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零章 side AI
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――コイツだ。
一目見た瞬間にわかった。
噎せ返るような花の香りを漂わせて苦しそうにしゃがみ込むソイツを見て、本能がそう告げていた。
きっと向こうもそう感じたに違いない。
オレから目を逸らさずに息を乱して顔を赤らめている姿は誘惑しているようにしか見えなかった。
ギリギリで保った理性で、ソイツを立ち上がらせると抱き上げて走り出す。
こんな沢山の人間がいる街中で、これ以上この香りを撒き散らしたらどうなるか、考えただけでもゾッとする。
腕の中のソイツの香りに頭がおかしくなりそうだ。
いや、もうおかしくなっているんだろう。
待たせていた車にソイツを押し込み、オレもその隣に座ってドアを閉めた。
「早く出せ!」
運転手は何も悪くないのに声を荒らげて命令した。
慌てた運転手がエンジンを掛けて車を発進させる。
密閉された車内にはソイツから醸し出される香りが充満して、オレは今にもソイツに手を伸ばしそうになる。
「薬……抑制剤は!?」
頼むから早く飲んでくれ。
そしてその発情した匂いを治めてくれ。
そうじゃないとオレは……。
お前の項に噛みつきたくてどうにかなりそうだ。
この世界には六つの性別がある。
男と女。
そして、それぞれにα、β、Ωと分かれている。
多くはβで、簡単に言えば普通の人間だ。
次にα。
社会的地位も高く、有能。
そして、Ω。
一定期間で発情期が訪れてフェロモンを撒き散らし、α、βなら誰彼構わず誘惑する。
男も妊娠する事が出来て、その厄介な体質から社会的地位は低い。
オレはαの両親から産まれたα性。
代々由緒正しいαの家系で、裕福に何不自由なく育てられた。
将来はαの妻を娶り、家を継いで立派な後継者になる。
……そのはずだった。
今日、たまたま買い物に出掛けた街中でコイツに会うまでは。
運命の番という都市伝説みたいな話がある。
元々、αとΩには番という婚姻のような関係があって、発情期のΩとの性交中にαが項を噛むことで成立する。
番になるとΩは番にしかフェロモンを出さなくなる。
αも番だけにしか反応しなくなる。
社会的地位の低いΩは発情すると誘惑してしまうため、望まない相手に犯され噛まれてしまうこともある。
それを予防する為に、簡単には切れない首輪をし発情を抑える薬を飲む。
しかし、運命の番に出会うと互いに惹かれずにはいられなくなる。
離れられなくなる。
例え、その時に違うパートナーがいても別れて運命の番を選ぶ。
それ程までに強烈なのだ。
Ωという存在は。
今まではずっと運命の番など、面白おかしく誰かが言い出した話だと思っていた。
だけど違った。
今までにもΩには会ったことがある。けれど、その時には感じなかった。
こんなに欲しいと思わせる存在。
今すぐその服を剥ぎ取って中に自分のモノを突っ込んで欲を吐き出したいという願望。
何よりそんな邪魔な首輪など取り外して、項に噛みつきたい。
オレのものだと印を付けて、欲望のままに抱き潰したい。
我慢出来ない。
こんなに苦しいなんて知らなかった。
知りたくなかった。
運命の番になんて出会いたくなかった……。
「く……薬……あ、鞄……」
たどたどしく自分の鞄を開けて、中から薬を取り出すと震える手でそれを飲もうとするのを見ていた。
早く飲んでくれ。早く効いてくれ。
もう一瞬でも我慢出来ない。
――我慢出来ない。
気がつくと薬を持った腕を掴んでソイツを押し倒していた。
ソイツの手から薬が落ちて、車内のあちこちに散らばっていく。
犯してやろうと本気で思っていた。
運命なんだから仕方ないと自分に言い聞かせて、本能のままにコイツを孕ませてやろうと。
押し倒したソイツが身体を小さく震えさせているのに気が付いて躊躇した。
ほんの少しだけ残っていた理性がオレを止めた。
「ごめ……なさい……許して……噛まないで」
消え入りそうな声で何度も同じ台詞を繰り返すソイツに、苛立ちを覚えた。
何で謝るんだ。何で脅えるんだ。
オレとお前は運命の番なのに。
「……噛んだりしない」
散らばった薬を拾いながらソイツを見ないようにして言った。
「無理やり犯したりしない……大丈夫だから、早く飲め」
拾った薬を手渡して背中を向けた。
本当は限界ギリギリでオレの下半身は本能に抗えずに反応したままだ。
それでも自分の手を噛んで我慢した。力加減が調節出来なくて噛んだ場所から血が滲んだ。
今はその痛みを感じる事で欲望を紛らわすしか出来ない。
そのうち車内に充満していたキツイ花の香りが薄まってきた。抑制剤が効いてきたのだろう。
それでもまだ匂いは完全に消えはしなかった。それはお互いが惹きあっている証拠だった。
「あの……」
少し車を走らせて路肩に車を停めさせた。
やっとお互い落ち着いてきた頃、ソイツが話しかけてきた。正直、どう対応したらいいか分からなかった。ただ、あまり顔は見ない方がいい気がした。
コイツは特別だ。
薬を飲んだからといってまだ抑えきれないフェロモンが香っている。この匂いを感じてるのはもしかしたらオレだけなのかもしれない。
「これ、使って下さい」
言われてチラリと見てみるとまだ少し震えてる手にハンカチが握られていた。
「血が……」
「……大丈夫だから」
「でもっ」
滲み出した赤い血液が服に染みとなって広がっていた。ズキズキと痛みも走る。
コイツを無理やり抱くのと、この痛みとならどっちが正解だったのか。
「……失礼します」
一向にハンカチを受け取らないオレに痺れを切らしたのか、いきなりオレの手を引っ張りハンカチで噛んだ痕をグルグルと巻き出す。
さっきまで脅えていたのに、そんな行動を取られるとは思いもせず呆気に取られてされるがままになってしまった。
落ち着いてよく見ると男の癖に可愛い顔をしている。Ωやαなんて関係なく、好かれそうな顔立ちだ。
容姿も何も確認しないで連れてきてしまった。あの場所で発情したコイツが他の誰かに襲われないように必死だった。
「……ありがとうございました……あの……発情期はこの間終わったばかりで油断してました」
「別に……あんたのせいじゃないだろ」
悪いのは誰か、なんて答えはない。
子供が親を選べないように、性別だって選べないのだから。
「それより、あんたさ……」
「はい」
「あんたは分かってんの?」
発情期が終わったばかりのΩが発情するなんて、原因は一つしかない。
その理由をコイツはちゃんと理解してるんだろうか。
「あ……えと……」
ハンカチを結んだ後、ソイツは困った顔をして俯いた。
この顔はきっと理解している。俺達がどういう関係なのかを。
「今日の事は忘れませんか?」
ソイツの言葉に頭が真っ白になった。
何を言ってるんだ、コイツは。
忘れるってなんだ? 無かったことにしろって事か?
「出逢わなかった事にして下さい」
「何で……」
何で平気な顔でそんな事言えるんだよ。
そりゃ、オレだって運命の番なんか信じてなかった。でも出逢ったんだ。
頭で考えるより本能が、コイツなんだと訴えている。
薬を飲んでフェロモンを抑えた今でさえ、その項に噛み付いて自分だけのものにしたいと感じているのに。
「オレは誰とも番うつもりは無いんです」
「……運命、でも?」
「運命だったら尚更、番うつもりは無いです」
ショックだった。
運命の番は相手が何であれ絶対に番うものだと思っていた。
ただの都市伝説だと思っていたけど、目の前に本当に現れたんだ。当然の様に番うものだと思い込んでいた。
「自分の意思とは関係なく振り回されるのはもう嫌なんです」
ソイツは散っていく花の様に笑った。
自分の産まれ持った性にこれまで散々振り回されてきたのは容易に想像出来た。
Ωというだけで差別や偏見に合う。
αとは全く逆の存在。今まで何の苦労もせずに暮らしてきたオレには理解出来るはずがなかった。
だから余計に悔しかった。
まだ名前すら名乗っていない。何処の誰だかも知らない。
全くのゼロからの出逢い、いや、マイナスからの出逢いなのにコイツはオレの事を何も知らずに忘れてほしいと言う。
「貴方は見た感じ、αの家系でしょ?」
「そう……だけど」
「だと思った。凄くプライドが高そうだ」
少しだけイラッとした。まだ何も知らないくせにαの家系というだけでプライドの高さまで計られて。
でもそうやってイラついたりするから、プライドが高いって言われるんだろう。
オレはとことんα性に浸って生きてきたんだと痛感させられる。
「きっと番うと言えば貴方の家族は反対する。運命だからなんて通じない」
確かに両親だけではなく、親族もΩの血を入れる事を許したりしない。
αはαと結ばれ、αを残すのが当然だという考えの家だ。
オレもそう思っていたし、疑問にも思わなかった。
「本気で番うつもりなら、貴方の家族を説得しなきゃいけない。オレにそんな価値はないし、説得出来るなんて思えない」
なんの反論も出来なかった。
さっき会ったばかりのコイツをいきなり連れて行って番にするなんて、そんな話を「わかった」と簡単に頷くような親ではない。
「だったら……最初から出逢わなかった事にした方がいい。そして二度と会わなければいい」
コイツの中で勝手に話が決められていく。
冷淡に、抑揚のない声で突き放される。
今起きた事を忘れてしまえば、オレ達はこの車を降りた瞬間から他人になる。
運命の番なんて都市伝説だよ、と笑って冷やかせる。
確かに今ここにお互いの明確な恋心というものはない。あるのはフェロモンの匂いだけだ。
「でもだったらなんでこんなに……」
傷跡に巻かれたハンカチを見た。微かに血が滲んでズキズキと痛む。
こんな傷を負ってまで無理矢理犯す事を我慢した。それはコイツがあまりに怯えるから。
そして、その怯えるコイツを守りたいと……優しく扱いたいと思ったから。
それが運命の為せる力なのか?
何方かと言えば、その運命とやらはオレに無理矢理犯して契れと言っていた。
「なんでこんなにお前に惹かれるんだ……?」
オレは何を言ってるんだ。
それが運命の番ってやつなんだから仕方ないだろ。惹かれ合う様に出来てるんだ。
「お前もそうじゃないのか……?」
頭ではわかってる。
分かってるから苦しい。
番えないなら最初から出逢いたくなかった。傍にいるだけで全身の血液が沸騰するような、こんな感覚知りたくなかった。
「……貴方はいい人だから、きっとオレみたいなΩじゃなくてもっと素敵な人と出逢える」
「いい人じゃない……犯そうとしたんだぞ」
「でもしなかった。こんな怪我までして抑えてくれた。無理矢理やろうと思えばオレは抵抗出来ないのに」
ハンカチを巻かれた手にソイツが手を重ねてきた。生地越しで体温が伝わらなくてじれったかった。
「オレに貴方は勿体ない」
離そうとする手を思わず握った。ズキンと痛みが走ったけれど、離す気はなかった。
「勿体ないとか、お前が勝手に決めるな」
「オレは自分の事は自分で決める」
「そうじゃない!」
手を離そうとするから更に強く握るとハンカチの隙間から血がポタリと落ちた。
オレの服に赤黒く染みて滲んでいく。
「これは、オレとお前の……二人で考える問題だろ!?」
真剣に言ったのにソイツは呆気に取られた顔をして、少し間を置いてからプッと笑い出した。
「ねぇ、まだフェロモンにあてられてる? オレ、Ωだよ? 今までどれだけ性処理に使われてきたかわかる?」
誰彼構わず誘惑するΩのフェロモン。
それがどんなに強烈か、オレだってさっき身を以て体験した。
理性なんてなくなって、ただ欲望を吐き出したい。孕ませたい。噛み付きたい。
数少ないΩの発情を目の前にして理性を保てる奴なんて殆どいない。
「オレはそんな利用のされ方はもう嫌だ。運命だからって気持ちもないのに抱かれたくなんかない」
「そんな事しないって言っただろ!?」
「そんなのこれから先、わからないじゃないか!」
例え今は何とか保てられても、この次もしまた発情期にフェロモンにあてられたらどうなるかわからない。
その度に手を噛んで痛みで誤魔化すのか?
それとももっと強い痛みを自分に与えて?
薬さえちゃんと飲めばフェロモンにあてられることもないけど、今日みたいに突然発情した時はどうする?
オレがコイツの傍に居たら、突発的に発情する事がこの先何回も起こるかもしれない。
オレがほんの一瞬でも「守らなきゃ」と思った相手を、オレの存在のせいで危険に曝してしまう。
「オレは運命なんていらない」
運命で惹かれあっているのに、運命がオレを、コイツを苦しめる。
こんな運命なら出逢わなければ良かったのに、どうして出逢ってしまったんだ。
どうしてオレはαなんだ。
どうしてコイツはΩなんだ。
なんでそんなものが存在するんだ。
忘れられるはずがない。
出逢った瞬間、強烈に引き寄せられた感覚を忘れられるはずがない。
無かったことになんか、出来ない。
「……ちゃんと、顔見せて欲しい」
もう二度と逢えないのなら、この目にしっかりと焼き付けておきたい。
オレの運命のΩの顔を。
怪我をしてない方の手で頬に触れてみた。
抑制剤が効いてる筈なのに花の様な匂いが触れた所から香ってくる。
理性を飛ばすような強烈なものじゃなくて、包み込むような優しい香り。
酔いそうになる。狂おしい花に。
「運命じゃなくても、きっと……」
オレはお前に惹かれていたと思う。
そう言おうとして言葉を飲み込んだ。
そんな言葉は何の救いにもならない。
「キスしていいか」
「……ダメ」
時間を忘れるくらい見つめあっていたのに気が付いて、ソイツは頬を赤く染めた。
そんな反応されて、ダメなはずないだろう。ダメなら早く、目を逸らせばいいのに。
いつまで経っても逸らす事のない真っ直ぐな目にオレが映り込んでいる。
顔を近付けて様子を見るけど、目を逸らさないまま動きもしない。
全身から花の香りがする。
重ねた口唇から伝わる体温に何故だか涙が出そうになった。
抱きしめたい。
強く優しく抱きしめたい。
けど抱きしめたら離したくなくなる。
このまま連れ去って閉じ込めてしまいたくなる。
そんなんじゃダメだ。
それをしたらオレはコイツを苦しめるだけの存在になる。そんなのは嫌だ。
初めてなんだ。こんなに大切にしたいと思える存在は。
だから絶対に、コイツの自由を縛り付けちゃいけない。
ゆっくりと名残惜しむ様に口唇を離すとオレの方から目を逸らした。
二人共、しばらく無言だった。
「……じゃあ、そろそろ」
先に口を開いたのはソイツで、それはこれでもう二度と逢えないという事だった。
「あのさ……」
「なに?」
「名前、教えて」
「もう二度と逢わないのに?」
「……そう……そうだったな……」
鞄の中に散らばった薬を入れて、背中を向けたソイツが車のドアを開けようとする。
引き止めたい衝動を抑えて、背中をじっと見つめていた。
「もし、さ」
「うん?」
一度こっちに振り返ったソイツは少し迷ったような顔で慎重に言葉を選ぶ。
ソイツからの言葉をじっと待つその少しの時間がもっと長くなればいいのに。
「もし、また何処かで逢えたりしたら」
「二度と逢わないんじゃないの?」
「うん、だからもし、偶然逢えたら」
名前も住んでる場所も何も知らない同士。
知ってるのは、αとΩという性と、運命の番であること。
「その時は運命だと思って、名前教えてあげるよ」
ヤバい、と思った。
恥ずかしそうに笑ったソイツに胸が高鳴った。
これは運命だからなんかじゃない。
これは……。
車から出て行くソイツを引き止めようと出し掛けた手を握りしめた。
ソイツが降りて、バタンと閉まるドア。
やがてソイツが人並みの中に消えていくのをじっと見ていた。
まだ花の香りが残る車の中で。
もしまた逢えたなら、オレはきっとアイツを離さないだろう。
一から口説き落としてやる。
何も知らない者同士。
逢える確率はゼロに近い。
だからって無理矢理探し出そうとは思わない。
オレには確信があったから。
大丈夫。何も知らなくてもオレ達はまた逢える。
また必ず巡り逢える。
それがどんなに遠い未来でも。
***
やがて巡る季節。
あの運命の出逢いから数ヶ月が経ち、季節は春。
大学生になったオレは新しく出来た友人達と次の講義に出るために構内を移動していた。
春は花の咲き誇る季節。
花の香りを嗅ぐとアイツを思い出す。
どれ一つ同じ香りじゃないのに、最後に見せたあの笑顔は花の様だった。
あの日からずっと花の香りに捕われたまま。
ふいに、愛おしい香りが漂ってきた。
よく知っている、ずっと求めていた花。
向こう側から歩いてくる数人の塊の中にその花はいた。
オレは今すぐ駆け寄りたい気持ちを抑えてゆっくりソイツに近付けていく。
向こうもこちらに気が付き、驚いた顔をした後、ふわりと微笑んだ。
まるで春の陽気のように。
目の前まで来てお互い立ち止まる。
周りの友人達が「どうした?」と声を掛けて来るけど、答えなかった。
「やっぱり、逢えると思ってたんだ」
嬉しい気持ちが顔に出るのを抑えきれなかった。
「名前、聞いていい?」
オレの問いにソイツは背伸びをしてオレの耳に小さく囁いた。
それは愛しい花の名前だった――。
一目見た瞬間にわかった。
噎せ返るような花の香りを漂わせて苦しそうにしゃがみ込むソイツを見て、本能がそう告げていた。
きっと向こうもそう感じたに違いない。
オレから目を逸らさずに息を乱して顔を赤らめている姿は誘惑しているようにしか見えなかった。
ギリギリで保った理性で、ソイツを立ち上がらせると抱き上げて走り出す。
こんな沢山の人間がいる街中で、これ以上この香りを撒き散らしたらどうなるか、考えただけでもゾッとする。
腕の中のソイツの香りに頭がおかしくなりそうだ。
いや、もうおかしくなっているんだろう。
待たせていた車にソイツを押し込み、オレもその隣に座ってドアを閉めた。
「早く出せ!」
運転手は何も悪くないのに声を荒らげて命令した。
慌てた運転手がエンジンを掛けて車を発進させる。
密閉された車内にはソイツから醸し出される香りが充満して、オレは今にもソイツに手を伸ばしそうになる。
「薬……抑制剤は!?」
頼むから早く飲んでくれ。
そしてその発情した匂いを治めてくれ。
そうじゃないとオレは……。
お前の項に噛みつきたくてどうにかなりそうだ。
この世界には六つの性別がある。
男と女。
そして、それぞれにα、β、Ωと分かれている。
多くはβで、簡単に言えば普通の人間だ。
次にα。
社会的地位も高く、有能。
そして、Ω。
一定期間で発情期が訪れてフェロモンを撒き散らし、α、βなら誰彼構わず誘惑する。
男も妊娠する事が出来て、その厄介な体質から社会的地位は低い。
オレはαの両親から産まれたα性。
代々由緒正しいαの家系で、裕福に何不自由なく育てられた。
将来はαの妻を娶り、家を継いで立派な後継者になる。
……そのはずだった。
今日、たまたま買い物に出掛けた街中でコイツに会うまでは。
運命の番という都市伝説みたいな話がある。
元々、αとΩには番という婚姻のような関係があって、発情期のΩとの性交中にαが項を噛むことで成立する。
番になるとΩは番にしかフェロモンを出さなくなる。
αも番だけにしか反応しなくなる。
社会的地位の低いΩは発情すると誘惑してしまうため、望まない相手に犯され噛まれてしまうこともある。
それを予防する為に、簡単には切れない首輪をし発情を抑える薬を飲む。
しかし、運命の番に出会うと互いに惹かれずにはいられなくなる。
離れられなくなる。
例え、その時に違うパートナーがいても別れて運命の番を選ぶ。
それ程までに強烈なのだ。
Ωという存在は。
今まではずっと運命の番など、面白おかしく誰かが言い出した話だと思っていた。
だけど違った。
今までにもΩには会ったことがある。けれど、その時には感じなかった。
こんなに欲しいと思わせる存在。
今すぐその服を剥ぎ取って中に自分のモノを突っ込んで欲を吐き出したいという願望。
何よりそんな邪魔な首輪など取り外して、項に噛みつきたい。
オレのものだと印を付けて、欲望のままに抱き潰したい。
我慢出来ない。
こんなに苦しいなんて知らなかった。
知りたくなかった。
運命の番になんて出会いたくなかった……。
「く……薬……あ、鞄……」
たどたどしく自分の鞄を開けて、中から薬を取り出すと震える手でそれを飲もうとするのを見ていた。
早く飲んでくれ。早く効いてくれ。
もう一瞬でも我慢出来ない。
――我慢出来ない。
気がつくと薬を持った腕を掴んでソイツを押し倒していた。
ソイツの手から薬が落ちて、車内のあちこちに散らばっていく。
犯してやろうと本気で思っていた。
運命なんだから仕方ないと自分に言い聞かせて、本能のままにコイツを孕ませてやろうと。
押し倒したソイツが身体を小さく震えさせているのに気が付いて躊躇した。
ほんの少しだけ残っていた理性がオレを止めた。
「ごめ……なさい……許して……噛まないで」
消え入りそうな声で何度も同じ台詞を繰り返すソイツに、苛立ちを覚えた。
何で謝るんだ。何で脅えるんだ。
オレとお前は運命の番なのに。
「……噛んだりしない」
散らばった薬を拾いながらソイツを見ないようにして言った。
「無理やり犯したりしない……大丈夫だから、早く飲め」
拾った薬を手渡して背中を向けた。
本当は限界ギリギリでオレの下半身は本能に抗えずに反応したままだ。
それでも自分の手を噛んで我慢した。力加減が調節出来なくて噛んだ場所から血が滲んだ。
今はその痛みを感じる事で欲望を紛らわすしか出来ない。
そのうち車内に充満していたキツイ花の香りが薄まってきた。抑制剤が効いてきたのだろう。
それでもまだ匂いは完全に消えはしなかった。それはお互いが惹きあっている証拠だった。
「あの……」
少し車を走らせて路肩に車を停めさせた。
やっとお互い落ち着いてきた頃、ソイツが話しかけてきた。正直、どう対応したらいいか分からなかった。ただ、あまり顔は見ない方がいい気がした。
コイツは特別だ。
薬を飲んだからといってまだ抑えきれないフェロモンが香っている。この匂いを感じてるのはもしかしたらオレだけなのかもしれない。
「これ、使って下さい」
言われてチラリと見てみるとまだ少し震えてる手にハンカチが握られていた。
「血が……」
「……大丈夫だから」
「でもっ」
滲み出した赤い血液が服に染みとなって広がっていた。ズキズキと痛みも走る。
コイツを無理やり抱くのと、この痛みとならどっちが正解だったのか。
「……失礼します」
一向にハンカチを受け取らないオレに痺れを切らしたのか、いきなりオレの手を引っ張りハンカチで噛んだ痕をグルグルと巻き出す。
さっきまで脅えていたのに、そんな行動を取られるとは思いもせず呆気に取られてされるがままになってしまった。
落ち着いてよく見ると男の癖に可愛い顔をしている。Ωやαなんて関係なく、好かれそうな顔立ちだ。
容姿も何も確認しないで連れてきてしまった。あの場所で発情したコイツが他の誰かに襲われないように必死だった。
「……ありがとうございました……あの……発情期はこの間終わったばかりで油断してました」
「別に……あんたのせいじゃないだろ」
悪いのは誰か、なんて答えはない。
子供が親を選べないように、性別だって選べないのだから。
「それより、あんたさ……」
「はい」
「あんたは分かってんの?」
発情期が終わったばかりのΩが発情するなんて、原因は一つしかない。
その理由をコイツはちゃんと理解してるんだろうか。
「あ……えと……」
ハンカチを結んだ後、ソイツは困った顔をして俯いた。
この顔はきっと理解している。俺達がどういう関係なのかを。
「今日の事は忘れませんか?」
ソイツの言葉に頭が真っ白になった。
何を言ってるんだ、コイツは。
忘れるってなんだ? 無かったことにしろって事か?
「出逢わなかった事にして下さい」
「何で……」
何で平気な顔でそんな事言えるんだよ。
そりゃ、オレだって運命の番なんか信じてなかった。でも出逢ったんだ。
頭で考えるより本能が、コイツなんだと訴えている。
薬を飲んでフェロモンを抑えた今でさえ、その項に噛み付いて自分だけのものにしたいと感じているのに。
「オレは誰とも番うつもりは無いんです」
「……運命、でも?」
「運命だったら尚更、番うつもりは無いです」
ショックだった。
運命の番は相手が何であれ絶対に番うものだと思っていた。
ただの都市伝説だと思っていたけど、目の前に本当に現れたんだ。当然の様に番うものだと思い込んでいた。
「自分の意思とは関係なく振り回されるのはもう嫌なんです」
ソイツは散っていく花の様に笑った。
自分の産まれ持った性にこれまで散々振り回されてきたのは容易に想像出来た。
Ωというだけで差別や偏見に合う。
αとは全く逆の存在。今まで何の苦労もせずに暮らしてきたオレには理解出来るはずがなかった。
だから余計に悔しかった。
まだ名前すら名乗っていない。何処の誰だかも知らない。
全くのゼロからの出逢い、いや、マイナスからの出逢いなのにコイツはオレの事を何も知らずに忘れてほしいと言う。
「貴方は見た感じ、αの家系でしょ?」
「そう……だけど」
「だと思った。凄くプライドが高そうだ」
少しだけイラッとした。まだ何も知らないくせにαの家系というだけでプライドの高さまで計られて。
でもそうやってイラついたりするから、プライドが高いって言われるんだろう。
オレはとことんα性に浸って生きてきたんだと痛感させられる。
「きっと番うと言えば貴方の家族は反対する。運命だからなんて通じない」
確かに両親だけではなく、親族もΩの血を入れる事を許したりしない。
αはαと結ばれ、αを残すのが当然だという考えの家だ。
オレもそう思っていたし、疑問にも思わなかった。
「本気で番うつもりなら、貴方の家族を説得しなきゃいけない。オレにそんな価値はないし、説得出来るなんて思えない」
なんの反論も出来なかった。
さっき会ったばかりのコイツをいきなり連れて行って番にするなんて、そんな話を「わかった」と簡単に頷くような親ではない。
「だったら……最初から出逢わなかった事にした方がいい。そして二度と会わなければいい」
コイツの中で勝手に話が決められていく。
冷淡に、抑揚のない声で突き放される。
今起きた事を忘れてしまえば、オレ達はこの車を降りた瞬間から他人になる。
運命の番なんて都市伝説だよ、と笑って冷やかせる。
確かに今ここにお互いの明確な恋心というものはない。あるのはフェロモンの匂いだけだ。
「でもだったらなんでこんなに……」
傷跡に巻かれたハンカチを見た。微かに血が滲んでズキズキと痛む。
こんな傷を負ってまで無理矢理犯す事を我慢した。それはコイツがあまりに怯えるから。
そして、その怯えるコイツを守りたいと……優しく扱いたいと思ったから。
それが運命の為せる力なのか?
何方かと言えば、その運命とやらはオレに無理矢理犯して契れと言っていた。
「なんでこんなにお前に惹かれるんだ……?」
オレは何を言ってるんだ。
それが運命の番ってやつなんだから仕方ないだろ。惹かれ合う様に出来てるんだ。
「お前もそうじゃないのか……?」
頭ではわかってる。
分かってるから苦しい。
番えないなら最初から出逢いたくなかった。傍にいるだけで全身の血液が沸騰するような、こんな感覚知りたくなかった。
「……貴方はいい人だから、きっとオレみたいなΩじゃなくてもっと素敵な人と出逢える」
「いい人じゃない……犯そうとしたんだぞ」
「でもしなかった。こんな怪我までして抑えてくれた。無理矢理やろうと思えばオレは抵抗出来ないのに」
ハンカチを巻かれた手にソイツが手を重ねてきた。生地越しで体温が伝わらなくてじれったかった。
「オレに貴方は勿体ない」
離そうとする手を思わず握った。ズキンと痛みが走ったけれど、離す気はなかった。
「勿体ないとか、お前が勝手に決めるな」
「オレは自分の事は自分で決める」
「そうじゃない!」
手を離そうとするから更に強く握るとハンカチの隙間から血がポタリと落ちた。
オレの服に赤黒く染みて滲んでいく。
「これは、オレとお前の……二人で考える問題だろ!?」
真剣に言ったのにソイツは呆気に取られた顔をして、少し間を置いてからプッと笑い出した。
「ねぇ、まだフェロモンにあてられてる? オレ、Ωだよ? 今までどれだけ性処理に使われてきたかわかる?」
誰彼構わず誘惑するΩのフェロモン。
それがどんなに強烈か、オレだってさっき身を以て体験した。
理性なんてなくなって、ただ欲望を吐き出したい。孕ませたい。噛み付きたい。
数少ないΩの発情を目の前にして理性を保てる奴なんて殆どいない。
「オレはそんな利用のされ方はもう嫌だ。運命だからって気持ちもないのに抱かれたくなんかない」
「そんな事しないって言っただろ!?」
「そんなのこれから先、わからないじゃないか!」
例え今は何とか保てられても、この次もしまた発情期にフェロモンにあてられたらどうなるかわからない。
その度に手を噛んで痛みで誤魔化すのか?
それとももっと強い痛みを自分に与えて?
薬さえちゃんと飲めばフェロモンにあてられることもないけど、今日みたいに突然発情した時はどうする?
オレがコイツの傍に居たら、突発的に発情する事がこの先何回も起こるかもしれない。
オレがほんの一瞬でも「守らなきゃ」と思った相手を、オレの存在のせいで危険に曝してしまう。
「オレは運命なんていらない」
運命で惹かれあっているのに、運命がオレを、コイツを苦しめる。
こんな運命なら出逢わなければ良かったのに、どうして出逢ってしまったんだ。
どうしてオレはαなんだ。
どうしてコイツはΩなんだ。
なんでそんなものが存在するんだ。
忘れられるはずがない。
出逢った瞬間、強烈に引き寄せられた感覚を忘れられるはずがない。
無かったことになんか、出来ない。
「……ちゃんと、顔見せて欲しい」
もう二度と逢えないのなら、この目にしっかりと焼き付けておきたい。
オレの運命のΩの顔を。
怪我をしてない方の手で頬に触れてみた。
抑制剤が効いてる筈なのに花の様な匂いが触れた所から香ってくる。
理性を飛ばすような強烈なものじゃなくて、包み込むような優しい香り。
酔いそうになる。狂おしい花に。
「運命じゃなくても、きっと……」
オレはお前に惹かれていたと思う。
そう言おうとして言葉を飲み込んだ。
そんな言葉は何の救いにもならない。
「キスしていいか」
「……ダメ」
時間を忘れるくらい見つめあっていたのに気が付いて、ソイツは頬を赤く染めた。
そんな反応されて、ダメなはずないだろう。ダメなら早く、目を逸らせばいいのに。
いつまで経っても逸らす事のない真っ直ぐな目にオレが映り込んでいる。
顔を近付けて様子を見るけど、目を逸らさないまま動きもしない。
全身から花の香りがする。
重ねた口唇から伝わる体温に何故だか涙が出そうになった。
抱きしめたい。
強く優しく抱きしめたい。
けど抱きしめたら離したくなくなる。
このまま連れ去って閉じ込めてしまいたくなる。
そんなんじゃダメだ。
それをしたらオレはコイツを苦しめるだけの存在になる。そんなのは嫌だ。
初めてなんだ。こんなに大切にしたいと思える存在は。
だから絶対に、コイツの自由を縛り付けちゃいけない。
ゆっくりと名残惜しむ様に口唇を離すとオレの方から目を逸らした。
二人共、しばらく無言だった。
「……じゃあ、そろそろ」
先に口を開いたのはソイツで、それはこれでもう二度と逢えないという事だった。
「あのさ……」
「なに?」
「名前、教えて」
「もう二度と逢わないのに?」
「……そう……そうだったな……」
鞄の中に散らばった薬を入れて、背中を向けたソイツが車のドアを開けようとする。
引き止めたい衝動を抑えて、背中をじっと見つめていた。
「もし、さ」
「うん?」
一度こっちに振り返ったソイツは少し迷ったような顔で慎重に言葉を選ぶ。
ソイツからの言葉をじっと待つその少しの時間がもっと長くなればいいのに。
「もし、また何処かで逢えたりしたら」
「二度と逢わないんじゃないの?」
「うん、だからもし、偶然逢えたら」
名前も住んでる場所も何も知らない同士。
知ってるのは、αとΩという性と、運命の番であること。
「その時は運命だと思って、名前教えてあげるよ」
ヤバい、と思った。
恥ずかしそうに笑ったソイツに胸が高鳴った。
これは運命だからなんかじゃない。
これは……。
車から出て行くソイツを引き止めようと出し掛けた手を握りしめた。
ソイツが降りて、バタンと閉まるドア。
やがてソイツが人並みの中に消えていくのをじっと見ていた。
まだ花の香りが残る車の中で。
もしまた逢えたなら、オレはきっとアイツを離さないだろう。
一から口説き落としてやる。
何も知らない者同士。
逢える確率はゼロに近い。
だからって無理矢理探し出そうとは思わない。
オレには確信があったから。
大丈夫。何も知らなくてもオレ達はまた逢える。
また必ず巡り逢える。
それがどんなに遠い未来でも。
***
やがて巡る季節。
あの運命の出逢いから数ヶ月が経ち、季節は春。
大学生になったオレは新しく出来た友人達と次の講義に出るために構内を移動していた。
春は花の咲き誇る季節。
花の香りを嗅ぐとアイツを思い出す。
どれ一つ同じ香りじゃないのに、最後に見せたあの笑顔は花の様だった。
あの日からずっと花の香りに捕われたまま。
ふいに、愛おしい香りが漂ってきた。
よく知っている、ずっと求めていた花。
向こう側から歩いてくる数人の塊の中にその花はいた。
オレは今すぐ駆け寄りたい気持ちを抑えてゆっくりソイツに近付けていく。
向こうもこちらに気が付き、驚いた顔をした後、ふわりと微笑んだ。
まるで春の陽気のように。
目の前まで来てお互い立ち止まる。
周りの友人達が「どうした?」と声を掛けて来るけど、答えなかった。
「やっぱり、逢えると思ってたんだ」
嬉しい気持ちが顔に出るのを抑えきれなかった。
「名前、聞いていい?」
オレの問いにソイツは背伸びをしてオレの耳に小さく囁いた。
それは愛しい花の名前だった――。
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