【暗殺貴族】短編集

八重

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短編

温泉旅行へGO!⑤(ギャグハー)

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ナレーション:温泉も楽しみ、待ちに待った夕食。リラ達はラリウスの部屋に集合して海の幸、山の幸に舌鼓を打つのだった…



リラ「はぁ~お腹いっぱい」


さすが、と言うか部屋も凄ければ料理も凄かった。
海の幸、山の幸、そして高級牛肉…。
どれもこれも美味しくて、なんというか庶民の私には馴染みのない上品な味だった。


ジル「いやぁ、本当に…もう俺動けない……」

ギル「うん…ちょっと調子乗りすぎた…」

リラ「2人ともスーラさんの残した分も食べてたからね」


どうやらスーラさんは魚介系が苦手らしく、いくつかの刺身を除いてほとんど残していた。
特にサザエやアワビが見た目的に受け付けないらしい。
美味しいのにもったいない。


リラ「それにしても、細い体によくあんだけ入るね」

ジル「え~俺らそんなに細くないよ? ちゃんと鍛えてるし」

ギル「なんなら確認してみる?」


そう言って着ている浴衣をちょっとだけはだけさせてるギル君。
誰もそんなちらリズム期待してない。
しかもさっきお風呂で見たしね。


リラ「いえ、けっこうです。っていうかジル君。さっきから浴衣はだけかけてるから」


そして見たくないものまでチラリと見えている。


ジル「いや~リラちゃんのエッチ! でも大丈夫! 今日は勝負下着だから☆」

リラ「マディーナさん。ジル君の飲み物にアルコール入れました?」

マディーナ「いや、そんなことしなくても、こいつらいつもこんな感じだろ」

リラ「……余計やっかいです」

ティーナ「ジル。貸してみなさい。わたくしが着付けてあげますわ」

ジル「あ、はい。お願いします」


ティーナさんの言葉に急に大人しくなるジル君。
ティーナさん怒ったら怖いんだろうな…。


サリエル「なぁ、リラ」

リラ「はい?」

サリエル「日本人は着物の下には下着をつけない。と言うのは本当か?」


あまりにも真剣な面持ちで聞くから何かと思えば…。


リラ「それどこで聞いたのか知りませんが、日本人全員そんなことしてるわけないですよ」

サリエル「そうか…残念だ……」

リラ「いや、何が残念なんですか!?」

サリエル「いや、男としてはしてない方が嬉しいものだろう?」

リラ「そんなこと言われても困るんですけど」


最初は何を考えてるかわからないミステリアスな人だと思ってたんだけど、最近サリエルさんは 馬鹿正直な変態だという事に気づいた。
今みたいに普通恥ずかしくて言えないようなことを真正面から、濁りのないまっすぐな瞳で言ってくるから困ったものだ。


ラリウス「サリエル。そんなこと聞くのは失礼ですし、このご時世“セクハラ”なんて言われますよ。
 ちなみに下着をつけないではなく、洋物の下着をつけない方が好ましいとされてるようです。ちゃんと和装用の下着もあるようですよ」

リラ「へぇ、なるほど……」

スーラ「じゃあ、この薄い浴衣の下はすぐ下着なンですカ~?」


ほんのり頬の赤いスーラさんがいきなり絡んできた。
……もしかして酔っぱらってる?


リラ「スーラさんどのくらい飲んだんですか?」

スーラ「え~~と、ほんのちょびっとデ~ス。
 ねぇ~マディーナさ~ん?」

マディーナ「うわっ。俺に絡みつくなっ暑苦しい!」

スーラ「そんな冷たいコト言わないデもいいじゃないですカ~」

マディーナ「重い重いっ! 全体重で寄りかかるなよっ!」

スーラ「そりゃあ私の想いは重いでスから~。覚悟しテくださいヨー。リラさん~」

マディーナ「俺はリラじゃないからっ」

リラ「お2人ともお幸せに」

マディーナ「あっ! ちょっと待てよっ! ってお前どこに手つっこんでんだっ! 
 これがリラだったら犯罪ものだからなっ! おいっ聞いてんのかっ!」

スーラ「ん~…ずいぶん平たい胸でス…でもソレもまた良しですヨー」

マディーナ「アホかっ!」


あれはあれで楽しそうだからほっといておこう。
て言うかジル君とギル君なんてちゃっかりスマホで2人の様子動画撮ってるし。
……面白そうだから後で見せてもらおう。


ラリウス「どうやらスーラさんはお酒に耐性があまりなかったようですね」

リラ「そうみたいですね。二度と飲まない方がいいと思います」

ラリウス「ふふ……外から見てるぶんには面白いんですけどね。絡まれたらたまったものじゃないですね」

シルキー「ラリウス兄さん。アンが眠っちゃったから部屋に戻るついでに送ってくよ」


シルキー君の言葉にアンちゃんが座ってた席に目を向ければティーナさんの膝の上でスヤスヤ眠るアンちゃんの姿。


リラ「あ、私も一緒に戻ります」

ラリウス「はい。じゃあおやすみなさい」

リラ「はい。おやすみなさい」


ティーナさんはアンちゃんを膝に乗せていたせいで足がしびれてしまったらしく、少しして部屋に戻ってくることになった。
なのでアンちゃんはシルキー君がお姫様抱っこして運んでくれた。
自分の部屋に着き、お布団にアンちゃんを寝かせる。


リラ「ここまで運んでくれてありがとうね」

シルキー「いや、別に僕の妹だし当たり前の事だよ」

リラ「優しいお兄ちゃんだね」

シルキー「……ねぇ。やっぱり僕のこと子供扱いしてるでしょ」

リラ「え? だってまだ子供でしょ」

シルキー「……そういう事じゃなくて」


明かりを少し落とした室内でシルキー君の真剣な眼差しが私を射抜く。
いつもとは違うその雰囲気になぜか焦ってしまった。


リラ「あっ…シルキー君もそろそろ部屋にー」

シルキー「リラ。僕はー」


シルキー君がなにか言いかけたちょうどその時、部屋の扉が開く音がした。


リラ「あっティーナさん」

ティーナ「ただ今戻りましたわ。シルキー、アンを運んでくれてありがとう」

シルキー「どういたしまして。じゃあ2人ともおやすみ」

ティーナ「おやすみなさい」

リラ「うん。おやすみ」


何を言おうとしたか聞き返す前にシルキー君は部屋へと戻って行ってしまった。
今度、またいつか聞いてみようー…


マディーナ「はぁ……風呂でも疲れたけどさっきのでさらに疲れた……」

ラリウス「ふふふ……お疲れさま」

マディーナ「お前完全に他人事だったな」

ラリウス「まぁまぁ。最後はあの人を寝かせるの手伝ったじゃないですか」


スーラとサリエルは寝室ですでに夢の中。
ラリウスとマディーナは窓辺の椅子に腰かけながら、ゆっくりとワインを味わっていた。


マディーナ「清流の音を聞きながら飲むワインもいいものだな」

ラリウス「えぇ。そうですね」

マディーナ「ん~~なんかつまめるもの買っておけば良かったな……」


そこまで言って、マディーナは何か思い出したように自分の荷物をあさり始めた。


マディーナ「お。あった。ま、なにもないよりはいいかな……」

ラリウス「何ですかそれ?」

マディーナ「ん? 昼間リラが練り香水のお返しにくれたものなんだけど……」

ラリウス「あぁ。あのふざけたお菓子ですか」

マディーナ「なんだ。そこまで見てたのか」


マディーナはお前の反応見たかったのに。と言いつつ紙袋から中身を取り出した。


マディーナ「あれ?」


紙袋から出てきたのは鼻くそ型のお菓子ではなく、地元のお肉を使ったビーフジャーキー。


ラリウス「ふふ……どうやらお酒に合うもの探してくれてたようですね」

マディーナ「だな。全く…嬉しいもんだねぇ」


*****



リラ「ふぁぁ~…。なんかドッと疲れが……」

ティーナ「ふふふ…リラさんは人気者ですからね」

リラ「いや…からかわれて、遊ばれているだけだと思います」

ティーナ「あら、そうかしら」

リラ「そうですよ! 特にジル君とギル君ですけど」

ティーナ「ふふふ…ギルもジルも素直じゃないんですわよ」

リラ「う~ん。そうなんでしょうか……」

ティーナ「あらあら…みなさん苦労しそうですわね」


ぼそりと呟かれた言葉を聞きなおすと、なんでもないですわ。と返されてしまった。


ティーナ「それでは、私もそろそろ眠りますわね」

リラ「あ、はい! おやすみなさい」

ティーナ「おやすみなさい」



******



リラ(……寝れない)


色々ありすぎて逆に目が冴えちゃったかな…。
確かお風呂は夜中まで入れるって言ってたような…。
私は寝ている2人を起こさないようにそっと体を起こして布団から抜け出した。





リラ「はぁ…いい気持ち……」


時間的に温泉には誰もおらず、私は夜景と温泉を独り占めしていた。
やっぱり温泉は騒がずゆったり入るものだよね…
温泉の淵に頭を預けて空を見上げる。
少し街中から離れているから星空も綺麗だ。


リラ(ん~…これでぐっすり眠れそう…)


そう思って少しだけ瞳を閉じた。
あ…なんかこのまま寝れそう…


ラリウス「こんなところで寝ると危ないですよ」


降ってきた言葉に驚き、勢いよく体を起こした。


リラ「ラッラリウスさんん!」?


もう夜中の12時を回っており、誰もいないと思っていたから余計に驚いた。


リラ「な、なんでここに……」

ラリウス「ちょっと眠れなくて…。あなたもですか?」

リラ「あ、はい。そんなところです……」


夕方入ったときは他の人もいたけど、今は2人きり。
なんとなく気まずく感じ、さりげなくラリウスさんと距離を取った。


ラリウス「……そんなに警戒しなくても何もしませんよ」

リラ「あ! いや! 別にそんなこと心配してるんじゃなくて…!
 えっと…やっぱりちょっと恥ずかしいなって……」

ラリウス「夕方も一緒だったじゃないですか。恥ずかしがらないでください」


そう言ってラリウスさんが私との距離をつめてくる。


リラ「ラ、ラリウスさん…? ちょっとこれは近すぎな気が…」


ん? なんかラリウスさんの様子がおかしくないか?
なんとなく目がトロンとしているような…


ラリウス「私はどんなあなたも受け入れるつもりですよ…」

リラ「はい? 一体何の話ですかっ!? って言うか酔っぱらってますよね!?」

ラリウス「そうですね…。だいぶあなたの魅力に酔ってます」


あちゃー! これはあかん奴や! だいぶあかん奴や!
なんて心の中でつっこむ一方、迫ってくる整った顔立ちに今にも心臓が破裂しそうになる。


リラ「ちょ、ラリウスさん冷静に! 冷静になりましょう!」

ラリウス「……こんな状況で冷静になれと言う方が無理ですよ」

リラ「いやいやいやいや! そうは言っても一応公共の場ですしねっ! ねっ!」


無理無理! これ以上は私には刺激が強すぎる。アダルティー過ぎる…!
夕方のジュドー君まではいかなくとも、軽く気絶しそうです…!


ラリウス「……なら、公共の場じゃなければいいんですよね?」


ピタリとラリウスさんの動きが止まる。


リラ「え? あ、まぁ……」

ラリウス「わかりました」


すっと素直に身を引いたラリウスさんにホッとしたのもつかの間。
ラリウスさんはそれはそれは素敵な笑顔をこちらに向けた。


ラリウス「ならプライベートな空間でなら大丈夫って事ですよね? ……約束ですよ?」

リラ「え? 約束? いったい何のー」

ラリウス「では眠くなったのでそろそろ部屋に戻ります」


私の抗議の言葉を遮り、ラリウスさんは湯気の中に消えていってしまった。


リラ(なんか話がとんでもない方向にいっちゃった気が…)


私は小さくため息をつくと、再び夜空を見上げた。


リラ「余計に目が醒めちゃったよ……」






ナレーション:次こそ最後の最後の温泉旅行!という事で次回、最終話「楽しかった(?)ね☆温泉旅行」をお送りいたします。




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