手の届かない君に。

平塚冴子

文字の大きさ
273 / 302
3学期

王子の恋の駆け引き3

しおりを挟む
電話を切って旧理科準備室に入り、コーヒーを入れてコンビニで買ったサンドイッチを頬張った。
「今朝、来られなかったのは…姉を気遣ってたのかもな…。」
田宮なら有りうる。
棘の抜けた姉のか細さに、そっと手を添えてあげていたのだろう。
今日は放課後もこの調子なら早く帰ってしまうな。
僕は午後からの授業に備えてブレスレットを装着した。

とすれば、やはり次の授業しかチャンスはない訳で…。
白衣を着て、ブレスレットが黒板に文字を書いた時のみチラ見出来る様にした。

そろそろ『勉強会』の打診もあるかな…。
うー!イチャイチャ出来る時間なんてないな。
バレンタイン…もうすぐだな…。
関係ないんだろうけどさ…。
「はああ…。」
でっかいため息をついて、テンションがダダ下がりになって来た。

ダメだ!ダメだ!
こんなんじゃ!ったく。
すぐにマイナス思考になっちまう。
頑張れ!ここが勝負だ!
久瀬も安東も田宮は、僕を意識し始めてるって言ってたし。
自信を持て!

胸ポケットの手帳を握りしめた。

午後の授業少し前に、職員室に戻り、道具を持って1年4組に移動した。
何かドキドキして来た。
平常心!平常心!
胸に手を当てて自分に言い聞かせた。

「ほらー!いつまで遊んでんだ?
授業始まるぞ!席に着け!」
相変わらず廊下でガヤガヤと騒ぐ4組の生徒を、教室に追いやった。

「先生~、4月に新任の先生入らないの?」
「もう、武本には新鮮味感じないな~。」
「若い女教師とか?」
そして、相変わらず失礼な奴らばかりだ。
「新任の話しは聞いてない。
生徒数が減少してるから、次年度はないと思う。
ま、そんな良い話なら僕もテンション上がるんだけどな。」
「先生!まだ彼女出来ないの?」
「ダサいな~~武本は。あははは。」
生徒達の笑いの中、教壇に着いた僕は、横目で田宮を確認した。
軽く目を伏せて、肘を立てて頬をに手をついてる。
口元が少し上がって微笑んでいる。
機嫌がいいと牧田の報告通りだ。
穏やかな時間が、彼女の周りに流れてるのが目に見えるようだ。

「じゃあ、前回の続きから始めるぞ!
教科書開いて!」
僕はなるべく、平常心を装って坦々と授業を進めていった。

「これから書く例題を和訳してくれ。」
そして、いよいよ黒板に向かいワザと右腕に着けたブレスレットをチラ見せした。
内心ドキドキだったけど、なるべく表情に出さないように顔の筋肉に力を入れた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

降っても晴れても

凛子
恋愛
もう、限界なんです……

処理中です...