそう言って、僕の分の手作り弁当をテーブルの上に差し出した。
「ありがとう。
そうだ代金は…。」
「では、飲み物代金で。」
「じゃあ、お茶とかでいいか?」
「えーと。麦茶でお願いします。」
「わかった、今買って来る。」
僕は一旦席を立って、自販機から麦茶を2本購入して再び席に戻った。
「ありがとうございます。」
彼女は麦茶を受け取ると笑顔で礼を言った。
僕は彼女の作った弁当を開けた。
「美味そうだ。いただきます。」
「いただきます。」
僕と彼女は時折視線を合わせながら弁当を食べた。
「母子家庭と聞きましたが…兄弟とかはいないんですか?」
「あ、うん。一人っ子だな。
兄弟には憧れてたなぁ。」
「お兄さんとか弟とかですか?」
「そうだな~。
どちらかと言えば兄が欲しかったな。」
「憧れがあったんですね。」
彼女はそう言って目を伏せた。
今のが…《勉強会》と関係があるのだろうか?
けれど彼女はそれ以上深入りして来る気配がない。
「先生…先生は以前、お付き合いした女性とはどんな風にお昼ご飯を食べたんですか?」
「へっ?」
予想だにしない質問に少し動揺した。
「どうって…。食べさせて貰ったりとかか?」
まさかな…やるつもりじゃ…。
「こんな感じですか?
はい、あーん。」
「!!」
彼女は一口サイズに切った卵焼きを僕の方によこして来た。
えーと、これは…。
「あーん。」
彼女が再び言ったので僕は口を開けでそれを食べた。
「これって、普通に食べるのと何か違うんですか?」
彼女は食べさせた僕に問いかけた。
僕は少しだけ照れながら、言った。
「味とかじゃない…その興奮度というか…ドキドキするとか…甘えてる感じとかがその…恋人感が出るんじゃないかな。」
「そうなんですか…。
また勉強になりました。」
彼女はイタズラっぽく笑った。
「じゃあ、今度は僕からやってみようか?」
「えっ…先生から?」
「試してみようか。
ほら、あーん。」
僕は小さめのブロッコリーを彼女の口の前に差し出した。
彼女は小さな口を開けてそれを食べた。
「うふふ。なんか文化祭を思い出しました。」
「ああ、そういえば久瀬のゲームで。」
「あれって、こういう事だったんですね。
私…全然わからなかったです。」
「今かよ~。ははは。」
「だって…あの時先生嫌がってると思ってたから…。」
彼女はちょっとショックを受けた顔を見せた。
「緊張してたんだよ。
本当はすっごく嬉しかったんだぞ。」
「すみません。
私…何もわかってなくて。」
「いいんだよ。
そこがいいんだ。」
本当…こういう恋愛に鈍感なところが僕の心をくすぐる。
可愛くて愛おしく思ってしまう。
そうやって一生懸命、僕を理解してくれようと努力する様も…なんていじらしいんだ。
そこに…恋心がないってわかってても、嬉しくてたまらなくなる自分がそこにいた。
もうすぐこの楽しい時間が終わる…。
いよいよ《勉強会》だ…。
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