石川家シリーズ

Lucky

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「早よ寝なさい」

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「早よ寝なさい!」

「まだええやんか!休みやねんから!」

「お兄ちゃんかて、おきてるやんか!ゆかも、まだねえへん!」

「あんたたちはっ!ほんまにもう!!・・・ほらっ、お兄ちゃんからや!お尻出し!」


「やめてぇや!!痛っ!・・寝る・・いたっ・・・寝るて言うてるやんか!!」

「ママッ!あんな・・あんな、お兄ちゃんがな・・おきとこて言うてん!
・・・ゆかな、ねよかしとったのに・・・」

「うそつけ!こいつ!!」

「うわぁ~ん!!お兄ちゃんがたたいたぁ!!」





正月が過ぎた途端、飽きもせず繰り返される光景を他人事のように見ていたら、とうとう妻にすごい形相で睨まれた。

関わりおうたら面倒やと、そそくさと寝室に行った。

早々とベッドで寝ていると、ようやく子供達を寝かしつけた妻が、疲れきった顔で寝室に入って来た。

文句のひとつも覚悟していたが、言う気力すらないのか妻は黙ったままドレッサーの前で寝支度を始めた。

時々手を止めてため息をつく妻の姿に、多少の後ろめたさも手伝って愛想程度にねぎらいの言葉をかけた。


「毎晩大変やな。クリスマス過ぎても、お年玉貰うまではええ子でおったのにな。
今時の子はちゃっかりしてるな」

「・・・ほんまやね。お正月休みの間は子供らの相手してくれるええパパやったのに、
仕事始まったとたん他人の子になんねんね。ほんまに誰かさんも、ちゃっかりしてるわ」

・・・・言わなんだらよかった。

黙ってる思たら、こっちの出かた待っとってんな。

そやけど、昔やったら

―誰のために働いてる思てんねん!―

―ほんなら、私は家で遊んでるて言うん!!―

と、大ゲンカになるとこやけど、いまは聞き流せるようになったし、妻もそれ以上言わんようになった。

いまも妻は寝てる俺に気ぃつこてか、温さが逃げんように最小限に布団を捲って入って来る。

俺もそんな妻の気配りがわかるようになった。

お互い年取って丸なったんかも知らんな。

そう思うと、まだ腹立ちは収まらんのやろう背を向けて寝る妻に、今度は愛想なんかやのうて、ほんまにようやってくれてるなと自然に手が伸びた。

そっと妻の頭を撫でた。 のに、その言い草は何や・・・。

「何すんの、気持ち悪いな」

振り返ることもせず、妻は背を向けたまま俺の手を払い除けた。


お前!!昔は頭撫でられんの気持ちええて、言うとったやんけ!!

わかって言うてるやろ!可愛げの欠けらもあらへんな!女は年取るとこれやからいややねん!!

心の中で精一杯毒づいていたら、背中合わせの背中越しに、もう妻の寝息が聞こえてきた。


声に出せへんのは、言うて妻にストライキ起こされて、チビらの面倒見なあかんはめになったら困るからやねんけど・・・。

会社行かんなんしな・・・・・・。

けど、チビらの相手、会社行ってるより疲れるときあるもんなぁ・・・。


そんなことを考えていたら、もう一度妻の頭に手が行った。

完全に寝入っているのを確かめて・・・やけど。








「こらっ!あんたたちいつまで寝てんの!!早よ、起きなさい!!」

「もうちょっとぉ~・・・」

「・・・目あけへん・・ママぁ・・・」

「パパ会社行かはるでしょ!行ってらっしゃいは!」


朝は朝で夜と反対の光景や。

いつもやったらややこしいから、そそくさと家を出るんやけど・・・。

裕太ゆうた

「ん~、何ぃ~?パパ・・・お仕事やろ・・行ってらっしゃぁい」

あかん・・・布団からも出て来よらん。決めた。

あまりにだれ切ったチビらに、ここいらで一回お灸を据えることにした。

「裕太、何べん言うてもママの言うこと聞かへん悪い子はなあ、ことりさんに連れて行かれるねんで」

「小鳥さん?」

「違う。子取りや。子供を取られる、子取りさんや」

寝ぼけまなこの裕太の眼が、一瞬だけ凝固する。

「何なん、それ?誘拐のことなん?そんなん、誘拐されんのんは金持ちの家の子やで」

完全にばかにしてるな。しかも大あくび付きや。

「まあ、ええ。そう思うんやったら、思とき。パパは言うたからな。ほんなら、ママ行ってくるで」

見送りに出た玄関で、妻は半ば呆れた顔を向けた。

「パパ。あんなんで今どきの子が、怖がるわけあらへんやん。言うことなんか聞かへんわよ」

「大丈夫やて、任しとき。普段はあんまり何もせんけどな、俺かてチビらの父親やで。・・・お前の夫やしな」

ぽんと頭に手をやると、妻の神経質に寄っていた眉が、ゆるやかなカーブを描いて笑顔に変わった。

妻の笑顔は嬉しかった。久々に見た気もする。

いや一番嬉しかったのは、気持ち悪いと言われんで良かったことやったりする。





さて、今日は土曜日。

明日は日曜日や。また今夜、チビらは寝んやろ。

冬休みが終って学校と幼稚園が始まっても、夜更かしのクセがついたチビらに、相変わらず妻は手を焼いている。


「早よ、寝なさい!!」

「うるさいな!明日も休みやんか!このゲーム終ったら寝るって、言うてるやん!」

「ゆかも、するねん。ゲーム」

「あっ・・・触んなや!!ゆか!あっち行け!アホ!!」

「うわぁ~ん!!お兄ちゃんがアホって言うたぁ!!」


判で押したように、同じやな。我が子ながら、情けないわ・・・。

九時半か・・・そろそろやな。


チロリ~ララ・・・チロリラララ~・・・

「ん??・・・何の音や、あれ?・・・裕太、何か聴こえへんか」

「何がぁ・・・?いま、ゲームで忙しいねん」

チロリ~ララ・・・チロリラララ~・・・

「ほらっ、また聴こえた!なぁ!裕太!」

「え~っ・・・あれ、チャルメラちゃうん?屋台のおっちゃんが吹いてるラッパやろ。
インスタントラーメンの袋に絵が載ってるやん。あのラーメンぼく好きやで」

「裕太、よう知ってんな。ゆかは知っとったか?」

「ううん、ゆかしらん。パパ、ちゃるめらってなに?」


取りあえず、チビらをゲームから離す。

妻にも、この間豪語したことについては何も話していない。

ただ俺がチビらに構いだしたので、妻は何かを察したように席を外した。


ゆかが聞くのも当たり前で、チャルメラなんてチビらは見たこともないやろ。

俺かって、見たことあれへんかった。

けど、裕太くらいになると知識としてはあるねんな。それがまた好都合やったりする。

「チャルメラは裕太の言うとおり、ラーメン屋のおっちゃんが屋台引きながら吹いてるねんけどな。
遅い時間に聴こえて来るのは子取りさんやと、おじいちゃんが言うとったで」

「・・・遅ないやん、まだ九時半やん・・・」

少し裕太のテンションに変化が見える。

ゆかは全く意味がわからんという感じやが、ゆかはわからんでもええ。裕太の真似するからな。


「そうか?裕太がそう思てるだけちゃうか?
パパは裕太くらいのときにいま頃の時間まで起きとったら、やっぱりチャルメラの音聴こえて来たで」

「そやから、それはラーメンの屋台やんか!ほんなら、なんでパパは連れて行かれへんかったんな?」

「連れて行かれる前に、大急ぎで寝たからや。パパ、音聴こえて来ると怖いから、たいてい早よ寝とったで」


チロリ~ララ・・・チロリラララ~・・・


「何や、ずっと音聴こえてるな。まあ・・・ほんでもラーメンの屋台やったらどうっちゅうことないな。
良かったわ、パパ怖かってん」

「もう、パパしっかりしぃや。そんなんぼくの友達でも、信じてるもんおらへんで」

「・・・ゆか、ちょっとこわい・・」

「ゆかは、怖いか。ほんならママのとこ行っとき」

そや、ゆかには、この後はあまりにも可哀相やからな。


チロリ~ララ・・・チロリラララ~・・・


「ゆかは、アホやねん」

これも直したらなあかん。妹には優しいしたらんと、ほんま放ったらかし過ぎたな。


「・・・裕太。なぁ・・・ちょっとこっち来てみ。屋台やったら、どこにおるんや。
通りはあそこしかあらへんねんで。・・・おかしないか」

「え・・・どこかにおるって・・・」

窓に鼻をひっつけて、裕太が目を凝らしながら必死で屋台を探している。

低い鼻がよけい低なんで・・・俄かに表情の変わり出した裕太に、ほくそ笑む。


チロリ~ララ・・・チロリラララ~・・・


「なっ、おらへんやろ?それにこの辺で屋台のラーメン屋さんなか、見たことあるか?
パパはないで。絶対変や・・・ほら、だんだん音が近づいて来てへんか!裕太!!」

裕太!!と名前を大声で呼んだら、見事な反応が返って来た。

「わぁっ!パパ!脅かさんといてぇや!!」

窓は終わりや。再びリビングに移動する。

裕太が大慌てで俺の後について来る。ええ展開や。


チロリ~ララ・・・チロリラララ~・・・


ますますはっきり聴こえてくるチャルメラの音に、ようやく裕太に尋常ではない表情が表れ始めた。

「・・・ぼく、もう寝るわ」

「何でや、明日も休みやし、まだええやんか。パパ怖いねん、つき合うてや」

「や・・ママが、早よ寝なさいって言うてるもん・・・」

「そうか、えらいな、やっとママの言うこと聞くねんな。ほんでも裕太、今日はひとりで寝ぇや。
ゆかはママと、パパの部屋で寝てるからな」

「えっ?・・・そんなん・・嫌や。ぼくもパパの部屋で寝る」

「あかん。裕太はゆかのこと、叩いたりアホ言うたりして、いじめるやろ」

「いじめてへんよ!あれはゆかが悪いんや!!ゆかが・・・」

「言い訳はええ。妹のこと可愛がらんお兄ちゃんはいらん」

「パパ・・・」

既に涙目の裕太に、普段ならこの辺で年の数だけ尻を叩いて許すところやけど、今回はわがままが酷すぎたからな。

お灸を据える。尻叩かれてる方がまだまし言うことを、よう覚えささなあかん。


チロリ~ララ・・・チロリラララ~・・・


「裕太!あかん!ほんまに近づいて来てるわ!!表の通りとちゃう・・・玄関の方から聴こえて来ぉへんか!!」

「うわああっ!!パパ!!怖いぃ!!」

裕太が叫びながら抱きついて来た。弱り目に祟り目。裕太はすっかり怯えてしまった。

そらそうや、まだ何というても小4やからな。

さらに裕太のおびえを煽るように、足音まで聴こえ出した。


コツ、コツ、コツ・・・・・・


「裕太、足音や・・・。子取りの足音なんて、パパ初めて聴いた」

「パパぁ!!ぼく連れて行かれるん嫌や!!」

ついに泣き出した裕太を、そのまま抱きかかえてやる。

「そやから、前にパパ言うたやろ。言うこと聞けへん子は、子取りさんに連れて行かれるでって。
裕太はちっともママの言うことも、パパの言うことも聞けへんかったやろ」

「聞く!ちゃんと聞くぅ!ママの言うことも、パパの言うことも聞くから!」

「それだけか?ママに言うことないんか?」

「ごめんなさい言う!うええん・・・・・」

やっと素直になった裕太の背中を擦ってやりながら、それでもまだ許すわけにはいかん。

「まだあるやろ」

「・・ひっく・・ぐすっ・・ゆ・・ゆか・・ひぃっく・・・いじめへん・・・優しぃ・・する・・・」

「そうやな。裕太、ええ子になったかな」

「うわああんっ・・・パパ!ごめんなさいぃ!!」


よっしゃ、これでええやろ。これで当分はええ子でおるやろ。

やれやれと思ったところで、足音が玄関の前で止まった。


「嫌ややあぁ!!パパッ!!連れて行かれる!!」

俺の服が破れるんちゃうかと思うくらい祐太がしがみ付いて来る。

いつの時代の子供にも絶大な威力を発揮するチャルメラに、子育ての基本は変わらへんのやなと思う。


「裕太は、パパのこと信じてへんのか。パパは、ママと裕太とゆかのことは、何があっても守るで。
子取りさんが来ても、平気や。嘘や思うか?」

「パパ・・・ほんま?ほんま平気なん?怖い、言うとったやんか・・・ぼく、ぼく・・・」


カチャ・カチャ・・ガチャリッ・・・鍵の外れる音がして、ドアが開いた。

「わああっ!!」

俺の胸にしがみついて顔を埋める裕太を、力いっぱい抱きしめる。


あほか、俺はお前の親父やぞ!?



「悪い子ぉは、誰や」



「・・・おじぃちゃん?・・・おじいちゃん!!」

「何や、親父かいな。脅かしないな」

名演技やな、俺。






三日前――――。

親を舐めきって、ちっとも言うこと聞かへんチビらにお灸を据えるべく、親父に協力をお願いしに行った。

俺が子供の頃、親父から散々脅かされたチャルメラの話や。

―裕太もかいな。やっぱりお前の子やな―

どういう意味やねん・・・。俺かて、もうええ年したおっさんやねんから、ため息なんかつかれたないわ。

―ええ年したおっさんが、口尖らせなさんな―

―うっさいな、おかん!おかんは、黙っといてんか!―


幾つになっても親は親、子は子やねんな・・・と、俺がそう思うのは、まだもうちょっと先の話やけどな。


―子供はいつの時代かて、同じやろ。そんなわけやから、なっ、なっ、親父、ちょっと頼むわ―






「おじいちゃん!ぼく、ほんまに怖かったやんか!!おじいちゃんの、あほぉ!!うわああん・・・」

「裕太、何で怖いんや。怖いんは、裕太が早よ寝ぇへんからやろ。
パパとママの言うこと聞かへん、悪い子やからやろ。ええ子は怖いことなんか、ひとつもあらへんねんで」

「・・・うん、わかった。ぼく、ええ子にする。
・・・けどな、おじいちゃん。やっぱり子取りさんなんか、おれへんやんな」


おっ?子取りの正体バラすん早や過ぎたかな。嘘やいうのを確認しよる。

しかし、しもた、と悔やむ俺に反して、親父は余裕の顔やった。



「おったで」


「えっ!」

「えっ?」


あんまり親父が普通に言うから、思わず俺まで裕太とハモってしもたやんか。


「家の前に立っとったで。おじいちゃん最初誰やわからへんで、何かご用ですか言うたら、
この家に悪い子おる言うて聞いてきたので、取りに来ましてん、って言うんや!」

また裕太の顔が気色ばむ。

年寄りの話し方って、ほんまにそうなんかて、思ってしまうねんなぁ。

「嘘や!なあ・・・おじいちゃん!嘘って言うてや!おらへんて言うてや!!」

「おじいちゃん、嘘ついたことあるか?」

「・・・ふえぇ・・・ぼく・・・」

「ぼく、何や?心配せんかてええ。裕太はええ子になったんやろ。
おじいちゃんがな、この家には悪い子はおりません言うて、ちゃんと帰ってもろた」

「ありがとう・・・おじいちゃん。ぼくな、ええ子でいてる」


さすがやな、親父。







「お義父さん。お手数お掛けして、すみません」

「いや、そんなんはええねんけど、周り近所にすんまへん言いながらチャルメラ吹かんなんかったんがな。
みんな知らんから、珍しげに出て来はんねん。参ったわ」

「子供らよう寝てるわ。親父、助かった、ありがとう」

裕太を寝かしつけて、先に妻と寝ていたゆかを抱っこして隣に寝かした。

寝顔見てたら可愛いて、また構いたなるんやけどな。



「せやけど、寛子ひろこさんも大変やな」

柾彦まさひこさんがチャルメラの話し始めたとき、すぐお義父さんやと思いました」

「ゆかは先に寛子のところへ行っとって、良かったわ。
あれ裕太と一緒におったらトラウマになんで。親父、迫真の演技やったもんな。あははっ」

のん気に笑う俺に、親父は無言でラッパをテーブルに置いた。

「そや、そや、これや!ほんでも親父、ようまだ持っとったよなぁ!」

「当たり前や、これはほんまもんやで」

「俺の子供の時でも、実際にラーメンの屋台引いてるとこなんか、見たことなかってんけどな。
親父の話が上手いねん」

「柾彦の時は、もう駅前の屋台やったなぁ。このラッパは、その駅前の屋台のおやっさんからもろてんで」



―おやっさん、いつも悪者にしてすまんな。けど、子供らよう言うこと聞くねん―

―そんなん、全然かましまへんがな。お客さんとこだけと違いますで。
この前なんか、その節はおおきに言うて、父親と高校生の親子で食べに来てくれはりましてな―

―ほんまですかいな。ほんならわしも息子が大きなったら、連れて来まっさかいな―

―嬉しいこと言うてくれはりますなぁ。そやけど、今日でこの店仕舞いですねん―

―ほんまかいな・・・。残念やな、おやっさんのラーメンは旨かったのにな―

―そうや、こんなもん記念にもなりまへんけどな、いままでご贔屓にしてもろたお礼です。
お客さんのぼんには、まだ効きまっしゃろ―



「それが、このラッパなんですね。私、初めて見ました」

寛子が珍しそうに、手に取って眺めていた。

俺ら親子はこれに泣かされてんな。・・・ああ、たぶん親父の子供の時もやろな。

ずっと受け継がれて来てんねんなぁ。子供には迷惑な話しやけど、過ぎてしまえばええ思い出や。

明日の夜は親父を送りついでに、駅前の屋台でラーメン一緒に食べよかな。

いまから言うとくのは何や照れくさいから、明日やな。

帰りしなに、なっ、親父。

寛子の手酌で美味そうに熱燗を飲む親父に、聞こえんように呟いた。








「早よ寝なさい!!」

「まだや!これ見てから寝る!あーっ!何で消すのんな!! 今おもしろいとこやねんから!!」

「ゆかな、これみたいねん。このクマさんの・・・」

「森のクマさん??こんな幼稚なもん見れるか!!」

「うわぁ~ん!!お兄ちゃんがゆかのビデオなげたぁ!!」

「あんたら、ええ加減にしなさいや!裕太!子取りさんに連れて行かれるで!!」

「そんなん全然怖ないわ!!子取りさん来たらおじいちゃんに追い返してもらうんや!!」


どないなってんねん・・・。

一週間もせんうちに、もうこれかい。



「親父!!もっかいチャルメラ吹きに来てや!!今度は姿見せたらあかんで!!」

電話口で叫ぶ俺に、受話器の向こうで親父のため息がした。

「お前もまだまだやな。お前の時はどうやったんや。よう、思い出し。いつまでもチャルメラが効くわけあらへんやろ。子供は進化してんねんで」

「親父!!ちょっと!!おや・・・切りやがった!!」


俺の時・・・俺の時は・・・必死で記憶を蘇らす。

その間も、寛子はチビらと格闘中や。


「裕太!ゆか!ええ加減にせんと、ナマハゲが尻叩きに来るで!!」


ピタッと止まったんはええけど、二人とも何なんそれ・・・と、きょとんとした顔で俺を見ている。

それもそうや、ナマハゲなんか関西におらんもんな。

「ゆ・・裕太もゆかも!ナマハゲは悪い子を懲らしめる怖い鬼さんなんやで!」


「・・・どこにおるん?」

「・・・秋田や」


「お兄ちゃん、あきたってどこ?」

「ぼくらの家からは遠いところや。全然心配せんでええで、ゆか」


寛子は呆れた顔全開で、俺に耳打ちした。

「パパ!安心させてどうすんの!」

「ちょっ・・・ちょっと!待てや!その先があんねん・・・・・」


―お前の時はどうやったんや。よう、思い出し―


その時親父は、俺に・・・


―出張して来るんや―


「出張して来るねん」


「あほちゃう」

寛子はひと言残して、チビらの方へ戻って行った。


親父!!どないしてくれんねん!!



「あんたら!!早よ寝なさい!!」




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