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王宮へ
しおりを挟むさっきアリスと話していた時、ムラッとなってしまった。
あのままアリスが胸を叩いてくれなければそのまま押し倒していた自信がある・・・
アリスは香水がどうとか言っていた。
たしかにアリスからキツイ香水の匂いがしたし、普段ならば顔を顰めてしまうのに。
あれには媚薬のような物が混ぜられていたのか・・・?
大方伯爵に嫁がせる為にあの2人が振りかけたんだろう。
あの夫婦の思惑通りに行っていたらと思うと想像するだけでおぞましく嬲り殺してやりたい。
「クロヴィス様、大変お待たせ致しました!」
アリスが嬉しそうに駆けてくる。
「そんなに急がなくても良い。」
「ですが、王宮へ参るのでしょう?」
「ああ。 アリス、お前にも証言してもらう為に来てもらう。」
「もちろんですわ。」
アリスを連れて馬車の前まで来た。
「お嬢様・・・」
ヤヤが心配そうにアリスを見ている。
「執事とメイドは全員で3人だな。ヤヤ」
「さようでございます。 数ヶ月前まではあと2人交代できる者がおりましたが辞めてしまい。 現在は執事が1人と私を含めたメイドが2人です。」
既にアリスの家に仕えていた者の身辺も調べてある。
「お前と一緒に働いていた執事とメイドは親子だな?」
「はい。」
「その者達の次の働き先は既に決まっている。」
「「え?」」
ヤヤとアリスが驚いた顔をする
「国王陛下を御守りする近衛隊長のお宅に赤子が新たに産まれるのだが、その家に新しく執事とメイドを雇う予定があったようなので、こちらの執事とメイドを勧めておいた。 10年以上前からこの家で苦労しながらも働いていたのだ、働きは申し分ないだろう。」
俺がそう言うとヤヤとアリスはホッとした顔をした。
「クロヴィス様、ありがとうございます。」
「旦那様、私からもお礼を言わせてください。 本当にありがとうございます。」
2人は俺に深々と頭を下げる。
「いや・・ところでヤヤ。お前は数年前から息子と2人暮らしだそうだな。」
「はい、なかなか子に恵まれず遅くに出来た息子と2人暮らしです。 夫は流行病にかかり死にました。」
「まだ10歳の息子とでは、これから職を探し働くにしても大変だろう。」
「いえ、今までも貧乏ながらなんとか暮らしてまいりましたので・・・」
「そこで、だ。 ヤヤ。お前息子と我が家へこい。 お前はアリス付きの侍女に、お前の息子は執事見習いにさせよう。」
「だ、旦那様!!宜しいのでしょうか!?」
「クロヴィス様!!本当ですか!」
「生まれた国でもないうえに、知り合いもいない所に来るアリスの為にもそうしてくれ。給金も待遇も現在よりは良いはずだ。」
「旦那様、ありがとうございます。ありがとうございます。」
「ヤヤ、本当に良かった。 クロヴィス様、本当にありがとうございます。」
2人は目に涙を貯めながら喜んでいる。
「さぁ、それでは先ずは俺とアリスは王宮へ。 ヤヤは家を出る支度をして来なさい。」
「承知いたしました。」
「クロヴィス様、参りましょう。」
馬車へ乗り込み走り出す。
この国で借りている馬車はなかなか良いもので揺れも少なくていい。
「クロヴィス様・・」
隣に座っているアリスが話しかけてくる。
「どうした?」
「本当に、本当にありがとうございます。 この日の事は一生忘れません。どうやってこの御恩をお返しできるのか・・・。」
両手を胸の前で組み俺を見る。
そんなアリスの髪を1束とる
「恩など返さなくていい・・・そうだ。」
「え?」
「アリスから俺にキスをしてくれだけで良い。」
そう言うと途端に顔が赤くなる。本当に可愛いものだ。
「え!ぇええええ!!!キ、キス」
「いくら窓が閉まっているとはいえ、そんな大きな声を出すと御者に気付かれるぞ。」
ハッと手を口に当てる。
その仕草も可愛くて面白い。
もうアリスは俺のものなんだ。
誰にも渡しはしない。
「じゃ、あ・・・目を瞑って下さいね。」
上目遣い気味にこちらをみるアリス。
「もちろんだ。」
本当にしてくれるとは思わずサッと目を閉じた。
チュッと軽く唇に何かが当たる感触があったもののこの程度では満足できん。
「・・・・・それだけか?」
「え?キスしました、よ。」
「納得いかんからもう一度。」
「そんな」
「早く」
ううう・・・と言いながら近づいてくるアリスをグッと掴み口付ける。
「ふぁ!!・・・ん。クロヴィ・・ぁ。ふ」
口を開けた隙に舌を入れアリスの舌に絡める
ぴちゃぴちゃと水音がアリスから漏れる甘い声が俺の耳を心を満たす
「はぁ・・アリス。もっとだ」
「ん、ぁ。・・・っ、ん。」
チュッチュッとリップ音を立てながらアリスの首筋にキツくキスを落とす
俺のものだとわかるように。
おそらく髪で隠れるだろうがアリスの首筋に花が咲いた。
身体を離すとアリスは蕩けた顔になっている
俺がこんな顔にさせている。
それだけで高揚感に浸れる。
「今はこれでおしまいだが、アプト国の屋敷に戻ったら覚悟する様に。」
よくわかっていない顔のアリスは肩で息をする。
その姿に満足した。
王宮に着くまでの間ずっと手を繋いだ。
王宮に着くなり応接室に通された。
そこには既に陛下がいた。
プラチナの髪に藍色の瞳、男である俺から見ても神秘的でいて魅力的な顔をしていると思う。
「陛下、遅くなりまして申し訳ございません。 アプト国クロヴィス・アーベライン公爵参上致しました。」
「アリス・ウィドーソン参上致しました。」
アリスと俺は深々と礼をする。
アリスの深いカーテシーは見事なものだった。
「来たね。 アーベライン公爵、今回の件本当にありがとう。礼を言うよ。」
「勿体ないお言葉です。」
「アリス嬢。 君には長い間苦労と辛い思いをさせてしまったね。 王として不徳の致すところだ。申し訳ない。」
「滅相もございません陛下!」
「そう言ってくれるとありがたい。 アリス嬢、君は男爵家唯一の跡取りとなった。アーベライン公爵の元へ嫁ぐとなるとあの男爵領はどうしようか?」
アリスが跡取り。家長があれでは確かにアリスが後継人となるだろう。
だが、アリスは俺と一緒にアプト国へ行く。
アリスは、どうしたいんだろうか・・
「私は後継人としての教育を受けておりませんので、陛下にお返し致します。」
ホッとした。そして嬉しくなった
「わかった。 そのように手続きしよう。」
「ありがとうございます。」
その後アリスの話を聞き男爵の行いの数々の整理をする。
時折悲しそうに話すアリスの手を握りながら改めて鬼畜な男爵と後妻に苛立ちを覚える。
我が国の者であったならこの手で処罰しただろう。
「アリス嬢。辛いことを話させてしまい悪いことをした。だがおかげで男爵とその後妻への処罰が決まりそうだ。」
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「そうですか、とりあえず良かったです。あの子まで何か罰を受けるのかと案じておりました。」
おそらく陛下の言った事は嘘になるだろう。
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いつ復讐の火が心を燃やしアリスを狙いにくるとも限らない
アダムは父母と一緒に重い罪を課せられる事だろう。
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「陛下ありがとうございました。」
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「陛下失礼致します。」
俺とアリスは陛下へ最上の礼をした。
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