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3学期
王子のお楽しみ
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金井先生と話し終えて僕は学校を出た。
ブルルルブルルル。
帰宅途中に携帯が鳴った。
田宮からだ!
僕は慌てて電話に出た。
「どうした?忘れ物でも…。」
「いえ、明日の事で。
先生は午前中から学校ですか?」
「あ、そっか時間決めてなかったか。
部活もないし、朝早いのは辛いだろ。
午後で大丈夫だ。
君の好きな時間に…。」
「…では午後1時くらいに…。
あの…お弁当…作って行きましょうか?」
「えっ!いいの!?」
思わず速攻で返してしまった。
「食堂やってませんし、コンビニ弁当もあまりってこの前…私も作るのでついでにと思って。」
「食べる!絶対食べる!いや食べたい!
あ、有料でいい。」
僕は必死に頼んだ。
「わかりましたではお気持ち分だけ頂きますね。
じゃあ午後1時に食堂で食べた後で《勉強会》を始めましょう。」
「うん!それでいい。」
「…では、よろしくお願いします。」
「…楽しみにしてる。よろしく。」
僕は彼女の電話を切るとガッツポーズで喜んだ。
「よしっ!」
その夜に、宅配便が来てあの写真が届いた。
「なんか…開けるのドキドキするな…。」
彼女のウェディングドレス姿の写真。
しかも、僕だけの物。
僕は包みをそっと開けて中の写真を取り出した。
深呼吸してから開いて中を見た。
「うおー!やっぱりいい!」
思わず叫んでしまった。
凄く綺麗だ…本当、スタッフの人が言った通り白い肌にウェディングドレスが物凄くマッチしていた。
斜にかまえた背中が広く開いてるのもいやらしくなく、むしろ清楚感が増していた。
こんなの見たら妄想するなって方が無理だろー!
僕は写真で興奮しまくった。
写真の彼女の顔をそっと撫でる。
「本当…綺麗だ…。」
写真を見てるだけで色々な事を思い出す。
初めての出会い…夏休みのキス…文化祭前の夜の学校…花火の保健室…廊下のキス…彼女からの風邪越ししのキス…屋上で抱きしめあったり…本気のキスしたり…そして…クリスマスイブの夜にキスした紅い唇…。
僕はこんなにも君を想い続けたのに…自分でその事実を否定していた。
素直に君に好きと言えるまでかなりの時間が掛かってしまった。
でも…やっと言えた。
昨夜の告白は僕の想いの全てを詰め込んだつもりだ。
僕の心は晴れやかだった。
告白して良かったと本心で思った。
一応、報告がてら久瀬に電話を掛ける事にした。
「おっ帰り~!久瀬ちゃんに会えなくて寂しかったかな?」
だから、毎回毎回この出方はどうにかならないのか?
「ただいま。
一応、報告しとこうと思って…。
…彼女に告白した。昨夜。」
「おお!やったじゃん!
で、で、どこまでイッた?最後まで?」
「お前も大概下世話だな。
告白だけだよ!」
本当はキスして抱きしめたけど…。
「ええ~。もうマジ?
それは男としてどうなの?
ヘタレ病は重症じゃんかよ。」
「いいんだよ。
焦ってないから。」
「焦れよ!
田宮には時間がねぇっつたろ!
どうせ嫌われないんなら早くヤッちゃえばいいのに!」
「そういう訳に行かないだろ!尚の事。
彼女を大切に想ってるから…これでいいんだ。」
「ま…、武本っちゃんがそう言うなら仕方ないか。
そだ、写真届いたんだろ?」
「ああ。届いた。凄くいい!」
「えー!見たいな!」
「ダメだ!」
「意外とケチだな武本っちゃん。」
「違うよ。彼女との約束なんだ。
僕以外の人には見せないって。」
「ふーん。そっか。
2人だけの約束じゃしょうがねーな。
今夜はその写真が武本っちゃんの夜のオカズかな~くふっ!」
「オカ…するか!ボケ!
どうしてそう、すぐ下ネタ行くかな!」
こういう時が久瀬との会話で疲れるとこだ。
まったく。
「で、明日の午後1時過ぎ…1時半くらいから《勉強会》をやる事に決めた。」
「そっか…。
今回か4回目だ…気合い入れろよ。
あと…万が一、5回目以降続く時は必ず俺が同席する。」
「えっ…。同席?」
「最終ステップになっちゃ元も子もないかなね。
監視の意味も込めてね。」
そうか…最終ステップに行けばおそらく確実に僕は死の世界から脱出出来る…彼女を踏み台として…けど…。
そんな事はさせない。
そこだけは彼女の思い描くストーリーにしちゃいけないんだ!
「わかった。
よろしく頼むよ。
《勉強会》の報告は明日の夜に簡単に電話で説明する。
後日、改めて精査しよう。」
「了解っす!」
「久瀬…ありがとう。
本当にありがとう。」
「なんだよー改まってぇ。」
「言わせてくれ。
本当に感謝してる。」
「うん。
でも…俺も感謝してる。
田宮になんの力にもなれずに、去ってしまった事をずっと後悔していた…。
武本っちゃんのお掛けで、その後悔から抜け出せそうだ。
ありがとう。」
僕等はお互いに出会えた事…彼女を救う同士になれた事を心から喜んだ。
僕と久瀬の目的は1つだ…。
彼女のいる世界を壊して彼女を解放するんだ。
ブルルルブルルル。
帰宅途中に携帯が鳴った。
田宮からだ!
僕は慌てて電話に出た。
「どうした?忘れ物でも…。」
「いえ、明日の事で。
先生は午前中から学校ですか?」
「あ、そっか時間決めてなかったか。
部活もないし、朝早いのは辛いだろ。
午後で大丈夫だ。
君の好きな時間に…。」
「…では午後1時くらいに…。
あの…お弁当…作って行きましょうか?」
「えっ!いいの!?」
思わず速攻で返してしまった。
「食堂やってませんし、コンビニ弁当もあまりってこの前…私も作るのでついでにと思って。」
「食べる!絶対食べる!いや食べたい!
あ、有料でいい。」
僕は必死に頼んだ。
「わかりましたではお気持ち分だけ頂きますね。
じゃあ午後1時に食堂で食べた後で《勉強会》を始めましょう。」
「うん!それでいい。」
「…では、よろしくお願いします。」
「…楽しみにしてる。よろしく。」
僕は彼女の電話を切るとガッツポーズで喜んだ。
「よしっ!」
その夜に、宅配便が来てあの写真が届いた。
「なんか…開けるのドキドキするな…。」
彼女のウェディングドレス姿の写真。
しかも、僕だけの物。
僕は包みをそっと開けて中の写真を取り出した。
深呼吸してから開いて中を見た。
「うおー!やっぱりいい!」
思わず叫んでしまった。
凄く綺麗だ…本当、スタッフの人が言った通り白い肌にウェディングドレスが物凄くマッチしていた。
斜にかまえた背中が広く開いてるのもいやらしくなく、むしろ清楚感が増していた。
こんなの見たら妄想するなって方が無理だろー!
僕は写真で興奮しまくった。
写真の彼女の顔をそっと撫でる。
「本当…綺麗だ…。」
写真を見てるだけで色々な事を思い出す。
初めての出会い…夏休みのキス…文化祭前の夜の学校…花火の保健室…廊下のキス…彼女からの風邪越ししのキス…屋上で抱きしめあったり…本気のキスしたり…そして…クリスマスイブの夜にキスした紅い唇…。
僕はこんなにも君を想い続けたのに…自分でその事実を否定していた。
素直に君に好きと言えるまでかなりの時間が掛かってしまった。
でも…やっと言えた。
昨夜の告白は僕の想いの全てを詰め込んだつもりだ。
僕の心は晴れやかだった。
告白して良かったと本心で思った。
一応、報告がてら久瀬に電話を掛ける事にした。
「おっ帰り~!久瀬ちゃんに会えなくて寂しかったかな?」
だから、毎回毎回この出方はどうにかならないのか?
「ただいま。
一応、報告しとこうと思って…。
…彼女に告白した。昨夜。」
「おお!やったじゃん!
で、で、どこまでイッた?最後まで?」
「お前も大概下世話だな。
告白だけだよ!」
本当はキスして抱きしめたけど…。
「ええ~。もうマジ?
それは男としてどうなの?
ヘタレ病は重症じゃんかよ。」
「いいんだよ。
焦ってないから。」
「焦れよ!
田宮には時間がねぇっつたろ!
どうせ嫌われないんなら早くヤッちゃえばいいのに!」
「そういう訳に行かないだろ!尚の事。
彼女を大切に想ってるから…これでいいんだ。」
「ま…、武本っちゃんがそう言うなら仕方ないか。
そだ、写真届いたんだろ?」
「ああ。届いた。凄くいい!」
「えー!見たいな!」
「ダメだ!」
「意外とケチだな武本っちゃん。」
「違うよ。彼女との約束なんだ。
僕以外の人には見せないって。」
「ふーん。そっか。
2人だけの約束じゃしょうがねーな。
今夜はその写真が武本っちゃんの夜のオカズかな~くふっ!」
「オカ…するか!ボケ!
どうしてそう、すぐ下ネタ行くかな!」
こういう時が久瀬との会話で疲れるとこだ。
まったく。
「で、明日の午後1時過ぎ…1時半くらいから《勉強会》をやる事に決めた。」
「そっか…。
今回か4回目だ…気合い入れろよ。
あと…万が一、5回目以降続く時は必ず俺が同席する。」
「えっ…。同席?」
「最終ステップになっちゃ元も子もないかなね。
監視の意味も込めてね。」
そうか…最終ステップに行けばおそらく確実に僕は死の世界から脱出出来る…彼女を踏み台として…けど…。
そんな事はさせない。
そこだけは彼女の思い描くストーリーにしちゃいけないんだ!
「わかった。
よろしく頼むよ。
《勉強会》の報告は明日の夜に簡単に電話で説明する。
後日、改めて精査しよう。」
「了解っす!」
「久瀬…ありがとう。
本当にありがとう。」
「なんだよー改まってぇ。」
「言わせてくれ。
本当に感謝してる。」
「うん。
でも…俺も感謝してる。
田宮になんの力にもなれずに、去ってしまった事をずっと後悔していた…。
武本っちゃんのお掛けで、その後悔から抜け出せそうだ。
ありがとう。」
僕等はお互いに出会えた事…彼女を救う同士になれた事を心から喜んだ。
僕と久瀬の目的は1つだ…。
彼女のいる世界を壊して彼女を解放するんだ。
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